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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

雪を撮る

東京に雪が降り、めったにないチャンスと、雪の光景を写真に撮ったが、雪の材質感を表現できていないもどかしさがあった。
たまたま、書棚を整理していると、祖父が残した戦前の写真雑誌が1冊出てきた。写真月報、昭和12年2月号。
そこに雪を写した写真が載っている。記事には「春雪とスキー写真」の特集もある。
ぱらぱらとめくる。すごい! 戦前の印刷である。写真のディテールは失われているが・・・それでもすごい。オリジナルは感動ものだろう。
写真月報
柴崎高陽氏は、信州在住の写真家、今生きていれば、100歳は超えている。昭和12年といえば、30歳前半の年齢。祖父より少し若い。
氏は 六桜社(コニカ)のカメラを使っていたようだ。ベスト判のパーレット あるいは名刺版のパール写真機で撮影したものと思われる。昔の使い勝手のよくないカメラである。
そんなカメラで、躍動感有る雪山のスキーを、すでに撮影している。光を読み、撮影地を歩き回り、スキーが通り過ぎる瞬間の、1回のチャンスを狙う。たいしたもの、すごい技量。
現在のカメラなら、ズームレンズで、画面は好みに切り取れ、連続撮影もできるので、シャッターチャンスを逃すことない。ピントも自動で連続的に合わせてくれる。ISO感度を上げ、高速シャッターも可能、躍動感もばっちり撮影できる・・・
しかも、カラーで綺麗に撮れるが・・・うう~~ん、やっぱり柴崎高陽氏の この写真を超える作品となると難しいかなぁ。
作例
長谷川一夫氏の特集記事(有名なあの俳優ではないと思います)「春雪とスキー」には作例として7葉の写真が載せられている。どれも 上手ないい写真です。それぞれに、狙いとそれを達成するためのコツが説明され、撮影データが公開されている。
第4図の撮影データは、「3月19日 午後2時、上ノ平にて、ライカA エルマー50mm F:3.5 パンアトミック F:12.5 1/60秒 D76B現像。」こういうデータは、参考になります。
パンアトミックというフィルム、おそらくコダックのフィルムでしょう。Panatomic-Xというフィルムが、つい最近まで販売されていました。微粒子でいいフィルム。ベースが薄く、ハレーション防止にベースフィルムは暗い色が付いていますが、現像すると溶けて、クリヤーなネガになります。デジタル化の波に飲まれ、数年前、生産は中止になりました。ASA64(ISO64)で使っていました。
この雑誌には、特集記事として、「雪・霜・樹氷の撮影に就いて」作例8葉、「生物の自然状態を撮る」として蝶や花の接写を説明(14例)している。赤外線写真の作例や、偏光フィルターの使い方、微粒子現像法の説明など・・・現在の朝日カメラより、内容や説明は高度である。それだけ、熱心に写真を研究する人がいて、撮っていたのだと思う。
雪をかぶった冬の向日葵を撮影したが・・・昔の人の写真と比べれば、相当レベルが低い。カメラの眼ができていないことを痛感する。
雪609-3 Ⅱ大雪
今は、スマホでも簡単に写真は撮れる、コンデジで花の接写をしている人を見る。最新のデジタル一眼なら、かなり容易に、なんでも撮影できそうだ。その分、歩き回り、光を読み、必死になって工夫し、写真を撮ろうとする努力にかけていないだろうか?
写真撮影の基本は、良く見ること。カメラの機能が上がり、カメラに頼りきり、自身の感性(五感)が衰えているのかも。
雪614-6
やっぱり、「写真の眼」が基本だろう。写真は、有から有を切り出すだけだが、撮影者の「写真の眼」が、見えなかった(意識化できなかった)大事なものを明らかにする。それを見た小生は、すごいと、感動する。
今年の冬、2人の写真家に逢ったと思っている。森山大道とクーデルカ、二人に「写真の眼」を感じた。
写真の眼のない小生は、どうしたら近づけるかと・・・せっせと、写真展を巡り、カメラの眼を盗もうとする。散歩にカメラを持ち出し、彼らの眼を意識しながら、パチパチ撮影する。
雪614-7 Ⅲ
フィルムの現像は、戦前のアルス写真全集に記載されていた処方を元に、自分で調合し使用している。使用したカメラは1951年製(昭和26年製)のソ連製キエフ、戦前のツアイス・コンタックスⅡ(1936年から生産)のデッドコピー、レンズは、1939年製(昭和14年製)のツアイスの15ゾナー。柴崎高陽氏が使用したカメラとほぼ同時期のもの。
氏のカメラの数倍する高価なカメラだが・・・とても、氏のレベルの写真になっていない。このあたりが、写真の奥深いところか。まだ、当分、フィルムでの撮影を続行しようと思っている。
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  1. 2014/02/19(水) 10:23:37|
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Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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