フィルムの時代は、カラーフィルムの色を一定にするため、色温度に合わせフィルターを選び、撮影していました。
デジタルになると、カメラが自動で補正してくれるようになり、光の温度に鈍感になっています。
まあそれでも RAWで撮影すれば、現像ソフトでその具合を調整することもできます。カラー撮影の失敗はなくなりました。
すごい進歩だと思います。

カメラ任せ(自動設定)で撮ったもの。RAWで撮影。現像ソフトでホワイトバランスを見ると、撮影時の設定は4300°ケルビン付近になっていた。プリセット調整を開けると、オート、太陽光、曇天、日陰、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、音色蛍光灯、白熱灯、フラッシュなどの項目が並ぶ。
色温度調整では、色温度を任意に設定できる。

6000°ケルビン(澄み切った太陽光の温度)にすると+1700℃ケルビン上げたので全体に波長は長波長側へ移行する。

反対に下げて(-1800°ケルビン)2500°ケルビン(蝋燭の光くらいだろうか)すると、全体が短波長側へシフトする。
冬の氷の季節、あるいは夕方の景色を撮影し、色温度をいじって、青い世界を作り、「きれい」と喜んでいる人もいるが・・・どうしたものか・とも思う。まるで色遊び、創造的ではないような気がする。
いっそ、白黒モノトーンにしたほうが、潔いだろう。パンクロフィルムだと、色温度はあまり大きなファクターにはならない。


同じフィルムだが、フィルム感度をISO25とISO400で使っている。勿論現像液は別にし、条件を変えて現像している。
ISO400で使用し、増感現像液で現像したほうが、ポニーテールの質感をよくあらわしていると思う。
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色温度(ホワイトバランス) どのようなものか効果は知っていても、
何か?と考えたことないでしょう。
理工系に行ったひとなら・・・当然と、あまり気に留めないかも。
イギリスの産業革命は1760年頃から始まるというから、ニュートンが生まれて100年以上の時が過ぎている。
熱力学は、産業革命から生まれてきた。
その熱力学を、大学教養一年生で習う。ニュートン力学が高校生なら、熱力学は大学一年生・・・今になれば当然の流れだと思う。(しかし、エントロピーには悩まされたなあ。)
19世紀末ごろになると、溶鉱炉は大型化し、温度を熱を正確に知りたいという要求が高まる。
レイリー・ジーンズは、熱力学の理論を駆使し、黒体輻射(あるいは、空体放射)の温度と分光輝度の関係式を、
当時知られていた物理の理論を駆使し厳密に導いた。
U(v)=8ΠKbTv^2/C^3 (Πは円周率 Kbはボルツマン定数 Cは光の速度 Tは温度 K:ケルビン v:波数)
低波数側はぴったりと一致したが、高波長側では無限大になり、理論は破堤する。当時の物理理論に大きな疑問を投げかけてしまいました。
一方、ウイーンも関係式を編み出す。(理論式というより実験式だろう。)
U(v)=av^3・e-bv/cT a,b,cは実験に合わせて決める定数。eはネピア、自然対数。
この式は高波数側でよく一致するが、低波数では誤差が出る。
そこでプランクが二つの式の良いとこ取りして考えた式が、
U(v)=(8Π/C^3)v・hv/(ehv/kbT -1)
hは実験によって決まる定数ですが、後年プランクの定数と呼ばれるようになります。プランクはhを実験値に合わせるためだけに付け加えたのですが、こうすることで、実験値とこの関係式は驚くほどぴったりと一致するようになりました。この式を微分し、ピーク位置を求めれば、温度と最大輝度の関係ができます。
簡単な関係式になりました。
λmax=b/T 最大波長と温度が反比例の関係になっています。 (bは0.28977721cm・K)
光のスペクトルを分解し(ここにもニュートンが現れる、プリズムを使って太陽光を分解して見せたのはニュートン)最大輝度の波長を求めれば、温度を計算で求めることができます。これが色温度。
何度K(ケルビン)の光の下で撮影されたか知り、その補正を行うのがホワイトバランス。
数式は、考え出した人より時に雄弁になる。
定数hの解釈から、量子論の扉が開かれていく。
そして (小生にとって)もっと衝撃的だったのは、宇宙背光のスペクトル観測データが、プランクの式に一致すると知らされたとき。
宇宙背光はビックバンがあったことを示す証拠。
約130億年前にあったとされるビックバン、その残骸の宇宙背光は熱的に平衡にあり、プランクの式に一致する。
ならば、古典的な熱力学を宇宙の謎に適用してもいい?
ビックバン以降、エントロピーは増大する一方だったのか!?
色温度・・・・宇宙の底を覗いている気がする。
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- 2015/02/27(金) 10:22:48|
- 写真の技法
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