カメラの蓋を開けると、フィルムが入っていた。
Retro80Sフィルムだった。 撮影記録のメモをさがしたが 紛失している。
撮影は おそらく去年12月の中旬。
右膝が痛くなり、あまり 外に出ていないころ撮影したものだろう。
近場を短時間、リハビリを兼ねて歩いている。
この頃、あまりフィルム現像をしていないので、忘れ去られていた。
メモがないので、どう現像しようと思って撮影したのか不明。
そこで 中庸の現像液(Ⅰ)で現像してみた。
(D76現像液とは 液の組成・分量は異なるが 似たトーンになる現像液)
写っていたのは、林試の森、大井町、戸越八幡神社の風景だった。
久しぶりに中庸な現像液を使う。
ネガには 豊かなトーンの画像が記録されていた。

この頃は 美しいデジタル・モノトーンの画像を見慣れてしまったためか・・・・
対抗意識から、白黒の対比の美しい写真を目指そうと、やや過剰とも言えるトーンのネガを作ってきた。
二段現像を行なったり、硬調現像液で現像したり、フィルターを付けて撮影したりと、コントラスト重視だった。
写真を始めた頃は、風景写真が撮りたかったので、豊かなトーンのネガをいかに作るかが夢だった。
ふと そのときの気持ちを思い出していた。
70年代の写真は、白黒の対比の強く、荒れた粒子の写真が好まれた。
(ちょっと陰鬱、わけあり、社会を斜めから見た風、たいした考え・思想もないのに、それがもてはやされると、プロの作風を真似る)
小生 これには組しなかった。
現像を押して 黒いネガを作り、銀粒子が出るよう四号印画紙に焼き付ける。そんな真似はしなかった。
一方、この頃のデジタル白黒は センスがいい。
対比の美しい白黒画像になった。あれ、ぼけ、ぶれは 姿を消す。
そんな デジタル・モノトーンの美しい写真を見せ付けられたので、
フィルムだってできるさ・・・と 対抗意識をだしてしまったのかもしれない。
白飽和もなく、黒潰れもないネガができていた。
これも、それなりにいいよ・・・と自分に言い聞かせる。(小生の写真の原点のトーン)




白黒の対比の美しい きりっとした写真ではない。
いまのデジタルになれた眼には、凡庸な締りのない写真と映るかも。
キャッチーな写真ではないけど、
大晦日にはまだ時間のある静かな戸越八幡神社の境内の
そのときを捉えているのでは・・・と独り合点している。
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- 2019/01/30(水) 16:20:24|
- 散歩
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