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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

ピントを合わせる

このグログ、小生の備忘録のようなもの。
写真をどうとらえているか、考え方の変遷が、少しは判るのではないかと、
整理のつもりで書いているが、読んだ人は退屈だろうなぁ。

たまたま、覗いてみたが・・・面白くないと、二度とこないだろう。
それでも、時たま拍手をしてくれる人がいる。
まぁ、小生のような偏屈な人も 中にはいるのだろう。
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機械式のカメラは、使いこなすために、かなりの訓練が必要だった。
露光計はついていないので、絞もシャッター速度も 自分で決めなくてはいけない。
ピントを合わせ、手振れしないよう持ち、フレーミングして シャッターを切る。
フィルムを取り出し、現像し、できたネガを、引き伸ばし機で印画紙に焼きつける。
ようやく 一枚の写真になる。
その機械式のカメラが主流だったのは1960年頃まで、
プロの写真家になるためには、それなりの修業が必要だった。
使いにくいカメラを使いこなし、現像し、焼き付ける。
有名写真家あるいは写真館の下に入り、徒弟のような形で写真術を習う。
中学を卒業し写真で身を立てようとしたら、4,5年の丁稚奉公をし、
20歳の頃には一人前となり、のれん分けてして貰い、独立したのだろう。
誰でもできるものでない。一種の技能職。

今は違う、カメラを買い、写真家だと覚悟できたらプロの写真家だろう。
1965年ごろからカメラの電子化が始まる。
最初に組み込まれたのが、AE 自動露光。 
絞りとシャッター速度を加減して露光を決めていた。
光を読み違える・・・これが素人の失敗原因の第一番。
その失敗をカメラが自動測光して解決してくれる。
これが劇的な変化を生む。
露光計付き一眼レフ(当時日本ではTTLと呼んでいた。もう死語かもしれません。英語ではBTLと呼んだと思います。)
が発売されると、そのカメラを手に入れれば、翌日から「俺はカメラマン、俺はプロだ」と宣言することも可能な雰囲気が出てきた。
その後は モータードライブが入り、90年代になると、自動ピントがカメラに組み込まれる。
そして ついに手振れ防止がレンズに組み込まれ、カメラは、ほぼ完成形に近づく。
これはまた、全自動ロボットカメラの出発点ともいえるだろう。
デジタル素子を組み込んだカメラの出現。
1990年代後半からは、デジタル素子がフィルムの替わりに登場する。
これにより、機械式カメラで撮影する敷居の高さは、消失した。
フィルム代を気にして撮っていた素人の気がかりは消える。

ピントが決まったトーンのしっかりた写真を撮るだけでも、それなりの訓練が必要だったのに、
全てカメラが解決してくれる。だれでも写真家の道が開かれた。
どう撮るかというテクニカルな面(How to)は簡単に解決できるようになった。カメラに任せればいい。
表現本来の、「何をとるか」、「どういうテーマで 対象物を切り取るか」という撮影者の考え/覚悟が前面に出てくる。
良い時代になったと思う。
誰にでも開かれた領域にこそ、芸術が花開くと思うから。
才能さえあれば、画家になれる、ミュージシャンになれる、小説家になれる。
画家の補助具だったカメラ・オブスキュアが、ようやく画家の手を離れ、誰でも参加できる道具(筆)になった。
すごい写真家が現れ、写真を名実ともに芸術作品へと押し上げてくれるかもしれない。
そんな期待をしている。(現れないかもしれませんが・・・・)

最後にちょっとしたテクニック。
ピントを合わせたい対象物が中心にない時、コサイン誤差に注意という テクニカルな問題。
これも、やがて、デジタルカメラの進歩で、簡単に解決できるようになると思いますが、
まだ、カメラにその機能はあっても、使いにくいようです。

ファインダーの明るい(当時高価な)一眼レフカメラであれば、構図を決めてから、
周辺部のマット面でピントを合わせても、それなりの精度があり、ピント合わせOKです。
構図を決め(固定し)鳩にピントを合わせシャッターを切りました。
鳩859-44a
鳩をファインダーの真ん中にして、中央のスプリットイメージで合わせれば(これも死語かなぁ、マイクロプリズム式が多いから・・・)正確ですが、カメラを振って構図の位置までずらすと コサイン誤差でピントが狂います。
f:2.8と絞りを開けているので、被写界深度は浅い。ボケてしまう。
くっきりさせたかったら、絞値をあげ 被写界深度を深くしなければなりません。
前方、後方ともくっきりし、テーマとする対象物が埋没してしまうことになる。
そこで、鳩をくっきり写すためには、周辺のマット面でピントを合わせました。
高級な一眼レフの出番です。
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なんで今頃・・・
実は ポートレートを撮るためのテスト。
レンジファインダーカメラだと、目に合わせた後、カメラをずらし構図を決めるとき、眼にピントが来ない恐れがある。
それを避けるため、f:5.6とかf:8に絞って被写界深度を深くして誤魔化すことになる。
できれば f:1.4~f:2.8で ポートレート写真を撮りたいと考えている。(この辺りは テクニカル)
パララックスの問題もあるので、ポートレートには一眼レフ、Nikon Fだろうなぁ。
Nikon Fは 純粋な機械式カメラ、電池は入っていません。
1965年以前の撮影術を踏襲して撮っています。






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  1. 2016/06/07(火) 16:25:29|
  2. 写真の技法
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もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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