画家は スケッチブックを携え、面白いと思ったものを、簡略になぞり形を掴む。
そうやってデッサンを積み上げ、作品つくりの基礎を作っていく。
以前ピカソの若い時のデッサンをみたことがあるが、写実的なうまさに驚いたことがある。
16歳の少年に、こんな絵が描けるとは!と感嘆した。
そういえば、日本の北斎も、北斎漫画という絵手本帳を残している。
画業の基礎には徹底したスケッチ力がある。
カメラを手にすると、最初から綺麗に撮れてしまうので・・・・デッサンしてみようという意識は少ない。
特にデジタルカメラになってその感が強い。
あわよくば、最初の一枚からプロのような写真が撮れるのではないか・・・ラッキーなチャンスに恵まれれば、と思ってしまう。
散歩にカメラを持ち出し8年、ついに9年目に入った。
過去に撮った写真を眺めて・・・何か足りない。
基礎的な訓練のなさでは ないだろうか?と危惧している。
なまじ簡単に記録/撮影できるので満足してしまう。
「対象の美しさが、写真の美しさではない。対象の力強さが、写真の力強さでない。」と 土門拳に忠告されても、(綺麗な場所に行き撮影し、)綺麗な写真が撮れたと勘違いしている。
技術もないのに「心に残るイメージを」などと大上段に構えるのは、おこがましいというものだろう。
光と材質を どのように捉えることができるか、初歩的な練習をすべきだろう、とおもっている。

三共製薬と第一製薬が合併して、第一三共となった。大崎にある旧三共製薬の敷地に新たな研究棟を建設するのか、工事が始まった。クリーム色の塗装を施した鉄板で工事現場が囲まれている。景色が反射して微かに像が浮かび上がっていた。写るだろうか? 「デッサンだ。」と思ってシャッターを切った。

これは目黒通り、目黒駅近くの工事現場。
同じく塗装した鉄板が使われていた。
カラー鉄板に映る像、白黒の階調差は少ない。フィルムはその差をちゃんと記録してくれた。
フィルム、露光、現像どれもが重量な要素。しかし、レンズとカメラは、重要な要素になっていない。Minolta Hi-Matic F でも 撮影できたと思う。一番重要なのは、暗室で行うフィルムの現像だと思う。そして 露光とフィルム。
歳をとったが、まだ、まだ、練習すべきこと たくさん残っている。一生、スケッチ(デッサン)すべきなのだろう。
スポンサーサイト
- 2015/01/23(金) 10:28:07|
- 写真の技法
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0