穏やかな春の日だった。
中目黒の桜は満開を過ぎ、
花びらを川面に散らしているに違いない。
大崎駅のコンコースを越え、
目黒川の遊歩道に降りる。

河口に近いので涼しいのか、
この辺りの桜は、中目黒の桜よりほんの少し開花が遅い。
中目黒ほど有名でないので、
花を愛で散策するのは地元の人が殆ど。

川幅を覆うほどの桜は無理だが、
見応えはある。

観光船が、下ってきた。
雅叙園あたりまでは水深が深く、
その辺りまで観光船は上り、Uターンして戻ってくる。
花筏が出現する確率の高い場所だが、
今年は、潮の満ち引きを考慮しても、無理だろうと思う。
河口の桜はどうなっているのか、
見てみようと、いつもとは反対の方向へ歩を進める。

満開、花びらが少し散り始めている。

居木橋に立つと、再び一隻の遊覧船が降りてくる。
10分間隔くらいだろうか・・・

船に乗り、川面から満開の花を愛でる・・・それはそれで楽しかっただろうなぁと思う。
しかし、スクリューに巻きこまれ、
花筏は破壊され、
花びらは川底に沈んでいく。
水面下の、見えないその光景を、
梶井基次郎なら 見えていたはず。
彼ならそれを、どうイメージしただろう?
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- 2021/04/10(土) 09:36:31|
- 桜
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