戦前のフィルムは、乳剤層が厚く、銀塩の量も多かったので、暗部も潰れず「足がある」フィルムだった。
戦後、写真(フィルム)の需要が大幅に伸び、
メーカーは、フィルム性能の向上を競争するが、(販売促進)
それと共に、銀塩の使用量も減らしていく。(収益性の改善)
Tri-Xフィルムが発売されると、高感度でも使いやすい(粒状が目立たない)ので人気となる。
しかし、Tri-Xフィルムは それまでのフィルムに比べ暗部の粘りがない。
「足がなくなった」と嘆く写真家がいた。(木村伊兵衛)
古い(Retroな)足のあるフィルムを使ったことはない。
Retro400Sフィルムを使い始め、これが足のあるRetroなフィルムかと思った。
そこで、このフィルムに合うよう現像液の開発を行った。
Retro系フィルムのトーンカーブはS字の形になっていて、暗部は粘り(足がある)、明るい所は白飽和しにくい。
しかし、中間のトーンは立ち上がり、ハーフトーンは硬調になりやすい。
そこで、Rtro系フィルムでは、主に軟調現像液(Ⅵ)を使用、
たっぷりめの露光し、白飽和に耐性があるので、すこし押し気味に現像することが多い。
硬調な現像液は、白黒のトーンを強調したいときとか、特殊な効果を出したいとき使うようにしている。
一方、Fomapan100は素直なトーン、暗部はストンと落ちてしまう。
ハーフトーンから明るいトーンが中心となるので、
中庸から硬調の現像液で現像することが多い。
今年使った35mmフィルムを調べてみると、
軟調現像液で現像しているのは わずかに2本。
残りは全て中庸から硬調な現像液だった。
以下は軟調現像液(Ⅵf)で現像した画像。

戸越公園から観た大崎の再開発ビル群。

品川区役所前にある中央公園の林。
木々のハーフ・トーンを残したまま、もう少し空を暗く落としたいところ。
乳剤層の銀が濃いフィルムも市販されている。
選択肢の一つだが・・・高価だし・・・
どうすれば良いのですかねぇ?

目黒川河口、京急・新馬場駅近くで撮影。
日の当たった場所と、日陰の場所、
軟調現像液なので、なだらかに繋がった。
Fomapan100 トーンコントロールしやすい フィルムかも。
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- 2020/11/06(金) 11:00:22|
- フィルムの眼
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