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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

写真は 恐ろしい鏡

写真は目の前のものを撮っているだけ。
レンズによって外界を、カメラオブスキュラと呼ぶ部屋に投影し、それを記録する。
三次元の世界を二次元に変換し投影するが、それは、ギリシャの哲人が考え出した幾何学によっている。

写真は目の前を記録(コピー)するだけ。

己の心の奥底に踏み込み格闘し生み出されるのが絵画であり、文学であり、音楽だと思う。
その人しかなしえないオリジナリティがあり、創造的な作品と受け入れられる。芸術作品と尊敬されるだろう。、

しかし、目の前の光景をカメラという装置でコピーするだけ、そのどこにオリジナリティがあると言えるだろう?
一度評判になった風景には、たくさんのカメラマンが詰めかけ、同じような写真が 数多く撮影されていく。
オリジナリティはなくとも、綺麗に写っていれば満足。そんなところなのだろう。自然の鉛筆、コピーなのだから。

でも 写真には 写真の特性がある。
それは、目の前の「今」しか記録できないということ。
未来も過去も撮影できない。
絵画や文学なら過去や未来を表現できるが、たった今の一瞬は無理。
(俳句なら・・・できるかなぁ)

今を記録(コピー)するだけの写真だが、
記録するという行為が、その人の知性に裏付けられ、一連の活動となったとき、
人に感動を与え、創造的な作品と受け入れられるのだろう。
戦後 昭和30年頃、木村伊兵衛は、上野や浅草、銀座、数寄屋橋辺りを歩き、スナップ写真を撮っている。
一連の写真には、氏が何に興味を惹かれ、いかに時代切り取り、市井の人を写し(記録・コピー)取っていたかがわかる。
戦後10年目頃の東京の庶民の生活が、鮮やかに写しこまれている。
文学でも絵画でもないが、それに匹敵する創造的な作品だろう。
これが写真だとおもう。


写す人の知性をも映し出してしまうのが写真、怖い鏡だと思う。
素晴らしい知性に逢えた時は感動するが、
奇をてらっただけの、一見キャッチーな写真には、写した人の貧しい知性を感じ、嫌悪感を覚える。
そんな写真撮りたくないと。

写真は 恐ろしい。それが、この9年間の「散歩にカメラ」で分かってきたこと。 

取り込み比較
11月の初めころ 目黒川河口の東品川海上公園を散歩しているとき撮影した一枚。
平成27年の少年です。咄嗟のフレーミングだったけど、おそらくシルエットになるだろうと思ってシャッターを切っていた。
何に興味を惹かれたか、どう切りとったか・・・露光はどうしたか・・・ピントは・・・小生の知性が試されている。
現像し、ネガを、フィルムスキャンし、デジタル化。
そこでまた考え込んでしまった。
ここでもまた、小生の知性が試されている・・・
童話的な(恐ろしげな)光景と捉えたら、真ん中のスライドを右にずらして 画像を取り込み、シルエットとして少年の姿を抜く。
「おーい」797-21
しかし、ネガの上に微かに記録されている銀塩の画像を暗く潰すのは、少年の表情を抹殺するようで・・・心苦しい。
トーンのスライドを左に振って、画像を取り込む。
「おーい」797-20
どちらが正解かわからないが・・・
コピーに過ぎない写真だけど、写した人の感性/知性で、写真は出来上がっていくと思う。
ネガはある。 また違った考えで 画像を取り込むこともできる。

絵画には最後の一筆、文学には決定稿があるが、記録に過ぎない写真は、フワフワして、明快な完成と言えるものはない。
撮影者の知性は常に研ぎ澄まされていく。ネガから別の焼き付けも可能だ。
写真の表現が確定するのは、撮影者が亡くなったときだと思う。。
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  1. 2015/11/17(火) 23:07:18|
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Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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