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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

二液現像テスト(2)

二液現像法は 80年以上昔に開発された現像法で、
昭和10年に発行された写真全書「アルス最新写真大講座」11巻にも、その説明がある。
二液現像 紹介
5つの二液現像法が列記されていたが、
5番目に紹介した「現像主薬とアルカリとを別に作っておく場合」が最も効果的として詳しく紹介されている。
現像液
第一液 
 水         200cc
メトール         1g
無水亜硫酸ソーダ   2g
第二液
水           200cc
無水亜硫酸ソーダ   2g
無水炭酸ソーダ     2g

露光した乾板を第一液にいれると、1分くらいすれば画像が淡く見える。さらに30秒から1分間その液におき、
しかる後、一寸通して(水にくぐらせること)第2液に浸す。
(ネガの)調子がよくなったところで現像を打ち切ればいい。
当時は オルソタイプのフィルム/乾板が主だったので、暗室内を赤い電球で照らし、皿(バット)現像をしていた。
乳剤の性質もかなり現在と異なっていたようだ。
第一液は、D-23で代表される軟調現像液の配合に似ている。
この現像液で、途中まで現像して、その後トーンを整えるため現像主薬を含まないアルカリ液を使用する方法だった。

いまでも使う人がいるようで、ニ浴現像法とか、シュテックラー式2浴現像法としてブログでも紹介されている。
第一液は、数分浸すだけ。浸す時間はかなりアバウトな記述。(飽和すれば それ以上の濃度にはならないというイメージだろう)
現像タンク内を目視できないので、直接確かめることはできない。
2液目の処理時間もかなりアバウト、乳剤内の現像成分がなくなれば、現像はストップする。
そのまま適当に放置しておけばいいという。かなり手軽な方法のように思える。
2液目の現像効果が喧伝されるので、現像の進行は二液目で起きるとイメージしてしまう。
何回も繰り返し使えること、(第一液の劣化はないと思いたいのだろう)
フィルムの種類やフィルム感度にあまり影響を受けないので、使い勝手がいいとされている。

15年ほど前、試したことがあったが、第一液を何回も使えるか・・・となると、
そうでもなく、使うほど画像は薄くなり、トーンの安定性に欠けてきた。
結局 「第一液で ほぼ現像を終了させ、第2液でトーンを調子を整える」が結論だった。
10本くらい現像したと思うが、なんだこの方法と思い、すぐ使うのを止めた。
(二液現像の亜流、二段現像法を開発し、使っているが、特殊な効果を狙った現像法。)

現像が、どういうメカニズムで進むのが分らないまま、
すごい現像法として 使う人がいるように感じる。
考え方は魅力的、乳剤内に残った未反応の現像液が
低照度の銀塩部分の現像を進行させ、豊かなトーンのネガを作る。
「講釈師、見てきたような嘘をつき」にならないよう、検証可能なエビデンスが必要だろう。
すくなくとも、戦前の「アルス最新写真大講座」では、
第一液でも、現像は進むとしている。
第一液を何回も繰り返し使えるという記述はない。
暗室内で 現像の進行を目視し、適当と思うところで第二液のバット(皿)へ移動させ、現像を完成させるのが二液(浴)現像法、
乳剤の薄い、そして乳剤の構造(架橋構造技術の進歩)も違うフィルムに、
昔の二液現像法をそのまま適用すのは無理があると思う。
(ネガに浸しただけなので、第一液の品質の変化はほぼなく、何回も使えると思いたいのは願望で、エビデンスのある話になっていない。願望か事実かはっきりさせるべき。)

フィルムの乳剤の構造は戦前と異なり、乳剤の厚みも薄くなっている。
二液現像を行うなら、現代のフィルムに合わせた方法を探すべきだろう。

第一液と第二液に分けたことで、検討すべき項目が増えている。
第一液と第二液の効果を分けて評価するため、現像操作も煩雑になる。
テストピースを30個作ったが、まだ、条件を掴んだわけではない。
一応、できそうな方法が見つかったので、Fomapan100フィルムを使用し、テスト撮影してみた。
二液現像テスト(2)Index 1492-#2
(A)液は 現像成分を含んだ液。(B)液は 現像成分を含まないアルカリ水溶液。
メトール、ハイドロキノンなどの現像成分を含んだ液は、pH7以上で現像性を示す。pH6以下になると、殆ど現像性はなくなる。
(Af)液のpHは6以下、pH5.5近くに調整した。(B)液は、Boraxをアルカリ成分にし少量の亜硫酸ソーダとKBrを加えている。
(Af)液は現像性がないので、(Af)液に浸す時間を4分とし、よく攪拌し均一にフィルムに浸透するようにした。
処理時間は2分もすれば充分だと思うが・・・まだその時間を確定する実験は完了していない。
(Retro系フィルムでは2分では不充分、6分くらいか・・・)
4分後、(Af)液を切り、水で洗うことはせず、(B)液に交換し、攪拌せず放置する。(現像むらが 起きるかと心配したが、そのようにはならなかった。(B)液の処理時間を延ばすと、更にネガのUp濃度は上がるが、「被り」も増加する。
処理時間を6分とした。Retro系では被りはかなり抑制できたので15分まで延ばせた。
操作は ①水洗浄→②(A)組成から現像成分を除いた液で安定化、処理1分程度→③(Af)処理4分→④(B)現像6分で 1サイクル
再び①に戻り、同じ操作を繰り返す。
一回ではネガが淡く無理だった。
結局7回のサイクル現像となった。

一回の二液現像で求めるネガ濃度になるだろうか?
第一液に現像性を持たせない限り、(今までの実験結果から、)それは難しいと思う。
第一液に現像性を持たせない、この方法こそ二液現像法のコンセプトに従っていると思う。
二液現像テスト(2)1492 #2-15 Ⅱ
ネガに浸透した現像主薬で現像した結果です。
ブログ等、ネットで喧伝された「シュテックラー式2浴現像法」ではありません。
違い分りますか?
二液現像テスト(2)1492 #2-22
どんよりと曇り、ものにコントラストのない日だったが、ネガのアキュータンスは高いと思う。
エッジの立った、すっきりした写真になっている。
二液現像テスト(2)ピクセル等倍
一部を拡大してみた。
この方法でも エッジが立ったネガになった。
一回現像の「シュテックラー式2浴現像法」では無理だと思う。

濃度のあるネガを得るためには7回のサイクル現像が必要だった。
これでは煩雑すぎて、使いにくい。
2回で減感現像、3回で中庸なネガとなり、4回で増感現像になる条件を探そうと思う。
現像主剤の物質収支を正確に測定できるようになったら(定量分析)、
現像のメカニズムに更に一歩踏み込め、
2、3回のサイクルで可能か判断がつくのですが・・・
機器分析装置を、持っていないのが残念。

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  1. 2022/08/09(火) 12:24:03|
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