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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

踊りの練習を撮る

今年の夏、旧知の女性から「阿波踊り」に出るので、「撮る阿呆」にならないか というお誘いのメールを受ける。
久しぶりのメールに驚き/訝しく思ったが、誘いに乗り「撮る阿呆」をしていた。
小生から見たら、まだ若い女性だが、もう50歳を超えている。若い時は学究肌で日本史、特に近代日本史を勉強し、論文を書こうと資料集めをしていた。子供に恵まれなかったことを悔い、親戚の子を養子にとも思ったが、それもかなわない。
その人と、踊りが結びつかない・・・・
記念に、撮影したショットから何枚かを写真にして郵送した。
小生が、写真好きだったことを覚えていたのだろう。
阿波踊りの季節も終わった9月の終わりごろ、メールが届く。
礼状であった。よく撮れていると言ってくれた。今度、場所を借り個人で踊りの練習するので、その様子を撮ってもいいという。「撮ってください」と言わず、「撮ってもいい」というところが、この女性の心のスタンスなのだろう。
また「のこのこ」と出かける。
舞踏DSC04805デジタルカラーは得意ではない。人の動きを 液晶画面で捉え、ピントを合わせシャッターを切るのは、老眼となった現在、ほとんど不可能に近い。
舞踏669-8 Ⅴ使い慣れたレンジファインダーカメラなら、今となっても追うことはできる。等倍ファインダーのS型ニコンは最適。一番明るい Nokotn 50mm F:1.5を付けた。 室内なので、動きを止めようとするとf:1.5まで開ける必要がありそうだ。
舞踏669-22 Ⅲ照明設備のあるスタジオなら、綺麗に撮れそうだが・・・・ あまり使わないストロボを焚いて動きを止めた。
舞踏669-24 Ⅲ
お散歩カメラが主で、せいぜい花の接写撮影の時ぐらいしかストロボは使用しない。
閃光照明なので、どのような陰影を生むのか・・・予想は難しい。もう少し経験を積まないと・・・光を読めないなぁ~~と思う。
撮ったカットから 数枚 プリントし、郵送する。
数日後、メールが届く。礼状であった。そして、会わないかのお誘い。
新橋の喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
その後、日本近代史の勉強は止めたようだ。発表する場所がないという。50歳も中ごろになると、孫の世話ができるはずだが・・・と寂しげだった。何かしないと、このままでは、毎日ご飯を食べ、年を取り、死ぬのを待つばかり。そんな人生は送りたくない。体を動かそうと思い、昔から興味があった踊りを始めた。踊って汗を流している瞬間が、生きているという感覚になれる。そして、このまま死んだら、ここに居たという記憶も残せない。その記録/記憶を残したいから、写真に撮ってほしいと思い、連絡したという。写真の出来に満足しているので、今後も撮ってくれないかとの・・・依頼であった。
自己顕示欲の強い人かもしれない。結婚し、家庭に入ってからは、いい奥さんになり、子供のいる温かい家庭をつくろうと夢見ていたのだろう。頭脳が明晰なだけ、現実とのギャップに苛立っているのか・・・・
どうしたものかと考える。そっとスナップ写真を撮るのは好きだが、今となっては、盗撮となる。撮らせてくださいとお願いしたら、表情は「作り物」になる。楽しくなくとも、写りを意識し「楽しそうな顔」をする。あるいは定番のピースポーズ。撮るほうも、ベストショットになるよう、気にしながら撮影する。自然な飾らない視線を撮りたいとは思うが・・・・
綺麗に撮れていれば、顔が写っていてもブログに載せてもいいという。しかし、載せるには 小生のほうに葛藤がある。旦那さんにも幾度かお会いしている。ハッキリと顔の写っているカットは・・・・
小生のブログは、「何に関心を持ち、どのように撮影したのか」を確認するためにのもの。
自分の写真スタイルを見直すため行っている。公開するのは副次的なものと思っている。
彼女の意図と、小生の撮るスタンス、食い違っているのではあるまいか?と危惧する。
どうしたものか・・・
もし、撮るとなれば・・・・来年は 「ポートレート、人物を撮影する」とは どういうことか? そんなことを反芻しながら撮影する一年になるのかも。今年は、風景写真のことばかり考えながら 写真を撮っていたような気がする。結論は出なかったが。

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  1. 2014/12/16(火) 09:46:31|
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もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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