fc2ブログ

本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

アキュータンス          二液現像法

acuitance と言う言葉 知っていますか?
普通使う英語辞書には、6万語程度の単語が収められている。
しかし、それには載っていない。
14万の言葉を載せたWebster’s New world Dictionary of the American Language(英英辞書)にも
載っていなかった。 
acuitanceという単語、もはや使う人のいない死語となり、掲載されなくなったのだろうか?

アキュータンスという言葉を知ったのは、ゾーン現像法を開発した、アンセル・アダムスの手引き書。
いかに、鮮鋭度の高いネガを得るかというなかで、盛んに「acuitance 」という言葉が使われていた。
レンズの性能を表す指標としてレンズの解像度が上げられるが、
フィルム現像では、いかに先鋭に見えるネガを作るかで、「acuitance 」という言葉が使われていた。
当時は 4×5、あるいは8×10(いずれもインチ)の大きなフィルム(乾板)で写真を撮っていた。
乳剤の層は厚く、印画紙にネガを密着させて焼き付けるのが主流だったので、フィルムの粒状性は特に問題にはならなかった。
この時開発されたのが、二液現像法。

しかし、戦後になり、小型カメラが主流になると、写真は、印画紙に大きく引き伸ばすようになる。
ネガのアキュータンスは、粒状性とトレードオフの関係に有り、
アキュータンスのいいネガは、引き伸ばすと、銀粒子のザラつきが大きくでる。
アンセル・アダムスも戦後になると、ブローニー判以下の小さいネガ現像では、二液現像法を使用しなかったようだ。

現在の白黒フィルムは乳剤層が薄くなり、銀の含有率も少なくなっている。
昔の二液現像法の条件で現像しても、良い結果は得られない。
だめだと分ると、でもそれは昔の条件に固執しているから、
難しいなら、それを どうにかして乗り越えようと考えるのが、化学を学んだ者の本能。
もう一度、二液現像法を見直してみようと思った。
二液現像法1492 #1 Retro400S-16
個々の薬品の機能の分析・評価し、条件を見極め、それに基づき最初のテスト撮影を行った。
「acuitance 」とは、写真がいかに先鋭に見えるかを指す言葉。
白黒の境にエッジが立つと、写真は先鋭に見える。
難しいのは、同時に粒状感をあまり出さないようにすること。(トレード・オフなので 其処が難しい)
PCのモニター画面では わかりにくいので、文字の部分を等倍まで拡大した。
二液現像法 等倍拡大1
文字にエッジが立ち くっきりしている。
二液現像法も 条件の最適化を行えばかなりいい結果を得る。
この方法、市販の現像液では実現は難しい。
自分で薬剤を扱い、現像液(A)と活性化液(B)を作る必要がある。
まだ 試行錯誤の状態で、何が重要要素で、どうコントロールすべきか、不明な点は多い。
ちょっと再現性に欠けていることもあった。
それ(メカニズム)が判明すれば、実際に使えるよう改良できるだろうが・・・今のところ操作が煩雑で、汎用な現像法にはならないと思う。あくまでも趣味の領域。

白黒の境界にエッジが立つようにするのは、フィルム現像では難易度はかなり高い。
旧来の二液現像法では、今の乳剤層の薄いフィルムでは実施が難しいと判断し、
そのため開発したのが、二段現像法だった。
エッジを出すことには成功するが、トーンのコントロールは難しい。
(2022年6月6日、建設用重機の文字を写した二段現像法の記事を載せている。)
Fomapan100フィルムだと(Ⅰaf)現像液で処理すると、エッジの立ったネガが 得やすかった。
(2021年2月23日の記事参照)

でも デジタル写真ならどうだろう?
レタッチソフトでエッジの検出はできる。
エッジ検出し、それを元の画像と重ね合わせれば、エッジの立った写真はできる。
もっと手軽にするならアンシャープ・マスクを解除する。
あるいは、シャープネス調整をクリックし
その人が、好ましいと思えるよう調整しても、
エッジの立ったアキュータンスな写真をつくることができる。
すごい時代になったと思う。
小生も、しばらくそれで遊んでみたが・・・すぐに厭きてしまった。
いまは、そんなことする気にもなれない。

二液現像法まだ、もう少し伸びしろがありそう。
もうちょっと 検討を進めるつもりでいる。
スポンサーサイト



  1. 2022/08/01(月) 15:12:32|
  2. フィルムの眼
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<大崎の空 | ホーム | 赤外線写真          Retro400S>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://alchemystsasaki.blog.fc2.com/tb.php/2049-13061606
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Alchemyst Sasaki

Author:Alchemyst Sasaki
未だフィルムカメラの沼から抜け出せない。
もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

読み解く写真、心に残る写真を・・・ (139)
フィルムの眼 (166)
レンズの眼、カメラの眼 (59)
写真の技法 (144)
写真にとり憑かれた人達 (4)
青写真 (28)
新幹線の見える街 品川 (11)
映し出された世界 (30)
水辺の光景 (21)
立会川 (9)
勝島運河 (23)
旅行・観光 (7)
ある場所、ある瞬間 (172)
デジタルカメラは記録機器 (13)
デジタルで遊ぶ (30)
Silent City (9)
??? (31)
Street Photograph (27)
都会の景観 Tokyo (264)
思い出の写真 (25)
遥かなる寧夏 (35)
Night walk in Tokyo (41)
散歩 (334)
猫、犬、鳥 (10)
白木蓮 (31)
黒い花 怪しい花 (87)
樹、草、花  (105)
桜  (181)
ひまわり (46)
竹林 (11)
八つ手 (10)
百日紅(さるすべり) (29)
オールドレンズの密かな楽しみ (38)
人物 ポートレート 踊り (37)
Photo彩遊 (27)
品川宿 (21)
その他  (33)
オリンピック残映 (5)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR