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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

フィルム現像  二液(浴)現像法、微粒子現像法、二段現像法

1960年初頭の頃、オリンパスペン(ハーフ判カメラ)が発売されると、一大ブームになる。
通常のライカ判カメラの半分のサイズ、36枚撮りのパトローネを詰めると72コマの写真が撮影できる。
カメラは小さく、まさにペン感覚で見たものを記録できた。

フィルムの性能も上がり、キャビネ程度の引き伸ばしなら、
35mmカメラにひけを取らない写真になる。
ハーフ判のレンズは28mmで、ライカ判カメラの50mmレンズとほぼ画角は同じ。
被写界深度が深いので、ピント合わせ、距離マークで充分だった。
そのころ 写真雑誌には「超微粒子現像法」の特集記事も載っていた。
しかし二(浴)液現像の紹介記事を読んだ記憶はない。

二浴現像法の記事を見るようになったのは、
2000年以降、フィルムカメラが衰退を初めた時期に重なる。
戦前の現像法の復活か?とちょっと驚いた気がした。

現像液の成分を二つに分け、
現像成分を含む(A)液と、現像促進成分を含む(B)液にする。
(A)液は、現像能力を持たない。単にフィルムの乳剤に現像液を含ませるだけ。
(B)液は乳剤に含まれている現像主剤を活性化させ、現像は進行する。
現像主剤は乳剤に含まれているだけなので、
露光の多い部分は現像が進行するが、同時に現像主剤は消費され、現像が更に進むことない。(白飽和防止)
露光の少ない部分は、現像液が残るが、(B)の時間を長く保てば、更に現像が進み、暗部もデイテールがでる。(黒潰防止)
(B)液の現像時間も4分半であればよく、現像温度にも左右されない。
しかも、(A)液は乳剤に染みこむだけなので、繰り返し使用することができる。
白飽和も黒潰もない豊かなトーンのネガができると 説明されていた。
マジックのような現像法である。(説明を聞くすごいと思ってしまう)

市販の現像液の淘汰も進み、簡単に手に入るのは、
コダックのD-76、フジのSDPかミクロファイン程度
自家現像する人は少なくなった時期であり、
「鳥無き里の蝙蝠」だろうか?「講釈師、見てきたような・・・・」と???だらけの記事を載せていた。

二浴現像を 行っている人は少ないだろう。
YouTubeを見ていたら、英国の写真家とおぼしき方(John Finch氏)が、その説明をしていた。
Barry Thornton 2-Bath法を紹介していた。(シュテックラーではないが、液の組成はほぼ同じ)
こちらは真面目に 説明していて、
繰り返し使用することができるというマジックのような説明はなく、
また、現像温度と現像時間は 正確に守りるよう説明していた。(攪拌まで!!)
でも、(A)現像液の組成はD-23に似ているので、20℃に7分近く浸しておけば、現像が進行し、ほぼ像は出ている。
(Delta400フィルムならD-23原液 20℃7分が標準現像、ISO:100のフィルムなら5分程度でネガ濃度でていると思う。)
(A)液処理時間を20℃で 4分半、6分45秒、9分と変え、(B)液20℃、4分30秒現像し比較しているが、
その当たりの説明は一切されていない。
この方法の特徴は軟調現像液で、ある程度像(トーンは眠いものになる)が出た後、
促進浴で現像を完了させネガ濃度をアップさせる効果を狙ったものだと思う。
その効果が欲しなら、使う現像法だが、
それならD-76で1:1希釈でも十分ではないかと思う。

詳細を知りたかったらYouTubeに入って、検索してください。
(D-23現像液で20℃ 4分半 ISO:100のフィルムを現像したら、現像は進み、7割方銀粒子像はでていると思う。)

紹介されている戦前の処方に近いものでは、アンセルアダムスの言う 二液(浴)現像法にはならない。
薄い現在のフィルムに合わせて配合を調整し、二液(浴)現像をしている。
二液現像法1589-29
(Afx)液に浸す時間は Fomapan100なら30秒でほぼ終了。
浸す時間は操作を考え、2分程度にしている。
ただし、Retro系フィルムは、現像時間がながくなる傾向にあるので、浸透時間がかかると思い、4分で処理している)
現像促進液は(BⅠ)を使用した。現像時間は4分半と固定することはできなかった。
あらかじめ充分な濃度になる時間をテストで割り出して、現像している。
攪拌は 30秒毎の攪拌することはない。
寧ろ 攪拌は最小限に抑え、途中一回のみのことが多い。(多くて三回程度)

pHが促進剤の目安で、高いほど(アルカリ)現像は速く進行し、よりコントラストは高くなる。
D-76程度のpHを使いたかったが、反応が遅いので、それより高めのpHにしている。
乳剤の含まれる現像成分全てが、現像に使われる訳ではなく、
乳剤中の現像成分は、(B)液側へも拡散していき、フィルム現像には使われない。
この事実が分れば、現像中の攪拌は それほど頻繁に行うことは必要でなく、
(B)液に交換したら、気泡を取るため、数回、底をたたくだけで そっと静置、
途中一回か二回軽く攪拌するだけでいい。
それでも、現像ムラが 起きることはない。
(B)液の促進液のpHを高くしないと、一回で求める濃度のネガにはできなくなる。
(A)液と(B)液のコンタミは避けなくてはならず、
pHを下げ、二回 三回と 現像を繰り返し、ネガ濃度を上げるのは・・・煩雑で実用的ではない。
二液現像法 拡大
中庸のコントラストから、高いコントラストのネガを得るにはいい方法だと思う。
粒界で強くエッジがで、精細感を強調した写真ができる。
画像を拡大すれば明白だが、白文字の境界に 黒い縁取りが入っている。
欠点は、反対に粒界にエッジがでることで、
暗い部分に、銀塩の粒子が強くでてザッラとした画質になる。
戦前、この現像法をつかっていたアンセルアダムスが指摘している通りだった。
4つ切り程度に伸ばし、手に取ってみたら、精細感を強く感じ、
粒子のザラつきまで気がつかない人が多くなっている。(むしろ ザラついた方がいいと評価している??)
(小生としては)その方が、ちょっと気になっている。

微粒子現像液(AⅢn1)でFomapan100を現像した。
市販のミクロファイン現像液より、少し軟調になるよう配合を調整したが、
その効果があったかは・・・不明。
Fomapan 1592-12 Ⅱ
Fomapan100は暗い部分が潰れやすい傾向があるが、気にするほどでもない。
現像液を替えれば、それにしたがいトーンも素直に変化する。
かなり使い勝手のいいフィルムだと思う。
Retro80S 1583 #2-22
フィルムをRetto80Sにし、同じ場所で似たオートバイを撮影した。
現像は二段現像を行った。
まず軟調な現像液(Ⅵ)で8割方現像を終わらせ、暗部をだす。
そして(Ⅱ)現像液に変えて現像し、明るい部分濃度を上げ、コントラストをだす。
二浴(液)現像との違いは、(Ⅱ)液は現像成分の入った硬調現像液を使うこと。
単独で使えば、最も硬調なネガになる。
Retro80Sは癖が強いフィルムと思われている。
暗部はストンと落ちないので「足のあるフイルム」と呼べるだろう。

昭和30年代のアサヒカメラを読んでいたら、
写真家の木村伊兵衛が、
「この頃のフィルムは足がストンと落ちて、お化けのようだ」と苦言を呈していた。
ISO:400のTri-Xフィルムが発売されたころから、足がストンと落ちる「素直な」フィルムに変わっていったのだろう。
戦前の感度の低いオルソフィルムは、乳剤の厚みも有り、銀の含有量も多かったのだろう。
現像を押すと、暗い部分にも画像がでてきた。
いまでは、パンクロフィルムになり、高感度、
乳剤は薄くなり、銀の含有量も減っている。
こうなると、暗部のディテールはだしにくいが、トーンの直線性は向上する。
足がストンと落ちるというが、光に対する直線性があがったまででのこと。
本来は喜ぶべきことだろう。
直線性が向上したので、画像の効果を予想でき、使うには便利だと思う。

Retro80Sは 足のある癖の強いフィルム。
ハーフトーンからハイライトまで、コントラストがつきやすく、
そこを捉えて暗部が潰れやすく使いにくいフィルムという評価を下す人もいる。
市販の現像液を使うひとの評価、あるいは現像をラボに現像を頼むひとなら、そう評価されて致し方なし。

足のある古いタイプのフィルムは、昔流行った現像処方、D-23のような軟調現像液で処理するのが基本。
コントラストを上げるため、現像液を切り替える二液(浴)現像法は、
このフィルムには最適な現像方法かもしれない。
豊かなトーンを出したいときは、(小生の場合)軟調現像液(Ⅵ)か、やや軟調な(Ⅰ)現像液で現像する。
等倍比較FomapanRetro80S
Retro系フィルムはPETフィルムに乳剤が塗られた、比較的新しいフィルム。
マイクロフィルムや、赤外線写真(航空用)向けに開発されたものだと思う。
さすがアグファのフィルムだなぁと思う。
隠れた能力のあるフィルムだと思っている。

二つのフィルムと、二つの現像法、
ピクセル等倍に拡大した画像を例示するが、
微粒子現像したFomapan100は 銀粒子は目立たず これなら半切くらいまで伸ばしてもOKだろう。
ただし、暗部のディテールは すこし潰れた感じがしている。
Retro80Sは二段現像したので、暗部のディテールは失われなかった。
しかし、粒状感の出てしまった場所(暗部)も存在した。
粒子そのものは かなり細かく、
微粒子現像液(AⅢn1)で現像したら、おそらくFomapan100と同等か、それ以上の滑らかな画質になったと思う。
------------------------------------------
(AⅢn1)現像液は、TRI-X用に使っていた(A)現像液の配合を改良し、微粒子タイプにしている。
現像10本毎に補充液を加え、繰り返し使用している。
今年の3月9日に調整し、それから13本のフィルムを現像した。
現像温度、現像時間を 一定に保ち現像しているが、
ネガは想定の濃度に仕上がり、現像結果に 何の不具合も見つかっていない。



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  1. 2023/08/27(日) 17:49:06|
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