1966年から1969年の4年間ほど、夏になると奥蓼科へ行き、八ヶ岳に登ったり、カメラ片手に落葉松林に踏み込み、所構わずシャッターを切っていた。
植林された落葉松林に入ると、明るい陽ざしに、羊歯の葉が明るく輝いていたことを覚えている。

蓼科にいくなら、あの明るく輝く羊歯を撮ってみたいものと、密かに考えていた。
この写真は、奇跡的に残っていたポジフィルムで、そのなかでも比較的損傷の少ないスライドの一枚である。それを、フィルムスキャナーでPCに画像を取り込んだもの。長い年月、お菓子の空き缶で眠っていたため、褪色していたが、当時の雰囲気を伝えていると思う。フィルムはフジのリバーサル(ポジ)フィルムを使用してる。感度はASA100(ISO100)である。

落葉松は大きく太く成長し、巨木の林になっていた。地上に届く光はわずかになり、落葉松林の羊歯の群生は小さくなり、代わりに笹が増えている。植生は確実に変わっていた。白樺の樹も少なくなってきている。
一か月早く来ていれば、羊歯の葉ももっときれいだったのだろう・・・・群生する羊歯の葉に褐色の斑点が浮かぶ。老人の皮膚を連想させる。小生と同じか・・・・
弱い逆光の陽を受けた羊歯の葉に、バランスさせようと内蔵の小さなストロボを強制発光させて撮影。見比べると、昔のスライドの発色のほうが深みがある。Sony NEXだからか? ニコンやキャノンなら、発色はフィルムよりいいのだろうか?

Rollei赤外400Sフィルムを使用し撮影。720nm以下の波長をカットするフィルターを付けて撮影している。もし、太陽の日差しに照らされ、赤外線が豊富に照射されていたら、葉は白く輝くように撮影できるはずである。
レンジファインダーなので最短は1mまでしか近づけない。赤外線撮影時には、距離補正も必要になる。手振れを気にしながら、絞りをなるべく絞りたい。撮影には、かなりストレスがかかる。
結果は、努力は報われない。草花を白黒フィルムで撮るのは至難の芸当だと思い知らされる。
いくら努力しても、だめなものは、駄目、という現実を突きつけられる。

デジタルカラーでは、色彩に深みを感じないが、雰囲気は出ている。撮影は至極簡単。フレーミングして、ボタンを押すだけ。ストレスはない。

太陽の陽差しが羊歯の葉に届いたので、撮影してみたが、赤外線フィルムを使ってもキャッチーな写真にならない。

むしろパンクロのTri-Xフィルムで撮影したほうが、その場の雰囲気を伝えている。
フィルムとフィルターに凝り、わざわざ撮影条件を難しくしている。
まぁ、これも経験、勉強になった・・・とポジティブに考えよう。
草・花は カラーの世界なのでしょう。
もし、再び夏の蓼科へ来る日が訪れたら、今度はカラーポジフィルムで、羊歯の葉を撮影してみよう。
勿論、カメラはNikon Fである。
P.S
カラー写真の撮影にはリバーサルとかスライドと呼んでいたフィルムを使っていた。今ならポジフィルムというべきだろう。コダックのリバーサルが一番発色が良かったが、高価なので、国産の富士かコニカを主に使っていた。
10年ほど前、菓子の空き缶に当時のスライドを発見。褪色が進んでいたが、これ以上の劣化を防ごうと、フィルムスキャナーで取り込み、デジタルデーターに変換している。経緯や撮影した写真の一部は、すでにこのブログの2013年3月、5月に載せている。あるいは、「思い出の写真」のジャンルにまとめられているので、興味ある方はそちらをクリックしてください。
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- 2014/09/15(月) 09:17:27|
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