20世紀末まで、フィルムカメラの時代が100年間ほど続いていた。
その中で、白黒フィルムが主流だったのは、1970年頃までだろう。
カラーフィルムの性能が上がり、使い易くカラーの褪色が防げるようになると、
写真はカラーフィルムの時代になっていく。
1990年代の末頃、遂にデジタルカメラの時代に入る。
その頃になると、白黒フィルムは極めてマイナーな存在となる。
それでも、世界を見渡せば、フィルム写真を使って写真を撮る人はまだいる。
日本では、コニカ、フジがフィルムの製造を止めたが、
まだフィルムを製造し、販売している会社は世界にある。
最近使用しているフィルムは、チェコのFomapan100とドイツ(ベルギーか?)のRetro80Sが多い。
武蔵小山商店街の近くを歩いていて発見した民家を撮影した。

現像液は(AⅢn1)を使用した。
出発点は、TRI-Xフィルムに合わせて成分を調整した現像液(A)に始まる。
やや軟調な現像液で、TRI-Xの粒子を荒らさず、白飽和を抑え、黒潰しないトーンを目指し開発したもの。
基本は、現像液の廃棄を極力避けたかったので、補充液を使い現像性能を一定に保つことを考えた。
それにはほぼ成功し、毎回補充液を添加し現像した。
約400本繰り返し再利用したが、いつも一定のネガを得ていた。(6年間ほどは全てこの現像液)
経済的な現像液だった。
10年程前、TRI-Xの価格が高騰し、購入を諦め、当時は安価だったKentmere400に替えたが、
現像時間をほんの少し延ばしただけで、同様に現像できた。
しかし、Kentmere400の価格が上がってきたので、
また安いフィルムを探し、RPX400に切り替えた。
このフィルム、(A)現像液では、被りが出やすく、白飽和もしていたので、成分の調整を行い最適化し(AⅡ)になった。
使ってみるとRPX400フィルム 使いやすいフィルムで、ソラリゼーション現像も 意外と上手くいった。
しかしトーンの幅が少し狭いように感じていた。
更に安いフィルムを探し、遂にRetro400Sにたどり着く。
このフィルム(AⅡ)では トーンを上手に合わせられなかった。
でも個性的なフィルムなので、なんとか使いこなしたいと思い、
リサイクルして使う(A)系統の現像液を諦め、
希釈現像に変え、一回限りで現像液は廃棄することにした。
軟調な現像液から硬調な現像液まで、様々な現像液を作りテスト、現像液を替えると、ネガのトーンも変化する。
それが面白い。興味に連れられ沢山の現像実験をしたのでフィルム現像液に関し、かなりの知見をえることができた。
今年の初め、もう一度原点にもどり、リサイクル現像考え、
(AⅡ)現像液の改良に取り組み、遂に(AⅢn1)を探し当てた。
ことし、3月からは(AⅢn1)を使用、補充液を添加して繰り返し再利用している。
現在まで、16本のフィルム、すべて上手く現像できている。

この現像液の特徴は、粒子が目立たない微粒子現像液で、
白飛び、黒潰を防止した、やや軟調な豊かなトーンのネガを得ることができる。
1300万画素 等倍まで拡大しても、銀粒子のザラつきはかなり軽減できている。
フィルムを使う人は減り、自家現像まで行う人は少なくなって来た。
でも、現像液、現像法を工夫すれば、そのフィルムの隠れた能力を引き出すことができる。
それが、フィルム写真のおおきな楽しみだと思う。
白黒フィルムを使う、最後の世代(ランナー)になってしまったのかも。
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- 2023/10/03(火) 12:27:29|
- フィルムの眼
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