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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

青写真 再検討

今から9年程前、
2014年5月末からほぼ一ヶ月、青写真に挑戦したことがある。
どうすれば青写真を作ることができるかは、すぐに分ったが、そこで壁にぶち当たる。

青写真にかんする情報が不足している。
共立図書から出版された「写真の化学」(著者:菊池真一 東大教授)を開いても、
ほんの二ページの説明しかない。
三価の鉄イオン(キレート化合物)に光が当たると、
二価の鉄になり(ラジカル発生して?光還元!が起きている・・・・酸化されたものは何?)、
ターン青、不安定なFerrous-ferro-cyanide、プルシアン青に至るという生成メカニズムが示されているが、
この説明では(相転換が起きるということだろうが・・・・)何が条件か雲を掴まえるようなもの、
どのような実験を組んで調べたらいいのか?
泥沼に嵌まった感じになった。
反応は簡単そうだが・・・青色は結晶の構造が大きく関わるし・・・やはり難しいもの。
家では分析機器もないし、とっかかりが掴まない。
まぁ、青写真はできるようになった。
一旦撤退と、そのまま放置していた。

9年後 もう一度再挑戦、再検討してみようかという気になった。
(1)コロナの影響で、遠くまで散歩しなくなった。(内向き)
(2)暑い
(3)暇、「悪人閑居して不善を為す」その防止をかね、もう一度 青写真に挑戦。

ネット出調べたが、25gとか50gの「クエン酸鉄アンモン」瓶 
最早 ヨドバシでも ビッグカメラでも 販売は中止していた。
森田化学で販売しているが 500g瓶では高すぎる。
遊びにそんな金額はかけたくない。
外国では青写真キットとして販売されている。
YouTubeを検索すると、日本でもそのキットを購入し青写真を楽しんでいる人がいる。
しかし、市販キットを購入して 遊ぶ気は最初からない。
家の薬品棚(主に、フィルム現像用の薬品を置いている)を探したら、
赤血塩(フェリシアン化カリ)はあった。(前回の残り)
磁性粉(マグネタイト)を作って遊んだ時の薬品、苛性ソーダ、塩化鉄(三価)、アンモニア水が残っていた。
これなら、クエン酸を入手できれば、クエン酸鉄アンモンは簡単に合成できる。
クエン酸は百均ストアーへ行き、ポットの滓取り用一箱(12g10袋入り)買ってくればいい。

今回は、クエン酸鉄アンモンと赤血塩を混合した感光液を 作らず、
「三価の鉄を含む感光液」と「赤血塩を含む現像液」に分けて 
それぞれの役割を調べることから実験を開始した。
(A)感光液 活性成分検討
「赤血塩を含む現像液」は バッファー塩でpHを調整しただけ。
アルカリ側 現像液-4(Dev.4)> 現像液-3(Dev.3)> 現像液-1(Dev.1)>現像液-2(Dev.2) 酸性側
の順になっている。
「三価の鉄を含む感光液」は 
9年前の実験ノートを参考に、そのとき効果を認めた物資(薬剤)を添加して12種類ほどの感光液を作り、試してみた。
5番の組み合わせ(添加物)が 一番濃度がでたが、
ディテールを調べると、濃度は薄いが、細かなディテールがでたのは9番だった。
まづ最初の候補は、その9番に注目し(A9)とし、組成の最適化を行った。
(A9)組成
0番は スタートの組成、組成を変化させ(鉄、クエン酸、pH、アンモニア、添加物など)6つの組み合わせ作りテスト。
2番か3番の組み合わせが 青濃度、ディテールとも 良かったので3番を選び(A9)3の感光液とした。
デジタルネガ Small
青写真の評価に 小さなデジタルネガを作り、読書に使う卓上蛍光灯で感光させている。
入射光式露光計で照度測ると、ISO:100フィルムで f:3.5/60秒 EV値9.5 だった。
おそらく2000ルクス程度の明るさだと思う。

冬 自然教育園で撮った「八ツ手の蕾」の写真(ネガ)が、青写真にすると一番難しいと思っている。
なんとか、これを青写真で綺麗にプリントできないか 検討している。

青写真を作っていて難しいのは、紙によって発色、濃度、トーンの出方が変わること。
紙を替え、感光液を塗布し、実際に青写真を作ってみる。
その印画紙を、四種の現像液を作って現像し、評価する。
手間のかかる方法だが、手早く簡単にできたら 面白みはない。
どれだけ失敗できるかを 楽しんでいるようなもの。
徐々に分ってくると思うが、感光液、紙の質、現像液との関係性は 把握できていない。
デジタルネガ A4
できればA4 あるいはそれ以上の用紙に感光液を塗布し、壁に貼って鑑賞できるものをと 思うが、
感光液の塗布法にも、問題は山積している。
テクニック、コツという個人の技量に依存する部分も多い。
場数踏まないと、見て楽しい写真にはならないと感じている。
感光液の乳剤化
「塗りむら」を味わいとする人もいるが、なるべく均一に塗布できてから、塗りむらを作るならいいが、
均一に塗布できないのに それで良し(味わい)とするのは 如何なものかと思う。

-------------------------
例示したなかに E-3とかEM-GP2という感光液があるが、
これは(A9)3感光液を基に PETフィルムに塗布することを考え乳剤にしたもの。
EM-GP2は、残念ながらPETに塗布できても現像で剥離し使えなかった。
今のところPET(ポリエステル)フィルムに塗布できたのは、E-3乳剤。
PETフィルムに塗布し 直接カメラに装填し撮影するには、E-3乳剤の改良・最適化は必要と考えている。
(Sunny16の条件で、f:4×30分の露光で撮ることができるのではと期待している。)

(A9)3を乳剤化するため使用した薬品は、全て家庭にあるごく普通のもの。
なければ 近くのスーパーマーケットや百均ショップで入手できるものばかりです。

(A5)の感光液は、更に改良し高感度化を図り、
フィルムネガから直接 感光液を塗布した印画紙で、青写真を作ることができればいいと 思っている。
道のりは 長そうだが、やってやれないことはないと 思う。
駄目だとしても、何かは得ているとポジティブに考えている。

それにしても 青写真 奥が深い。
まだメカニズムは不明のまま。
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  1. 2023/09/20(水) 18:22:11|
  2. 青写真
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