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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

勝島運河    「わたしは貝になりたい」を生んだ国

潮の満ち引きで 原始の海の有機物はコアセルベーションを起こし、小さなセルを生成する。
それが、生命の誕生を促したという。
オパーリンの説だったと思う。
昭和30年代は そんな説が有力だった。
少年向けの科学雑誌を読み、胸を躍らせていた。
現在 生命の誕生は 深海の熱水噴出孔近くではないか といわれている。
まだまだ 生命の誕生には謎が多い。

絶えることない潮の満ち引きは 同時に「生命の永遠」を象徴していると・・・・思ってしまう。
貝1120-#3-4
貝は死んで貝殻となるが、隣では新たな生命が誕生する。
絶え間ない生命の連鎖が永遠に続く。

なんで、この暑い夏の時期、わざわざ潮の満ち干きを調べ、
勝島運河に来て 岸壁の貝殻を撮ろうとしたのか・・・・
おそらく 戦争・・・終戦記念日を 意識していたのだろう。

戦後、父親は、戦前の鬱憤を晴らすかのように懸命に働いていた。
ようやく仕事も軌道に乗り、金にゆとりができていたのだろう。
家庭には テレビがあった。まだ、白黒テレビの時代。
国産ではブラウン管がまだ上手く作れない時代、
ナショナル(現在のパナソニック)の17インチのテレビで 
ブラウン管は米国GE製だったと聞いている。

小学校の高学年か、中学へ入った頃、
夜10時には床に入って寝る時間であったが、
父親が珍しくテレビを見てもいいという。

一家が集まり、テレビを見ていた。
フランキー堺の「わたしは貝になりたい」だった。
おそらく父はフランキー堺に自分を重ねていたのだろう。
母も、祖父も、祖母も、劇中に入っていた。
貝1120-#3-13
戦争の理不尽さは わかったが、
父親世代には、身をつまされることでも、
不肖の息子の理解はそれほど深いものではない。
貝1120-#2-7
貝1120-#2-6 Posi
父は戦争体験を話すことはなかった。
戦争に触れる話をしてくれることはあったが、
それは 子供にとってファンタジーの短い冒険談だった。
それでも 幼い頃 グラマンに追いかけられ、朝霞の飛行場に緊急着陸したエピソードは聞いている。
23年ほど前、父親が亡くなって、母からそのときの話を聞く。
母は志木のお姉さんの家に疎開していた。
朝霞から志木は近い。
硫黄島から連絡要員として帰ってきたのだという。
母は 父の姿を一目見るなり、そこがいかに過酷な戦場であるか理解したという。
貝1120-#1-3 Posi
話してくれた母も もういない。
二人から、もっと話を聞いておけばよかったと思う。
不肖の息子・・・ならしょうがないか。

「絶えることない」潮の満ち引きも、「生命の永遠」の持続も、人間の願望に過ぎないのに、
そんな 頼りない永遠願望に人間はすり寄り安心する。

美しい日本は「永遠」であり、その一員である人も永遠の仲間。
靖国神社が待っている・・・・。

「美しい日本を取り戻す」 とは言うが、一種の永遠願望だろう。
しかし過去に、取り戻したい日本など、あっただろうか?と思ってしまう。
出自が殿様などの特権・支配者階級であれば、戻りたいとは思うだろうが、
大部分の国民は、年貢と苦役に苦しんでいた。戻りたいとは思えない。

美辞麗句を並べ、おだて上げ、国民をあおったが、
国民を粗末に扱ったのが戦前の政府。
赤紙一枚、五銭の命。
敗戦とともに、政府は、関係書類を焼却処分、戦争責任逃れを図る。
それが、取り戻りたい「美しい日本」の姿とは思いたくない。

真摯に受け止め、誠意もって丁寧に説明するというけど、
国会答弁を聞いても、一向に 真相は明らかにならない。
論点をづらして、空虚な説明が続く。
巧言令色少なし仁・・・・のお方が長期政権をになっている。
官僚は、ポストを求め、イエスマンになり、内部は目に見えないけど劣化していく。
記録は廃棄され国民の目には晒されない。
戦前とそっくり同じ行動パターンが踏襲されている。
また、国民を粗末に扱う政府になっていくだろう。
それが「美しい日本を取り戻す」 ことなのだろうか?

勝島運河も 戦争遂行のため戦中に作られた運河。
今は公園になり、ヘドロと化した岸壁に 貝が密生する。
撮影していて、ふと、
ここは、「わたしは貝になりたい」を生んだ国、
それを、取り戻したいだろうか?と思ってしまった。

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  1. 2018/08/15(水) 10:00:01|
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Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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