fc2ブログ

本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

オールドレンズの密かな楽しみ・・・ ゾナー50mm F:2

どうしてこんなに沢山のレンズを手にしてしまったのか?
今となっては、少々驚いている。

かなり安く手に入れることができたことが 大きな理由。
歴史の有るレンズだし、それなりの良さもある。
その追体験(確認)がしたかったのだろう。

Nikon SPに付いているNikkor 50mm F:2のレンズは、
ツアイスのゾナー50mmF:2のレンズを先生にして設計、製作されたものだという。
それが欲しくて、戦前のContaxⅠ、Ⅱ用のゾナーレンズを探した。

このレンズはContaxⅠ時代のゾナー50mmF:2レンズ。
使い込まれたレンズで、レンズの前面が磨りガラス状に曇っていた。
そのため非常に安価、ジャンク品「部品取りにどうぞ」というレベルだった。
傷だらけのゾナーf20
製造は1932年~36年の間。
おそらくContaxⅠ後期タイプのレンズだと思う。
レンズの番号から1933年製と推察している。
ノンコートレンズで、前玉に細かな擦り傷があるが、
それ以外のレンズには曇りも傷もないので、
前玉だけ戦後、ソ連邦で作られたJupiter-8の前玉と交換すれば、
綺麗なゾナーとだますことはできるかも。
そんなゾナーレンズもあるという噂は聞いている。
傷だらけのゾナーf20等倍
中央の花の部分を等倍に拡大してみた。
フレアーの掛かったソフトなレンズ(光が滲む)、コントラストは低いが解像度はかなり高い。
細かな拭き傷の影響だろうが、それも味だろう・・・・
傷だらけのゾナーf56
傷だらけのゾナーf56等倍
f:5.6まで絞れば、かなりコントラストは良くなる。
ポートレート向きなレンズだと思う。
-------------------------------------
戦前の沈胴タイプのSonnar 50mm F:2レンズ。
レンズ番号から、1937年製だと思う。
先行するライカのF:2レンズ(SummarとSummitar)は沈胴タイプ(Crushable)なので、
それを意識したのかも。
まだノンコートレンズだが、光が滲むようなことは少ない。
戦前沈胴ゾナーf20
戦前沈胴ゾナーf20等倍
ピクセル等倍の拡大してみても 欠点らしいものは見つからない。
使うならこのレベルでも十分でないだろうか?
戦前沈胴ゾナーf56
戦前沈胴ゾナーf56等倍
f:5.6まで絞れば、現代のコーティングしたレンズにひけを取らない・・・と贔屓目に見てしまう。
-------------------------------
第二次世界大戦後 一時期ドイツは2つの分割される。
東ドイツ側(共産圏)に残ったツアイス工場で製造された Sonnar T 50mm F:2 レンズ。
レンズ番号から製造年を探そうとしたが、資料見つからず、分らないが、1950年頃製造されたものと思う。
東独Tゾナー f20
ツアイスの開発したT-コーティングがレンズに施されている。
東独Tゾナー f20等倍
東独Tゾナー f56
戦前のゾナーに比べ、コーティングが施されたので、
よく見ると、光の滲み、フレアーが抑えられ、コントラストが高くなった。
しかし、ワングレード上がった別レンズとも思えない。
東独Tゾナー f56等倍
ゾナータイプのレンズは、傑作ではないかと思う。
-------------------------------------------
戦後 イエナにあったコンタックスの工場は、ソ連邦のキエフに移築される。
そこで、コンタックスのゾナー50mm F:2のレンズは、Jupiter-8と名称が変り製造されていく。
移築後 かなり早い時代に作られた 1952年製 Jupiter-8レンズ。
Jupiter-8 戦後初期 f20
東独にあった工場を移築したとき、半完成品や、部品を全てもって来たので、
1947年あるいは1948年には試験操業に入ったらしい。
かくしてContaxⅡは、KievⅡに、Sonnar 50mm F:2はJupiter-8と名称が変った。
Jupiter-8 戦後初期 f20等倍
1948年から1949年製造されたカメラ、レンズは少なく、
今はコレクターズアイテムになっているようだ。
ツアイスのコーティングが施され、
東独側で製造したT-コート・ゾナーレンズと、
レンズの性能は瓜二つ、区別は付かない。
Jupiter-8 戦後初期 f56
生産が進むにつれ、レンズ、部品がなくなると、順次ソ連邦製部品に換わって行く。
Jupiter-8 戦後初期 f56等倍
1955年製のカメラまでは、まだドイツで作られたものが使われていたようだ。
--------------------------------
硝子の部材がなくなると、ソ連邦で作られた硝子になっていく。
新たに設計し直し、製造されたのがJupiter-8Mだろう。
1960年頃から製造されたようだ。当時ソ連は宇宙開発では先頭を走っていた。
もっとも国力の充実した時期。
Jupiter-8M 5cm f20
このレンズにも気合いが入っていたと思う。
Jupiter-8M 5cm f20等倍
f:2の絞り開放から、本家のツアイスに負けていない。
Jupiter-8M 5cm f56
購入した当時、テストチャートを撮影し、ゾナーレンズの解像度をチェックしたことがあった。(Nikkor 50mm F:2を含めて)
レンズの解像度は、どれも似たり寄ったり、殆ど同じだったが僅差で、このレンズが最高値を示していた。
Jupiter-8M 5cm f56等倍
しかし、計画経済の国、さらなる進歩はなく、ノルマ達成のためか、後期に作られたJupitrt-8Mは・・・若干だが解像度、コントラスト共に落ちたような気がしている。
-------------------------------------
とは言ってもゾナーレンズ、殆ど同じ、気にすることはないと思うが・・・・
Jupiter-8M (1973年製)f20
Jupiter-8M (1973年製)f20等倍
等倍まで拡大すると・・・差はあるなぁと思う。
Jupiter-8M (1973年製)f56
Jupiter-8M (1973年製)f56等倍
Jupier-8Mでも 1:2 F-5cmと刻まれているのが ソ連邦絶頂の頃の製品で、
2/50 とか2/53と刻まれているレンズが ノルマ達成のレンズになっている様な気がする。
それでも、比較的安価に手に入り、充分実用にも使えるので、一本くらい持っていてもいいレンズだろう。
KievⅡマウントだけでなく、ライカL39マウントのJupiter-8、Jupiter-8Mも多量に製造された。(西側では考えられないこと)
ミラーレスデジカメを持っている人なら、マウントアダプター(L39用は安価です)を用意すれば、
このレンズの「味」?を楽しむことができる。
---------------------------------------------
コーティング技術が発展すると、プラナータイプ(ダブルガウス)のレンズの有用性が再評価される。
特に一眼レフカメラが主流になるとバックフォーカスがとれるプラナータイプへ移行していく。
Helios-103は、コンタックス/キエフ用の標準レンズとして初めての製造された、プラナータイプのレンズだろう。
(戦前のツアイスで、設計し、製造した コンタックスⅡ用、オルトメター35mm F:4.5?は、プラナータイプだったと思う。)
レンズの設計は東独に残ったツアイスが行ったものだろう。
1982年製のレンズなので、比較的新しいレンズです。
オールドレンズHelios開放絞り
絞り開放f:1.8では、時にハロがでて光が滲む欠点が出ることがあるが、
オールドレンズHelios開放絞り 等倍
f:2まで ちょっと絞ると それも消え、高解像、高コントラストの写真を撮ることができる。
オールドレンズHelios絞り2
等倍に拡大し、これだけ解像度が高い。
購入当時 すぐにテストし、驚いた記憶がある。
オールドレンズHelios絞り2 等倍
ただし、レンズの外観が安っぽく、玩具のようにも感じる。
オールドレンズHelios絞り56
オールドレンズHelios絞り56等倍
M42マウントのHeliosレンズの評判が この頃上がったのか、
このレンズも見直されてきたようだ。
中古市場で値が少しずつ上がってきた。

日本にはライカ愛好家が多いようだ。
持っているだけで、それで満足なのだろうか?
小生にはそれが分らない。
国産のレンズも高品質、
1954年頃のアサヒカメラの記事を読むと、
ライカを使っている米国の報道カメラマンは、
ボディーはライカでも、レンズにはキャノンやニコンのレンズをつけて使っていたという。
費用対効果を考えれば、そうなるのだろう。
報道カメラマンのなかにはContaxⅡを使う人もいた。
そうするとレンズはツアイスということになるが、
S型ニコンのレンズも使えるとなれば、
選択肢が増え、性能は同等、ツアイスより安価な、S-Nikkorにも手が伸びていく。
これが、日本光学のいい宣伝になったと思う。
やがて一眼レフの時代を迎えると、
Nikon F(1959年発売開始)が世界の報道陣のお気に入りカメラになった。
スポンサーサイト



  1. 2021/06/16(水) 17:28:36|
  2. オールドレンズの密かな楽しみ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<ある晴れた日 | ホーム | 赤外フィルム>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://alchemystsasaki.blog.fc2.com/tb.php/1812-d8effda4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Alchemyst Sasaki

Author:Alchemyst Sasaki
未だフィルムカメラの沼から抜け出せない。
もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

読み解く写真、心に残る写真を・・・ (139)
フィルムの眼 (165)
レンズの眼、カメラの眼 (59)
写真の技法 (144)
写真にとり憑かれた人達 (4)
青写真 (20)
新幹線の見える街 品川 (10)
映し出された世界 (30)
水辺の光景 (21)
立会川 (9)
勝島運河 (22)
旅行・観光 (7)
ある場所、ある瞬間 (172)
デジタルカメラは記録機器 (13)
デジタルで遊ぶ (30)
Silent City (9)
??? (31)
Street Photograph (27)
都会の景観 Tokyo (262)
思い出の写真 (25)
遥かなる寧夏 (35)
Night walk in Tokyo (41)
散歩 (334)
猫、犬、鳥 (10)
白木蓮 (31)
黒い花 怪しい花 (87)
樹、草、花  (104)
桜  (181)
ひまわり (46)
竹林 (11)
八つ手 (10)
百日紅(さるすべり) (29)
オールドレンズの密かな楽しみ (38)
人物 ポートレート 踊り (37)
Photo彩遊 (27)
品川宿 (21)
その他  (33)
オリンピック残映 (5)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR