白黒のフィルムで写真を楽しんでいる人以外、興味ある話ではないだろう。
デジタルで写真を楽しんでいる方には 無益な話です。スキップしてください。
デジタルのHCBWモードに近いトーンは、(Ⅳ)系の硬調現像液とRetro400Sフィルムの組み合わせでできた。
それ以上のトーンを、二段現像の組み合わせで、作れないものかと 試している。
撮影したショットの中に、快晴の青空が、フィルターもかけずに暗く落ちているコマがあった。

手前の猫じゃらし(2mくらいか)にピントを合わせ、シルエットで抜こうと、一段絞って撮影した。(勘、経験で決めた)
普通のパンクロフィルム Tri-XやKentrere400、formapan400だと、ここまで空が暗く落ちることはない。
Retro系のフィルムはスーパーパンクロと(メーカー)いわれ、赤外部まで感光域が延びている。
そのため短波長側の感度が相対的に低下しているので、このようなトーンになったようだ。
R60(いわゆる赤フィルター:600nm以下の短波長の光をカット)とR72(赤外フィルター 720nm以下カット)を使えば、
更に空は暗くなり、夜の撮影のようになるのではと思った。
思ったら即実行あるのみ。

東京はこの時期、からからの天気、雲ひとつない晴天が続いていた。
露光はカメラの指示に従う。フィルターなしなら f:8/2000秒というところだろう。
カメラはコシナ製BessaR2S ニコンSマウント用だが、コンタックスⅡ用レンズを使っても、何の問題もない。
ブログなど見ると、カタログや、昔の人の話、薀蓄を傾け、使えないわけではないが、ピントが微妙に違うので、
使わないほうがいいなどというサイトを散見する。
よく読んでみると、伝聞であったり、単にマウントの回転角を問題視しているだけ。
自分から進んで実験し、試した結果ではない。
実験で確かめもせず、資料をならべて「ああだ、こうだ」言っているだけ。
裏づけになるエビデンス(や参考文献・・・これも、ちゃんとチェックのかかったもの)もない議論(薀蓄)、
は信用できない。(自然科学を学んだ者なら だれでもそう思うだろう)。
実際にS型ニコンでコンタックスⅡのレンズを、KievⅡ、ContaxⅡaで、ニコンSのレンズを使っているが、
ピントが合っていないと判断されたショットは 今のところ確認されていない。
開放絞り、レンズの最短距離でもOKだった。(カタログ、資料を駆使して薀蓄を傾けた人の言によれば・・・ピンボケになるはず)
実用上問題ない。それを確かめて使っている。
不確かな薀蓄は有害なだけ。

R72フィルターをつけて撮影したもの。
R60フィルターと ほとんど同じトーン、区別は付きづらい。
これでは わざわざR72フィルターをする理由もない。
古いゾナー系レンズには、赤外用補正マークはついていない。
あらかじめテスト撮影し、レンズの補正量は調べてある。
それに従いピント補正を行なっている。

猫じゃらしの部分(約2mの距離)にピントを合わせた。
その部分を、等倍ピクセルで切り出してみました。
Retro400S 高感度フィルムなので 少し銀粒子の粒状感は出ますが、
1939年製のT-コートゾナー、50mm F:1.5 今でも通用するレンズだと思う。
植物の緑がフレーミングに入っていないので 赤外フィルターの効果が確認できないだけだろうと・・・・
カメラをKievⅡに変えて 撮影。

空、建物、影のトーンは、R60もR72も似たようなもの。

芝生の緑、樹の葉の緑がR72フィルターの赤外線効果で白くなる。
ようやく違ったトーンになった。
カメラは科学技術の結晶のようなもの。
原理が解明されると、その原理に従う技術が開発されカメラに取り込まれ、改良 発展してきた。
カメラに取り込まれた原理以上のことはできない。
いまだ、心の原理は解明されていない。
なので、心の中を写すカメラは、まだ販売されていない。
でも言いたがる。
これは「心象風景」写真ですと。
小生はそれに組したくない。原理の範囲に入っていないから。
もし己の「心象風景」を表現したいなら、撮った写真をキャンバスにして、
絵筆を持って、その上に絵を描けばいいと思う。
あるいは レタッチソフトを駆使し、カット&ペーストや画像のデフォルメなどを行い、
主体的に「心象風景」画像を合成すればいい。
このブログ 前世紀の技術、フィルム写真が主。
書いてあることも技術的で硬すぎて、とっつきにくい。
人気はないだろうなぁと思う。
それでも、1人か2人は 見に来てくれる人がいるようだ。
時たま 拍手してくれる人もいる。
最後の楽しみ、全力でとはいえないが・・・フィルムカメラと格闘している。
もって瞑すべし(死ぬわけではないが)だろう。
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- 2019/01/28(月) 12:27:35|
- フィルムの眼
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