土門拳の随想に「カメラは安物で結構だ」というのがある。
プロは、失敗がゆるされない。クライアントの求めに応じ、どのような対象物でも上手に撮るため、万能の、最高のカメラを手にしようとする。仕事をするための必要経費で、減価償却の対象となる。
しかし、趣味で撮影するアマチュアが、そんな高価なカメラを買ってどうするのだ?
それより、撮ることに専念すべきではないか?という問いかけであった。
そして一言、「写真を見る人は、写真を見るのであって、写したカメラを見ているのではない。」
そりゃそうだと思う。
Lマウント(ライカマウント)のいいレンズが、中古カメラ店の棚に並んでいた。
その一つを手に入れ、安い中古国産のレンジファインダーカメラにつけて遊んでいた。
もともとNikon SPを使っていたので、ライカ系レンズと、ツアイス系レンズの違いを知りたいという気もあった。
時に違いを感じたこともあったが、写真の出来は、対象のインパクト、うまくシャッターチャンスを掴めたかできまり、カメラではないと実感する。それでも(自分の腕を棚に上げて・・・)古いレンズの微妙な差を楽しみにしてしまう。

カメラは コシナ製BessaR を使用。ライカⅢfではありません。(純正のライカカメラを、持っていません)レンズはElmar50mm F:3.5 ノンコートの古いライカレンズです。中央の杭にピントを合わせました。杭まで約1.5m。レンジファインダーでは最短で1mまでしか近づけません。f:6.3の被写界深度は1.3m~1.75mくらいでしょう。この範囲外はボケていると判断されるでしょうが、像の崩れが少ないので、違和感を感じません。古いレンズでも、高解像度感はあります。1937年製、コーティングなしのレンズと説明したら・・・・77年前のレンズです。そんなのが今でも使えるの!?と驚かれるのでは。

向日葵までの距離は、同じく約1.5m。太陽を向日葵の花で隠しました。完全な逆光で撮影。露光は空に合わせました。
それでも、内蔵露光計の提案する絞り値より一絞り開けています(オーバー露光)。
アマチュアは、写真を楽しめればいい。どんなカメラで、どんなレンズで撮りろうが、写真を楽しんでくれというのが、土門拳の「カメラは安物で結構だ」の真意なのだろう。
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- 2014/08/17(日) 10:42:26|
- ひまわり
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