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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

バカチョンカメラの実力

カメラを使いこなすのは難しかった。
19世紀末、日本では明治時代の後期、コダックはフィルム付のカメラを売り出す。
そのキャッチフレーズは「貴方はボタンを押すだけ、あとはコダックが」。
コダックは、カメラの大衆化に力点があったわけではない、
むしろ自社で生産するフイルムの拡販・需要の掘り起こし戦略だった。
子供時代のスタイケンは、それに飛びつき、母親にお願いして そのカメラを得る。
撮影終了後、コダックにカメラを郵送、
結果は50コマ撮って1枚しか印画紙に焼き付けられなかったという。
多くは 黒く潰れたり、薄すぎて印画紙に焼き付けできない。

同じことが、日本でもあったと思う。
昭和30年の初め、フジフィルムはフジペットという廉価なブローニーフィルム写真機を売り出す。
小学生を中心に話題となり、販売は成功、ブローニーフィルムの生産は大きく伸び、会社の利益に貢献したという。
しかし、小学生が光を読み、露光を合わせ 撮れたわけではない。
多量に薄いフィルムや濃いフィルムが出た。
でも、フィルム会社としては、沢山消費してくれることが、会社の利益になる。

その後、露光の問題を解決したカメラが、売れるカメラ・・・・開発競争が始まる。
時代は レンジファインダーカメラから一眼レフに変わっていく。
TTLと称する露光計を内蔵した一眼レフカメラが出現。
そしてAEカメラの出現が、カメラの大衆化の起爆剤になる。
光を読み、絞とシャッター速度を、経験で決める時代から、
対象物にカメラを向ければカメラが自動で露光を合わせてくれる時代になる。
1960年代中ごろから、一気に 俄かカメラマン時代に突入する。

その後AEカメラは更に進歩、オートフォーカスが入り、
モータードライブが内蔵されたバカチョンカメラが出現する。
「貴方はシャッターを押すだけ、あとは全てカメラにお任せ」の時代になる。

今 使っている Canon Autoboy Luna35はまさに その「バカチョン」カメラそのものだろう。
フィルムを載せ、ふたを閉めると、フィルムが自動で巻かれ、撮影できるようになる。
DIXコードでフィルムの感度を気にすることはない。
レンズカバーを開け、撮影モードにしてシャッターを切れば、レンズの捉えた何かは 必ず撮れている。
最後まで撮ったら、フィルムは自動で巻き戻し、パトローネに入る。
裏蓋をあけ、パトローネを取り出しDPEショップへ持っていけば、
すぐ現像し、プリントしてくれる。
撮影で、失敗することは稀だろう。

機械音痴の女性が使うカメラというイメージがあるが、
1990年代になると コンピューターの発展で、ビックリするほど 光学計算が楽になり、
ズームレンズが搭載された「バカチョン」カメラが販売された。
大衆向けと侮れないレンズ性能をもったカメラとなっていた。
魚河岸1125-4
フィルムを現像し、ネガを3200dpiのフィルムスキャナーで取り込み、PCの画面でチェックして驚いた。

玩具のような 35mm~70mmの小さなズームレンズがついている。
フラグシップのカメラに付けられるレンズではない。
たいしたことないだろうと・・・期待はしていなかった。
解像感が素晴らしい。
35mmフィルムを3200Dpiで取り込んでいるので、ピクセル約1400万画素の画像になっている。
画像の一部を切り出し、ピクセル等倍にしてみる。
拡大 1
遠方の橋もぼやけていない。
拡大 2
中景のビルの紋様もしっかり描写できている。
拡大 3
手前に駐車している車もハッキリとでている。
1400万画素のデジタルカメラで撮ったら、ビルの線などもっと綺麗に撮れるかもしれないが・・・・
少なくとも 高級フィルムカメラに負けない解像感はでていると思う。

デジタルカメラは、フィルム時代の「バカチョン」カメラより 更に操作は簡単。
「バカチョン度」はさらに上がっている。

綺麗に、簡単に、便利に撮れるカメラを志向してカメラは改良され、発展してきた。
デジカメになり、かなり理想的な形に近づいている。
しかし、技術の進歩が、人間の密かな楽しみを奪い、疎外感を生み出してしまうこともある。

バカチョンカメラより簡単なデジタルカメラ、使って何が楽しいのだろう?
撮影結果もすぐわかる。
簡単便利、だけど、写真を撮る楽しさ、高揚感も ときめきも希薄になってしまった。

デジカメを手にすると、撮影が雑になる。
あとで選べばいいと、息するようにパチパチとシャッターをきる。
何か撮れているに決まっているさ、嘯く。
そして、俺が撮ったのではない、カメラが勝手に撮ったのさ・・・と思てしまう。
ソフトウエアー会社のレタッチソフトを使い、
画像の濃度、コントラスト、色調を整えていくと、これは、望んだことだろうか?と思ってしまう。
自分が撮った(主体的)写真というより、メーカー主導の(受動的)写真になっている。
写真から疎外されていることになりはしないか?と勘ぐってしまう。

マミヤプレス、使っていて楽しかった。
フィルムに銀塩の像を見たときの高揚感、ドキドキ感、
忘れられない。
やはり フィルムに拘る。



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  1. 2018/08/25(土) 22:23:10|
  2. レンズの眼、カメラの眼
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Alchemyst Sasaki

Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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