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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

もう一度 フィルムに戻ってみよう

写真は 現実のコピーに過ぎない。
カメラオブスキュアの時代から、レンズを通し、キャンバスに外界の世界を投射し、それをなぞり、絵画を描いていた。
映し出された構図は現実のコピーだが、その逆は成り立たない。
写真は、現実のごく一部を切り取り、抽象化して記録しているに過ぎない・・と思えど、
それでも、カメラを抱え、散歩に出る。
何故だろうと、歩きながら、シャッターを押しながら考える。

絵画なら一点もの。同じものはできない。
写真は、何点でも同じものをコピーして作ることができる・・・・
しかし、そうだろうかという思いもある。
写真の原点は、ハンドクラフト、むしろ職人芸に近い。
年季の入った人の手になれば、同じような工芸品を、いくつも作ることができる。
一定水準以上のものを作れるようになると、プロ/職人と呼ばれる。プロ/職人が必要な分野では、プロ/職人の数も多くなる。
職人は 時とすると/いや ほとんどいつの時代も、軽んじられた。「もし、駄目なら、ほかの人に頼むから・・・君の替わりならいくらでもいる。」
しかし、匠の技術が、誰も真似できない高みに達すると、職人の世界とは別の世界が開けてくるのではないだろうか?

風景写真を撮ろうとしなくなったのは、アンセルアダムスの写真を観てからである。
40年ぐらい前だったか・・・写真集では何作か見ていたが、実際のプリントを観て、衝撃を覚えたから。
人の心を引き付けるすごみ・美しさがある。
こんなのとても撮れない。 NikonFで表現できる写真ではなかった。
今でもそう思う。
8×10インチのビューカメラを扱い、現像、印画紙への焼き付け・・・アンセルアダムスはそれを一人で行う。
習熟には気の遠くなるような努力が必要、努力しても無理かも・・・。
Wynn Bullokのオリジナルプリントも 非常に綺麗。
心が惹きつけられるのは、絵画と変わらない。
森山大道のオリジナルプリント、「キャベツ」の写真もきれいだ。
コピーに過ぎないが、コピーと軽視したり蔑んだりすることはない。
技術の高みを一歩超え、その人しかできない表現法を確立できれば、それなりに意味ができるのだろう。
フィルムの写真は、ハンドクラフト、まだ工芸の世界にある。
もう一度、フィルムの現像、最初からやり直してみようかという気になっていた。
光785-13
デジタルカメラでは、ハンドクラフトの世界は極端に少なくなっている。ほとんどシャッターボタンを押すだけ。カメラの中の電子頭脳が、肩代わりして撮ってくれる。画像も、レタッチソフト任せ。レタッチソフトを使いこなすプロは出ても、さらに一歩を超える匠は出てくるだろうか?レタッチソフトを設計する技術者の掌(たなごころ)の上で、遊ばされているような、居心地の悪さを感じないか?
光785-1
TRI-Xのフィルムは、高くなりすぎた。
Rolllei Retro80S あるいは400Sが、当面 使える値段のフィルムなので、それらを使い、現像液を換えて検討してみようか(使いこなすための技術開発)と思っている。
写真の原点は、他人任せしないハンドクラフト(手仕事/工芸品)によってなされてきた。
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工業化された世界では、とびぬけた製品は欠陥製品とし排除される。
もし、それがユーザーの手に渡り、再度、同じ品質を求められたら、対応できなくなる。
品質とコスト、工場生産では一番厄介な問題になる。
一定の品質のものが多量に生産できて 初めて工業製品だ。
デジタル写真は、工業製品の世界に入ってしまったのかもしれない。
誰が使っても、一定の効果/レベルが 保障されるのが 工業製品だから。

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  1. 2015/09/27(日) 16:06:11|
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