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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

吉祥寺  ドキュメンタリーフォト展へ

新聞や(写真)雑誌などで写真展が開かれていることを知る。
紹介文を読んで、興味を覚えると、
都内なら”のこのこ”と出かけることになるが、期待外れに終わることが多い。
帰ってきて、あれは、結局「よいしょ」記事だったと気づく。(昔風表現では「仲人口」)
展覧会の紹介文だ、誰も 悪くは書かないだろう。
吉祥寺
吉祥寺で開かれた、この展示会へ行ってきた。
今回は ある程度期待していた。
なにせ、ドキュメンタリーフォト展、素人サークルの「花鳥風月」写真展ではない。
吉祥寺953-16
吉祥寺駅には2年前、森山大道の展示会で降りたことがあるが、会場は駅近くのビルの中にあった。
駅前は東京の街ならごく当たり前の雑踏。なんの変哲も感じない、ごく普通の街という印象を受けた。
今回 来て、街の中を歩くと・・・いい街なんだと 自分の不知を反省、思い込みは駄目ですね。
若い人が多い。それだけで活気を感じる。
吉祥寺953-18
最初の会場”Closet"は、行き過ぎてしまった。行きつ戻りつ、うろうろし、ようやく脇道を発見。
会場は民家風建物の二階にあった。
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ドキュメンタリーフォトを撮り続けている写真家の合同展。
インドシナ半島での戦乱は、日本が一時占領した地域も含まれている。
無関心ではいられず、ベトナム戦争では、日本からもたくさんの戦場カメラマンが出ていき、何人も亡くなっている。

嘗て、大量のクラスター爆弾が炸裂した村の、「今」を伝える連作写真が展示されていた。
淡々と、「今」を写しているが、それが何らかの形でクラスター爆弾に関係している。
あるいは、関係しているらしい・・・・
いい写真(作品)だと思うが・・・・食い足りないものが残った。
銀色に輝くスプーンが会場に数個置かれていた。
手に取ると意外と軽い。
なんだろう? 
不発弾を有効利用しているということが、一つのテーマだろうから・・・
アルミ合金??
壁にはスプーンを作っている職人の写真が架かっている。
また別の写真には、そのスプーンで瓜らしきものをすくい食べている子供の写真もあった。
これは、ドキュメンタリーフォトだろう。
やらせも演出もない日常の光景のはず。
しかし、これでは・・・読めないなぁ・・・・
作者がいたので尋ねた。
「このスプーンの材料は、クラスター爆弾の残骸から持ってきたのですか?」
そのあたりになると、確証はないようだ、「いろいろな部品があるので、その中から取ったのでしょう」という。
鋳込職人の柄杓から流れる金属に光はない。
500℃以下 恐らく300℃程度の温度のはず。
そんな低温で溶ける金属は半田かなぁと思う。
できたスプーンは、白く輝いているので、錫の多い半田だろうか?
もしそうなら、スプーンには鉛が混入している。
長期にわたって使い続けたら、健康被害が出てくるはず。
ドキュメントフォトなら、職人が溶かしている金属の由来を調べ、写真に記録すべきだったろう。
写真に撮らなくても、調べるべきだったと思う。
もし、この金属が純度の高い錫金属で、しっかりとした会社から購入したものなら、
このスプーンにかかわる写真は、テーマとは関係ない 添え物で、
見ている人を欺くことになりはしないだろうか?
ちょっと食い足りない。
いい写真だと思うけど。
吉祥寺953-19
二つ目の会場”re:tail”は、徒歩でも3分くらいの近い場所。すぐに分かった。
ドキュメンタリーフォトなら、デジタル・カラーが最適だと思う。
モノトーンにしてしまうと即物性が減り、抽象的になる。
事実をそのままストレートに伝えるなら、デジタル・カラーが好適だろうと思っていた。
しかし、今回 一人 白黒フィルムを使った作品を展示している方がいた。
フィルムで撮影しているので、依怙贔屓しているかも・・・
写真の技量という点からみたら、おそらくこの方が一番いい。
しかし、これがドキュメンタリーフォト??
事実を伝えるのがドキュメンタリーフォトならば、眼前の”被写体first/事実first”であるべき。
しかし、写真には、「俺はこう見る」という 昔で言えば「アレ、ボケ、ブレ」に似たテーストが漂っていた。
これは”me first”の己の独自感を表そうとした写真群ではないだろうか。
これは、ドキュメンタリーフォトというより、森山大道の写真スタイルに似ている。
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森山大道の写真はドキュメンタリーフォトではないと思う。
ザラッとした白黒の対比のきつい画像を印画紙に焼き付けることにより、
当時、1960代から70年代の青年の苛立ちの気持ちと重なり、評価され受け入られた、
日本独特の写真表現だったと思う。
同時代、内藤正敏、平地勲なども似たテーストの写真を発表している。
しかし、両氏の写真は、やはりドキュメンタリーフォトに留まっている。
そこには 対象を冷静に見つめ、対峙し、記録するという視点が備わっていた。(三人称の視点)

森山大道は、写真家には珍しく「読書家」でもある。彼は言葉で語れた、書いたものも面白い。
「写真は現実のコピーに過ぎない」という言葉を武器に、
コピーに過ぎない写真で、己の苛立たしさを、現実を変えられない若者の苛立ちに、Provokeしていたのだろう。
現実のコピーに過ぎないはずのネガを、白黒のコントラストを高めて印画紙に焼き付ける。
暗室で格闘し出来た写真は、当時、撮る写真でなく、作る写真と評された。
それが彼の言う「写真は現実のコピーに過ぎない」という写真の実態。(結局は一人称の視点)
時代にうねりがあるすれば、この”me”の視点で印画紙に焼き付ける行為は、
変わりゆく日本の感性の、その底流にさざ波を起こしたのだろう。
若者の心を虜にし、受け入れられた。
(小生は/も)、日本発の最初の写真表現として、高く評価している。

内藤正敏、平地勲 今どうなっているのだろう?
両氏のほうがドキュメンタリーフォトに近い作品を出している。
写真写真家としていい仕事をしたと思うが・・・
平地の「温泉芸者」は、ちゃんとした記録になっているし、インパクトもある。
東北の風習を記録した内藤の作品、客観的記録/資料になる。
両氏の作品展、再び どこか(東京)で 行われないものだろうか?
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フィルムで撮っている方、カメラアイ、撮影技術 大変高いものがあると感心しましたが・・・・
これ、ドキュメンタリーフォト??だろうかという疑問が残った。
吉祥寺953-21
吉祥寺の街は、戸越の街と違って「文化」の香りがする。
こういう店は一軒もない。小さな子供が熱心に絵を見ている。大人が画を品定めし、手を延ばす。
画や写真を展示するギャラリーも、そこかしこに点在する。
いいところだと思うけど・・・・住むなら馴染の戸越かなぁ。(老人なもので急激な変化に耐えられない)
吉祥寺953-24
3番目の会場は、井之頭公園の池のはずれにあった。
話してみると、皆さんまじめ。
1960年台に会った、「こいつ変、写真を舐めているのか」と思えるカメラマンの卵とは、雲泥の差。
しっかりしている。
しかし、対象の力強さ(Provokeするものがある)が、
写真の力強さに直結すると思ってカメラを向けている節もあり、物足りなさを感じた。 
これでは戦後の一時期流行った、「絶対非演出の絶対スナップ」の「乞食写真」になってしまうと、辛口のコメントの一つも言いたくなるが、
三つの会場を回り考えたのは、まだ、捨てたものではないなぁと、ほっとしたこと。
着実に、デジタルをこなし、写真を撮っている人が育っている。
ドキュメンタリーフォトは 儲かる分野の仕事ではない。生活は大変だろう。
それでも続けていこうとする若者(小生からみたら若者)がいるだけでも、心が熱くなる。
「腹に一物、心に志」がないと続けられるものではない。
皆さんのこれからの仕事・・・期待しています。

期待を上回る展示会だった。
来年も開催されたら、必ず 見に行く。
その時は、もっと辛口のコメントを、若手の写真家にぶつけるつもり、応援のエールとして。
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  1. 2017/03/08(水) 15:42:40|
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Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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