本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

Bill Brandtに触発・・・ Pinkkor レンズ 

好きな写真家の一人に、Bill Brandtがいる。
1947年撮影の、"The Isle of Skye"(スカイ島)という作品は、傑作の1つなのだろう。多くの写真集に掲載されている。その後の Perspective Nude として知られる一群の作品のさきがけになるものだと思う。
前景に鳥の巣をアップで捉え その中には卵が3つ、後ろはごつごつした岩が続き、遠景には、湖、更に山影、そして夕暮れ/あるいは早朝の空。北の荒涼とした、そして、だけど美しい風景に、生命の息吹を感じる卵。
言葉で説明しても、そのすごさを表すことはできません。
作品のひとつ紹介するのであれば、著作権には抵触しないだろうと考え、本からコピーしたものを載せます。オリジナルプリントはきっとすばらしいものでしょう。
BillBrandt.jpg

写真は、レンズをとおして 存在(Existance)を写すが、その一部を掠めていくだけ、しかしすぐれた作品は、そこに現実(reality)を感じる。色を失ったモノトーン写真では、すべて写すことはできないのは自明。しかし、この写真には、自然の光のグラデーションの美しさを感じ、やや冷たい風をが吹いているスカイ島を感じる。・・・見えないものが、見えているのか?
ポールゲティ美術館の写真コレクションを紹介する本を読んでいたら、この、"The Isle of Skye"が載っていた。読んで驚いてしまった。この写真ピンホールレンズを使って撮影されたものだという。
写真集 Behind The Cammeraには そのことに関し何も説明はなかった。
オリジナルは、22.9cm×19.6cm 8×10インチのビューカメラで撮影し、密着で印画紙に焼いたものと推定できる。そういえば、写真集 Behind The Cammeraの見開きに、大きな木製のカメラを構えるBill Brandtのポートレートが載っていた。そのカメラで撮影したものだろう。説明を読むと、ピンホールの径は1/32インチ、約0.8mmである。
ピンホール写真も、写真表現の一つになりえる!
ならば すぐ ピンホール写真を撮ってみよう。どんな表現が可能か知りたい・・・と、結果がすぐわかるデジタルカメラを使用し、ピンホール写真に取り組んでいた。
8×10インチのビューカメラとすれば、対角線は30cm程度。やや広角レンズで撮影しているので、おそらく焦点距離は20cmくらいのレンズに相当する。ピンホール径1/32インチ(約0.8mm)なので、F値は200÷0.8=250
Sony NEX-3を使用した場合、フランジバックは 最短で19mmくらいが加工しやすい。19÷250=0.076mm
0.076mmのピンホール!? こんなに小さいと光の干渉が起きるのでは?と思いながらピンホールの製作にとりかかった。材料はなるべく薄く、加工しやすく、光を通さないものとして、アルミホイルを使い、裁縫用のまち針で穴を開けたが、弱すぎて、綺麗な円形にはならない。20倍のスケールつきルーペで孔の形状と径は測定できる。
最終的には、アルミ製の飲料缶を使用、釘で少しへこませ、凸部分を紙やすりでこすり、薄くし、針で小さな孔を開けるのが、いいようです。
何枚も失敗し(廃物利用なのでコストゼロ)ようやく 数枚のピンホールレンズを完成。0.076mmなどの小さな孔は、この加工法では無理でした。できたのはピンホール径0.2mmから0.7mmのアルミ製レンズでした。
PinHoleCameraDSCN2881.jpg
撮影して分かったことは、ピンホール径と、焦点距離には関係があるようです。焦点距離が長いレンズ(望遠)は大きく、短いレンズ(広角)は小さいのが、鮮明でした。しかし、広角でも、あまり小さなピンホールではかえって像は鮮明とはなりません。もし光が直線と見なせるなら、ピンホールレンズ径が小さいほど鮮明なはずです、また好みの焦点距離で撮影ができるズームレンズになるはずです。でも実際の撮影ではそうはなりません。光の干渉/回折という要素を加味して考えるべきでしょう。
鮮明に写したいのなら、なるべく大きなフィルムで(デジタルでは大きな撮像素子で)、そして広角で撮影するのが原理上有利です。その場合、周辺光量は(これも原理上)減ります。
Pinkkor4124.jpg
ピンホール径の幅によるボケはあるので、大きく伸ばすのは無理でしょう。それでも、APSの小さな受光面積ですが、公園の時計の文字が読めるくらいの解像度はでました。レンズですと収差云々になりますが、ガラスを使っていないので収差はないでしょう。鉄柱もまっすぐ伸びています。
PinkkkorDSC04154.jpg
逆光気味に撮ると虹色の光芒が、派手にでました。虹色にスペクトルが出るところを見れば、ピンホールのエッジ部分が滑らかになっていないので、そこで光が分かれ、回折現象がおきているのでしょう。違うかなぁ?
PinkoorDSC04695.jpg
Bill Brandt風の写真を狙ってみました。
検索フォームでPinkkorと打てば、写した写真の一覧が出ます。
たしかに、ピンホール写真、撮影できたが・・・このレンズでしか表現できないものとは・・・なんだろう?考え込まざるを得ない。
昆虫を撮っている写真家がいる。昆虫の世界に魅せられて、独自の接写技術を開発、発展させてすばらしい作品を発表している。接写が面白いから、昆虫を撮っているわけではない。
ピンホール写真、技法として面白いが・・・これ以上のめり込む動機が、小生には欠落している。どのようなとき、どのような対象に向けるべきか、必然となる場面を考え、使っていきたい。

ピンホール写真を撮っていたのは、この春、3月ころの1ヶ月。そのご、ネットで調べてみると、ピンホール写真、意外に撮影している人多いようです。
ケンコー・トキナーからは、ピンホールレンズも市販されている。数時間の工作でできるのに・・・やはりメーカー品は写りが違うのかなぁ・

日本針穴写真協会という団体もあり、啓蒙活動を含め活発に活動されているとのこと。
ホームページは、
http://jpps.jp/web/index.htm
にあります。入会すれば、ピンホールカメラのイロハから、重要な技術情報まで、入手できると思います。


アトリエ凡龍
http://bonryu.com/atelier_bonryu/Contents_All.html
のサイトは、非常に分かりやすい。博識です。並々ならぬ理解力、考察力に敬服。非常に参考になりました。3月に気づき読んでいれば・・・もっと簡単にピンホールレンズ製作できたでしょう。(製作法は載っていませんが、原理が明快に説明されて、製作の指標として有益です。)
デジカメによる、赤外線写真も載っていました。これも、参考になりますよ。

デジタル赤外線撮影の実際では、
赤外線撮影デジタルカメラと名乗る人のブログ
http://digitalinfrared.blog25.fc2.com/
には、「これデジタル赤外写真だ」という美しい写真が多数載っています。
氏は、デジタルカメラのデジタル赤外への改造も請け負っているようです。

いろいろな才能を持ったひとがいるものですね。
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  1. 2013/07/25(木) 07:53:05|
  2. 写真の技法
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Author:Alchemyst Sasaki
散歩にカメラの生活もついに12年目に突入。10年も続ければ、何かを掴めると思ったが、デジタルカメラの渦に弾き飛ばされ、未だ写真の眼を掴めないでいる。
絶滅危惧種のフィルムカメラでは、無理なのかなぁと嘆息。
冷蔵庫に100フィート長巻フィルム4缶、保存してあるので、
あと一年は撮り続けられます。それからどうするか考えることにしました。

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