小生の狙っている現像法は、ブログやYou_Tubeに出ている静置現像とは 考え方が違っている。
反応はハイドロキノンなどの現像主剤が潜像となってできた銀原子を核として還元反応を起こし、
銀(金属)の画像を乳剤中に生成する。
[Ag*][AgX][AgX] + HQ --> [Ag*] +Ag2+2HX+Q
ここで [Ag*] は現像核を示す。生成した新たな[Ag*]は再び同じ反応を繰り返す。
勿論 Ag2はフィルム上に生成したネガ画像。
HQは ハイドロキノンなどの現像主剤。(ハイドロキノン1分子は、銀イオン2分子を還元し、2つの銀原子を生成する・・・と仮定)
Qは 反応によって生じたキノン類の物質を示す。
HQが近づき現像されてAgとなる時、結晶構造にストレスが掛かり、
同時に隣にあるAgイオンが活性化、次の現像核になると仮定してみた。
(違うメカニズムかも知れませんが・・・・
そして もし、充分な現像主剤があり、かつ長時間(無限時間)現像すると、フィルム全体が真っ黒になるものと仮定している)
この反応式に従うなら、
最適な銀画像ができるだけのHQ量だけを現像液中に加えて現像すれば、
時間はかかるが 最適な銀画像が生成した段階で、HQは消費され消失する。
それ以上の現像は進行しない。
なぜなら、現像主剤は現像液中になくなっているから。
この反応式に従うとし、実験を行い その量を探し出せばいいということになる。
実際には8時間から16時間でほぼ一定となり、それ以上大幅な現像が起こらない量を探すことになる。
希釈し、必要量の現像主剤量で、反応を終結させる。
現像時間が少々長くなるのを利用した「静置ずぼら現像」ができることになる。
現像温度もそんなに気にする必要はないし、フィルムの種類の違いによる差もなくなるのではないか・・・と期待していた。
ただ 心配は現像液の攪拌をしないことによる現像むらが出るか否かだろう。
反応は拡散律速で進むので、光のたくさん当たった部分の現像主剤濃度は小さく、当たらなかった部分の濃度は高くなる。
白飽和になりにくく、黒つぶれも防止できるので、静かに置いておいたほうが良いという結論になるが、
乳剤の横方向への現像主剤の拡散を考えると、微細な画像部分に先鋭さが不足するおそれがでる。
また、現像の進行に従い、X(ハロゲンイオン)が液中に拡散する。
その部分の比重は重いので、下に沈んでいく。
とくにBrイオンは現像の反応速度を低下させる効果があるので、
フィルムのパーフォレーションの部分の揺らぎや、
コマとコマの間にある現像液(未反応部分)がどのように動き、拡散するかで、
フィルム画像の周辺部に 現像むらを起こす恐れはある。
今のところ現像タンクを放置したまま現像して、それとはっきり判る現像むらは なかったが・・・・要注意だろう。

2年ほどまえ、軟調現像液(Ⅵ)を作るとき検討したテストピース評価画像。
Up濃度は 光が当たり一番黒くなった値。
180を超えると、きれいなプリントができる。
豊かなトーンを呼べるのは210から230まで。
240を超えると白飽和してくる
Up濃度の最高値はメーカーにより255に設定されている。(エプソンのフィルムスキャナーF-3200)
Low濃度は 光が一番少なくフィルムが透明になったところの値。
この値が70を超えると(Retro系フィルムでは)被りが大きくなったと判断している。

評価はコダックのグレースケールで、Up、Lowの値をチェックし 現像の進行具合を判断。
また、ピークの数が11本以上認められれば諧調性はOKとしている。
今までの最高は14本だった。
コダックのスケールは20あるが、
暗い部分はどうしてもピークにならない・・・でも 現像液によっては、完全につぶれているわけでもないものもある。
D76の放置実験8時間では、それほどピークの谷も埋まっていない、意外といい現像液だなぁと思っていた。
18時間経つとUp濃度はまだ範囲内に入るが、ピークの谷が埋まり浅くなっていた。(横方向への拡散の影響かなぁ?)
ちょっと問題かなぁと思ったが、実際の現像結果では、わからない。
D76の放置現像 意外といい。使える現像法です。
テストに500mlのD76現像液を作ったので、20mlで25本、15mlなら33本現像できます。
D76はペットボトルに入れて保存している。
現像を10分程度で終わらせる従来の現像法だと、
現像に必要な現像主剤を30倍程度多量に加えた現像液を使っていることになる。
長期保存により20%くらい濃度が低下すると、
決められた時間で現像するとネガの濃度は薄くなり 失敗の烙印が押されてしまうが、
現像液の現像主剤を使い切ろうとする現像法なので、
おそらく3ヶ月以内に使い切るなら、問題は起こらないと・・・踏んでいます。
(25mlを使っても20ml(20%減)であっても、このずぼら現像法では ネガは許容範囲に入る。)

横断歩道の白線が光っていたので 撮影してみた。白飽和(白飛び)もなければ、黒潰れも感じない。
トーンが従来の現像液とは少し異なるように感じた。D76のずぼら現像、なかなか面白い。

空の部分に・・・もしかすると、現像むらかなぁ・・・と思えるコマ。,

白飛びもなければ黒潰れもない、豊かなトーン。
鮮明だし、粒子も目立たない。
Retro80SとD76の希釈現像 良い組み合わせかもしれません。
スポンサーサイト
- 2019/03/05(火) 19:26:12|
- 写真の技法
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0