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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

万物流転

古来、酒を詠った歌は多い。
人間の社会が、一人の独裁者の意向で動く時代には、
人は、独裁者にも立ち入れない世界を凝視する。
世界の実相を深く知ろうとしたとき、
酒は、過酷な現実(独裁者の恣意)に対するアンチテーゼになる。
万物流転1587-16
オマルハイヤームのルバイヤートの一節

われは酒屋に一人の翁おきなを見た。
先客の噂うわさをたずねたら彼は言った――
 酒をのめ、みんな行ったきりで、
 一人として帰っては来なかった。
万物流転1587-17
陶淵明も酒の歌を詠んでいる。
帰去来の辞が有名だが、
小生は、雑詩に分類された漢詩が好きだ。
 人生無根蔕   人生は根蔕無く
 飄如陌上塵   飄として陌上の塵の如し
 分散逐風轉   分散し風を逐って轉じ
 此已非常身   此れ已に常の身に非ず
 落地為兄弟   地に落ちて兄弟と為る
 何必骨肉親   何ぞ必ずしも骨肉の親のみならんや
 得歓當作楽   歓を得ては當に楽しみを作すべし
 斗酒聚比鄰   斗酒、比鄰を聚めよ
 盛年不重來   盛年 重ねて來らず
 一日難再晨   一日 再び晨なり難し
 及時當勉励   時に及んで當に勉励すべし
 歳月不待人   歳月は人を待たず

個人の狭い視点を逸脱した詩になっている。
人種の違い、時代の違いを越え、万人もが共感できるものがある。

この二人の詩人を知ったのは20代の初め、それから50年以上経つが、
老年になるに従い、共感は深くなっていく。

大伴旅人も 「酒をほむる歌」を詠っているが、
・酒の名を 聖と負せし 古の 大き聖の 言の宜しき 
・古の 七の賢しき 人たちも 欲りせしものは 酒にしあるらし
これは中国からきた漢詩の影響が強いと思う。(本歌取り)

若山牧水
・妻が眼を盗みて飲める酒なれば惶て飲み噎せ鼻ゆこぼしつ
日本人は、私小説的な世界が好きなのだろう。
物事の本質を考え抜こうとすると、「和を」乱す変人扱いされてしまう。
目の前にいる人との共感を大事にし、
時代を超えた人との共感や、これから来る人にまで 心することは少ないようだ。

酒は涙か 溜息か
心のうさの 捨てどころ・・・・
もうそんな時代ではないと思うが、意外と集団となると、変わっていない。
普遍的なものへの探究心より、個人的な付き合いの「和」へ、心は志向する。

美しい花を、いくら美しく撮っても、
その人の心が、花のように美しいという証拠にはならないのに、
今でも花を、風景を、町の雑踏を撮って、心象写真だと思いたがる。
確たるエビデンスがあるわけではないのに、「可愛い」「素敵」で評価してしまう。

大井町の飲屋街を、
昼間 散歩して、勇者を見た。

地の青馬にうち跨またがっている酔漢よいどれを見たか?
邪宗も、イスラムも、まして信仰や戒律どころか、
神も、真理も、世の中も眼中にないありさま、
二つの世にかけてこれ以上の勇者があったか?
(ルバイヤートの一節)

この方は人生の達人かもしれないと・・・記録にシャッターを切った。
写真は記録。
一番いい瞬間にシャッターを切れるか否か、
それが難しい。

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  1. 2023/08/07(月) 22:16:20|
  2. ある場所、ある瞬間
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未だフィルムカメラの沼から抜け出せない。
もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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