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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

五反田・海喜館

五反田の目黒川沿いに、この建物があることは知っていた。
名前は「海喜館」。

もう60年以上前、まだ裸電球が、戦災の残渣のように残っていた時代。
ここだけは華やかで明るかった。
夕闇迫るころだった、身なりのいい男性の集団と、和服姿の女性が、
中に入っているのを見た記憶が強く残っている。
高級な料亭という雰囲気だった。

10年ほど前から散歩にカメラを持ち、このあたりを散歩したが、
料亭で宴会の時代はすでに終了、旅館として営業しているようだったが、
駅前にビジネスホテルもあり、流行っている感じはしない。
いつしか「怪奇館」なる名で呼ぶ人もいた。
でも、玄関につながる道は、いつも掃き清められ、旅館として営業はしている。
塀が一部壊れたときも、ネットを張り、その後、ちゃんと直されていた。

一躍有名になったのは、積水ハウスが詐欺にあった事件だった。
犯人グループは捕まったが、それ以来、営業は止めたようで、入り口には縄が張られるようになる。
久しぶりに、近くまで散歩すると、その建物がなくなっていた。
五反田・海喜館1303-16
庭と建物のあった場所は、塀に囲まれている。
五反田・海喜館1303-20
塀の高さは、背より高く、中を撮影しようとしたが、ファインダーで確認できない。
カメラを頭上にあげ、目測でフレーミングし撮影した。
現像し確認する。
こんなに狭い土地だったのか・・・といささか驚いた。
五反田・海喜館1303-18
上を見上げると、新しく開設された空路に、ジェット機が飛んで行く。
五反田・海喜館1303-19 Ⅱ
時代はどんどん変わる。
五反田・海喜館1303-21
その変わり様は、やはり、
歳をとらないと実感できないのかもしれない。
若いときは、無我夢中。
年寄りの感慨など、古くさいと切り捨てていた自分がいた・・・と思う。

こんな光景、あと何年 見ることができるだろう。
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  1. 2020/09/01(火) 21:58:33|
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もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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