本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

Summarit 昔はライカの No.1 ・・?

気になるレンズが、中古カメラ店のガラスケースのなかにあった。
通り過ぎようとしたが、「ライカではNo.1 だったわ、もてたのよ・・・」
大事に育てられたお嬢様が、なりふりかまわず、おいでおいでしているように 思えた。
気づくと いつしか、そのレンズ 「Summarit」が手元にあった。
昔のレンズは、一つ一つマイスターの手作り。工業製品というより、工芸品の世界である。同じレンズでも、少しずつ写りが違い、良い玉に当たったら、手放せなくなるという。
現代のレンズに比べ、解像度、コントラスト、歪、収差、どれをとっても数字的には劣っている。それでもオールドレンズを使いたいという気にさせるのは・・・
いつも100点満点とる秀才より、予想もしないことをする(点数のつけようない)天才/奇才の人を 賞賛したくなるからだろう。
ライカの成功に刺激され、大ツアイスは、世界最高の光学機器メーカーの意地・技術力を見せつけようと、ContaxⅠを販売する。そこには交換レンズとしたSonnar 50mm F:1.5があった。
ライカには、その技術がないため、対抗すべく他社からライセンスを受けて、クセノン(Xenone)を製造していた。1936年のことである。
しかし、クセノンとゾナー、勝負はゾナーの圧勝でしょう。f:1.5で撮影したら一目瞭然。
ゾナーの凋落の原因は、ツアイスのもつコーテング技術が、第2次世界大戦後、戦勝国により公開され自由に使えるようになったことによる。コーテングは、レンズ設計の自由度を増し、更に その後のコンピュータ計算の発達によりゾナーは市場から消えていった。
入手したSummaritはレンズ番号から1954年製。レンズの設計は、クセノンと同じだが、新種ガラスの採用とコーテングで、性能は大幅にアップしたとされている。
Summarit422-6 f28
ズマリットレンズ、f;2.8まで絞るとどうにか鮮明なネガを作ることができる。できればf:4以上が良い。同じ場所で、f:1.5(開放)、f;2で撮影したもの、時計の部分を拡大して提示した。
Simmarit比較
比較対照としてソ連製F:1.5ゾナー Jupiter-3(ユピテルと発音するらしい)を載せた。このJupiter-3は1950年製である。ドイツ・イエナの工場を、そのままウクライナのキエフに移設したので、戦前のドイツ製とほぼ同じもの。ズマリットは3階のテラスから、jupiter-3は2階テラスから撮影。2階の撮影位置のほうが少し遠く、時計は少し小さく写っているが、ソ連製ゾナー、f:1.5の開放絞りにも関わらず、ズマリットのf:2.8より 少し鮮明な写りとなっている。
Summarit431-15.jpg
開放絞りで撮影。光線は午後のやや逆光気味に狛犬に当たっている。ハロがかかり、コントラストが低下する。しかし、狛犬の胸の部分、かなり鮮明で、解像度の高いレンズの片鱗を見せている。
Summarit比較Sonnar432-4
比較に翌日、1939年製の15ゾナーで撮影。しかもTコートレンズ。夕方の撮影で、逆光です。ズマリットより条件は悪くなっています。丸い環になったゴーストがでていますが、狛犬は鮮明に撮影できています。f:1.5で比べたら、ゾナーの圧勝、ズマリットは1,2ランク下の評価となるでしょう。
Summarit422-12.jpg
ズマリット、順光なら使えないことありませんが・・・ソフトフォーカスのような感じです。女性のポートレートには向いているのでしょう。なんとなく頼りない。キリと締まった感じにはなりません。もやがかかった・・・と呼べばいいのでしょうか。
ゾナーが、旧帝大出のエリートなら、ズマリットは深窓のお嬢様というところか。
世間知らずのところもあるが、その裏には良いところも。
ゾナーに比べ、レンズの収差が少ないような気がします。特に点光源のボケ方が素直でいいですね。それが、このレンズの特徴でしょう。
ニコンのゾナー553-13
これは、Nikkor 50mm F:2で撮影したものです。f:2.8まで絞っています。PCのモニター画面では見過ごしてしまいますが、ゾナー特有のボケ方をしています。
Summarit15で554-9
これはズマリットで撮影。絞り開放のコントラスト低下(ソフトフォーカス風描写)を防止できないかとY2フィルター(黄色)をつけています。PCのモニター画面では、比較は難しいでしょう。どちらも満足できる写りです。
画面左上の部分を拡大し、比較しました。
ゾナーとライカ レンズの差
一目瞭然、ニコンはゾナーF:2と同じ系統。f;2.8に絞っても点光源は三角ボケとなります。ズマリットは 点光源、素直な丸いボケです。
ズマリット 個性的なレンズです。開放絞りでのコントラストの低下がもう少し防止できたらと、修理屋さんと相談したら、前と後ろのレンズを新しいものに替え、レンズをオーバーホールすれば良くなりますとの見解、費用は5万円程度。しかし、どの程度良くなるという明快な保障はないようです。
昔はライカでNO.1だったレンズを掌に載せ、美容クリニックへ行かせるべきか 思案しています。


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  1. 2013/07/15(月) 18:11:16|
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Author:Alchemyst Sasaki
散歩にカメラの生活もついに12年目に突入。10年も続ければ、何かを掴めると思ったが、デジタルカメラの渦に弾き飛ばされ、未だ写真の眼を掴めないでいる。
絶滅危惧種のフィルムカメラでは、無理なのかなぁと嘆息。
冷蔵庫に100フィート長巻フィルム4缶、保存してあるので、
あと一年は撮り続けられます。それからどうするか考えることにしました。

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