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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

息を吸うように写真を撮る時代になって

「光画」と新興写真。(モダニズムの日本)時代に比べ、
映像を記録するカメラは 夢のような進歩を遂げた。
まるで息を吸うように いとも簡単に映像を記録できるようになった。

撮影に悩むことも、工夫することも 少なくなった。
どうとっても失敗することはない。必ず何か撮れている。
ピントは合っている、露光も完璧、手振れもない。
綺麗に撮れて当たり前、少々のことでは驚かなくなった。
すると、見てもらいたいからと、これでもかと 映像はどぎつくなっていく。
東南アジアで売れているスマホには、
肌を綺麗に写すソフトが既に組み込まれ、売れているという。
見る感性が段々と 気づかないうちに、麻痺していくのではないかと疑っている。

1960年になるまでは、豊かな諧調の写真がまだ残っていたが、
60年代中頃から、暗い部分を黒く潰す、白黒の対比の(美しい)写真が 多くなっていく。
そして、広角レンズでデフォルメされた写真が主流になり、アレ、ぶれ、ボケへとつながる。
それが、小生の印象。

写真家の木村伊兵衛は、40年ほど前の写真雑誌の対談で、
この頃のフィルムは足がなくなったと 嘆いていた。
暗い部分がストンと落ちて潰れてしまう。あれでは足のない幽霊写真だと辛らつな意見を述べていた。
Tri-Xがその牽引役、ほかのフィルムもそれに倣えと、足なしフィルムが増えていると嘆いていた。
長らくTri-Xを愛用していたので、氏の指摘を読んでも、あまりピンと来なかったが、
Retroフィルムに換えて使ってみると、確かにそうだ・・・・と思えるようになってきた。
小生の写真、古いトーンに回帰しているのかも・・・・だから、今の基準からすると駄目写真なのだろう。
それでも、白黒の対比の美しいネガを作りたくて、徐々に硬調現像液の使用が増えている。
現像液1090-8
最初注目していたのは、滑り台に落ちる影の文様。
それを撮りたくてファインダーを覗いていたら、
子供をつれた一団が現れる。
子供を画面に入れれば、キャッチーになる。
安易な思いで一呼吸待ち、さっと撮影。
硬調な現像をするつもりだったので、滑り台に当たる陽の明るさから露光を考えた。
(露出計は持参しないので、勘で決めていますが・・・)
もし、子供の表情を捉えるのだったら、もう一絞り分露光を増やしたと思う。
最初に軟調現像液で現像し、途中で硬調現像液に切り替える二段現像法を使っている。
こうすることで、暗部のデイテールを残し、白黒の対比(コントラスト)をあげている。
現像は 少し押し気味、銀塩の載った濃い目のネガを得た。
現像液1091-22
3日後 再び 同じ公園の道を歩く。
今回は軟調現像液で現像するつもりだったので、
比較にと、同じようにフレーミングして 撮影した。残念ながら 子供の姿は見当たらなかった。
軟調現像なので、たっぷり目に露光し、現像を抑え気味に行なった。

しかし、トーンの差など、たいしたことではない。
もっとキャッチーでないとアピールしない。
見比べるでもなく、「撮れているね」で終わり。

現像法やデジタル・レタッチ法を話題にする人は少ない。
むしろ カメラのメカだったり、レンズの性能を 云々する。
金さえ出せば 手に入れられるから・・・・なのだろう。
しかし、カメラのメカや、またレンズ性能云々より、
暗室作業や、レタッチソフトの習熟のほうが写真表現は豊かになる。

カメラの使い勝手や、メーカーによるレンズ性能の違いが、
写真表現に、どれだけ本質的な影響を与えているのだろうか?

デジタルのいいところは ごちゃごちゃ考える必要がないことだろうとおもう。
息を吸うとき、吸うこと意識する?しないでしょう。
そう、息を吸うように写真を撮る。デジタルはそれを可能にしてくれた。
撮りたいなと 思ったらすぐ撮る。
ファインダー覗いたり、液晶画面で確認していたら、チャンスを逃す。
息を吸うように写真を撮る・・・・それが新しい撮影作法なのだろう。

今度はそれに挑戦してみるか・・・と思っている。

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  1. 2018/05/21(月) 12:10:35|
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Alchemyst Sasaki

Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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