海外に出張するときは、相手先と記念撮影したり、簡単な備忘録のつもりで、バカチョンカメラを持って出ていた。
日付が入るコンパクトカメラは、最適だった。
一か月に及ぶ出張でも36枚撮り1本で充分だった。
それが、2000年頃、ヨーロッパを旅したとき、何を思ったのか、Nikon SPを持ち出していた。
出張の記録は、コダックの100万画素デジカメで充分、だが、同時に物足りなさを感じていたのではないだろうか?
本格的なフィルムカメラを使いたくなったのだろう。
Tri-X フィルムを数本持って行った。
ノルウェーのベルゲンに着いたときは、休日の町をNikon SPを片手に散策していた。
この時、撮った写真、帰ってきて現像し、写真ていいものだと、再発見していた。
それから15年、特にこの9年間は、沢山写真を撮っている。
この15年の間の写真を見ると、
少しづつ、撮る対象が変化(これは小生の内的変化)し、気づかないうちに、周りの景色が変化している(外的変化)ことに気づく。
デジタル写真であれ、フィルムの写真であれ、結局は、その時、その場で目撃したことの、コピー。
歳月は待たないが、コピーは残る。残ったものを、体系的に捉えれば・・・世界が見えてきてもいい。
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2002年 蕭山で撮影したもの。
蕭山賓館の前の道を西に200mも進むと、歴史を感じる建物があった。

物資の積み下ろしをする小さな船着き場もある。古来、南船北馬。南の蕭山も、運河が発達し、物資の運搬は船が主流だったのだろう。今は道路が整備され、トラック輸送に切り替わっている。

2か月後、再び訪れると、建物は、壊されていた。

猛烈な建設ラッシュが、蕭山で始まっていた。
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今年 撮影したデジタル写真。
画素数は1400万画素を誇るが、以前撮影した200万画素の写真と比べると貧相である。

空き地には公共の建物・・・しかし、多くは駐車スペースになっている。
樹の幹が太くなっているので、歳月の経ったことを感じさせてくれる。
しかし、醜い。以前建物のほうが、心に響いてくる。
広いスペースは無駄、経済発展のため、駐車スペースが欲しい。

古いものは、目障りだ。
蕭山は、欧米並みの近代的な都市に変貌するのだ・・・そんな 意志が働いているのだろうか?
新しくできる大きな建物は、ほとんど無国籍。
日本でも・・・ドバイでも、上海でも、シンガポールでも・・・
驚くほど似ている。まるで マーハッタンのビル群のように、確立した建築様式でたてられていく。
ユニット化され、大量に同じ単位で規則的に組たれられていく。
化学を習った人間なら(理系の人間なら)すぐに気づく。エントロピーを小さくしている。
規則正しい世界に住むのが一番快適だ。混乱(カオス)より調和(コスモス)へ世界は動いている。
しかし、冷房の効いた部屋(エントロピーの小さな)を作るためには、空調機を動かさなければならない。
快適な(エントロピーの小さな)空間を作るため、電力を消費するので、系全体ではエントロピーは増大の方向になる。
欧米の快適な生活(エントロピーの小さい)を維持するためには、それ意外の地域のエントロピーは増大するという犠牲で成り立っているのが、本当の姿だろう。
地球を食べて、人類は快適な生活(エントロピーの小さな、規則的で、統制され、安全な)を作ってきた。
地球を食べて、人間は、エントロピーは増大させている。 己の快適な(エントロピーの少ない)生活環境を作るため。

あと何年、人間はこんな生活を続けられるだろう?
100年?
1000年?
一万年はないだろうと思う。
靴を直し、リサイクルする生活に戻れるだろうか?大量消費、新しい靴のほうが快適だ。
現在の快適な生活を、あきらめることできますか?
あきらめたら、職を失った人が増え、社会は混乱(エントロピー増大)する。
所詮 人間は、地球を食いつくし、エントロピーを増大させ、滅亡するだけの存在かもしれない・・・・
(人間の決めた法律に従い)「金儲けして、何が悪いのですか?」という言葉が、いつも、重くのしかかっている。
所詮 人間は 地球に寄生した生物の一品種に過ぎない。
人間が決めた規則と、自然の摂理(法則/規則)、どちらの規則が優先するだろう?
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エントロピーの概念、19世紀には、熱力学として学問的には確立している。
そのことが、世界を理解する手段になっていた。
熱力学から、量子の世界(理論/規則)の扉が開く。
量子の世界から、更に微細な素粒子の世界へ・・・その素粒子の世界が、突如、広大な宇宙の世界とつながる。
しかし、まだまだ、知恵が足りないのだろう。
暇を もてあまし、近くの区立図書館へ行き、宇宙論や、素粒子論の「読み本」を借りてくる。
やはり、サイエンスは面白い。
小生が生きている間に、この謎が解き明かされないかなぁ。
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- 2015/08/02(日) 19:50:39|
- 遥かなる寧夏
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