小生の好きな写真家の一人にウイン・バロックがいます。密かに「存在」を探求した写真家と呼んでいます。
さるすべり(百日紅)の撮影に夜の戸越公園に行き、ついでに咲いていた花をデジタルカメラで何気なく撮影。
帰ってきてPCのモニターで撮影した花の画像を見て、「アッ」と驚きました。

夜の公園で見た花と印象が全く異なっていました。
そして、不意にウインバロックの言葉を思い出していた。
彼は以下のように語っていたと、小生は解釈しています。
「"Reality"は、存在"Existance"そのものではない。光の反射を捉え現実(Reality)を認知しているだけ。Existanceはその奥にいる。」
そして、彼はRealityからExistanceへ、何層にもなったLadder(梯子)を降りていき、写真を通して「RealityとExistance」の関係を探求していた。
後日、戸越公園の庭師に聞いたところ、この花「アカンタス・モリス」という名前だそうです。インターネットで調べると、ギリシャの国花でもあるとのこと。
夜の公園では、街灯の弱い光に、薄紫の花という印象が残っていた。がくの部分の印象は薄かった。
レタッチソフトを使ってハイキーにすると、鮮やかな緑に、ローキーにすると、神秘性が増す。ストロボをたいて写した画像では、ブルーの色が葉の緑に乗っかり、また違った印象になる。しかし改めて、昼 戸越公園へ行き確認すると何の変哲もない見慣れた花という感じである。どれが、「アカンタス・モリス」のRealityなのだろうか?
花の写真、キャッチーに撮ろうと思えば、光を調整、レフ板を使い、背景をつくり、その花が美しくなるようセットして撮影。しかし、それで、美しい花の写真が撮れたとしても・・・ウインバロックだったら、どんなコメントを残すだろう?
彼からも「本当に大切なものは見えない」と言われていそうな気がする。

フィルムで撮影した、「アカンタス・モリス」です。左上方に街灯の灯があり、人影のない公園でひっそりと咲いていました。人けの失せた夜の公園のベンチに座り、この花を観賞する人 有りや無しや?
スポンサーサイト
- 2013/06/08(土) 09:23:09|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0