品川の キャノンギャラリーで森山大道の写真展「遠野2014」が開かれている。
散歩の脚を少し延ばし見てきた。
コンパクト・デジカメで撮影したカラー画像をモノトーンに変換したのか、最初からモノトーンモードで撮影したのかは不明。
デジタルで撮った作品。
いつもの、白黒の美しい独特のトーンで、まとめられていた。さすが、森山大道だと、圧倒されたが、次第に見慣れてくると・・・不安のほうが大きくなっていた。
行きつくところまで、来てしまったか?
2年ほど前見た、森山大道の写真展は、全てフィルムで撮影したもの。作品の細部をよく見ると、暗室内で印画紙と悪戦苦闘する氏の姿が想像できた。この部分は焼き込んだ、ここはマスクを切り抜き覆い焼きしたのか? そんな箇所を探しながら、全体のバランスを見る。すごい感性とそれを支えるテクニックだと・・・そうそう、真似できるものではないと感嘆していた。
「遠野2014」 2年前見た作品より、写真の品質は高いのだろう。細部を見ても、画像処理したであろう継ぎ目が良くわからなくなっていた。
しかし、部分部分を見ると、エッジが立った部分があったり、妙に白のコントラストが高い部分、ピントが不自然な部分などを見つけていた。しかし、境界はわからない。ぼかし方もうまい。
これは部分的ソラリゼーション処理したのか?この部分はトーンカーブをいじっている。空間フィルター処理(ノイズj除去、エッジ強調、平滑化)をこの部分には施している・・・と、想像できる。電線の部分は、ラプラシアン・フィルターか?この部分はアンシャープマスクか?など、考えながら、作品を見ていた。
すると、次第に森山大道氏の姿は後ろに下がり、ただ指示しているだけとなる。実際に写真を作っているのは、優秀なキャノンの技能集団になっていくような気がした。デジカメの画像処理に関しては、最高水準の企業である。優秀な人材は豊富だ。こうしたいと言えば、即座に画像処理のプログラムをライブラリーから探し、要求に答えてくれるだろう。
富士のデジカメには、プロビアかベルビアというモードがあるそうだ。
そのうち、キャノン・デジカメのエフェクトモードに「森山大道風」というモードがつけ加わる・のか・・・
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写真のネガが、湿式から乾式に変わったとき、ルイスキャロルは、きっぱりと写真を止めている。
乾板を購入して写真を続ければいいのにと思うが、それが許せなかったのだろう。
湿式で彼以上、上手に写真を撮る人は稀だったから。
手仕事としての写真は終焉を迎えているのかも。
「所詮、写真は現実のコピーさ」と、森山大道氏は達観しているのだろうか?
森山大道氏の暗室技術はすごい。フィルムに残る銀塩からトーン取り出し、画像を作る技術はピカイチだと思う。
しかし、氏はフィルムを捨てることになるだろう。
フィルムより、デジタルのほうが、自由度が高く、氏の好むトーンを作ることができるから。
それでも、フィルム?
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画像処理に頼るのは好きではない。
終焉を迎えたとしても、手仕事が好きだ。

10年以上前のバージョンのフォトショップを使っている。境界を自動でぼかす機能もなければ、一次微分、二次微分の空間フィルターもない。あるのはトーンカーブと、明暗のレンジ、それでも、異様な(見慣れない)トーンを作ることはできる。

1時間もPCの前に座り、試行錯誤し、トーンを作っていくと、いつもとテーストの違うトーンを作ることができた。
こんな、使い方・・・あまり好きでない。これを追及してなにか出てくるだろうか?
みんながみんなやりだしたら、陳腐な表現に成り下がっていく。感動を強要されたような陳腐な不愉快感が残るようになるだろう。。
トーンを整える程度で、止めるべきだと思っている。
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去年、写大美術館でみた「アクシデント」展のほうが、「遠野2014」展より、良いと思う。
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- 2015/02/04(水) 19:01:08|
- 写真の技法
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