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本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

ピンボケ写真は 写真表現の技法となりえるか?

pictrial Photoの時代、スタイケンは、夕暮れの光を絵画的に撮影するため、敢えてピンボケにして撮影している。
ピン外しSTEICHEN
撮影は1899年 スタイケン20歳の作品です。16歳の時、コダックの「あなたはボタンを押すだけ、あとは・・・」のカメラを購入し、写真をはじめて4年後の作品。当時は近代写真の黎明期、写真を撮ること自体、努力、工夫が必要だったのでしょう。
「前景の湿った土くれにピントを合わせ、林の木々の具合は絞りを調整した」とあります。当時のカメラは全てビューカメラでしょう。前景の土くれにピントを合わせたと述べていますが、作品の印象では、前景も少しピンを外しているように感じます。今の人がこの写真を見てどう感じるだろうか? 下手な写真と感じ(なんだ、ピンボケ写真だ)、すぐ違うページの写真へ、関心は移ってしまうでしょう。 
数分じっと見ていると、うまいものだな・・・と、テクニックと光線の読みに、小生は脱帽しました。1903年に撮影した Brooklyn Bridgeなど、構図は現代のマイケル・ケンナ風。美しい写真です。ピンボケで撮影したものか、ポマードをレンズの中心に塗って湿らせたのか、三脚を小刻みに揺らしたのか・・・撮影技法の記述はありません。
ピンを外した写真を撮る! 写真表現の1つの技法になりえるのだろうか? 写真をはじめたころ、ピンボケ写真は失敗作とけなされていました。ピンの合ったところが、表現したい、あるいは、伝えたいと思ったもの、どこにピンが合っているかで、撮影者の意図が分かる・・・
とはいえ、まずテスト撮影。
ピン外し10m
スタイケンのように、沼地の土くれをと場所探し、したのですが、そのような場所はなく、公園の広場で、夕暮れの光を捉えてみました。距離は10mにあわせました。大きく伸ばすと、看板の文字、「ここには、犬を・・」の文字が、はっきりと読めます。
ピン外し5m
5mで撮影。変哲もない、つまらない写真です。絞りは、f:2.8 これをf:16の最小絞りにし、1/15秒で撮影すると、ほぼパンフォーカス、手前から無限まで、ピントの合った写真が取れるでしょう。50mmレンズを使いながら、35mmの広角レンズを使ったような写真になります。
ピン外し2m
2mにあわせると、少しはスタイケン風になりました。それでも、一番手前の砂にピントが合っているようで、そこに視線が滞りがちです。
ピン外し570-18 Trimming
トリミングして、その部分をカット。これで視線は、前景から、後景まで ふらふらと 動いていきます。少しは空気感(立体感)が出たのでは?(スタイケンの写真の空気感 すごいと思うのですが・・・暗室技術もすばらしいのでしょう)
ピン外しの写真、難しい。空気感を出すには良い技法かも、しかし・・・見るに耐える写真となると・・・
ピン外しDSC00738
祭りの日の参道、木漏れ日がさしていたので、撮影。光芒にピントを合わせると、下を歩く少年たちの顔がはっきりと写り、眼はそちらに釘づけとなる、写したい光芒は ボーとしているので、ピントをあわせる必要なしと、ピンを外しました。一応成功。写真の質(でき)は良くなくとも、撮った作者の意図は実現したと思います。
ピン外し565-12
キャッチーな写真ではありませんが・・・
太陽は、左後方。歩道の光は、前のビルからの反射光です。手前の光る歩道にピントを合わせました。その光に誘われ視線は、前で信号待ちする人たちへ、さらに、遠くのビルへ動いていきます。
右の女性から、左の信号待ちする集団への動線もあります。また 人の影、電柱の影も、動線を作っています。もし、前の電柱にピントを合わせたら、信号待ちする人たちにピンが入り、視線はそこで固定。空気感はなくなっていたでしょう。今回のピンボケ写真のなかでは一番の作品と自画自賛。
今のレンズは、きわめてシャープ、都会の風景を切り取ると、鋭い輪郭で眼が切られるようだと、わざとピンを少し外し撮影する人もいますが・・・遠くのビル、エッジは丸みを帯び、眼に優しい??
Pictorial Photo 過去の遺物と切り捨てるのではなく・・・Brooklyn Bridgeのような写真、一枚でも撮ってみたいと思っています。
ピン外し、難しい技法ですね、昔の人(スタイケン)の感性の鋭さに脱帽です。
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  1. 2013/09/22(日) 07:42:20|
  2. 写真の技法
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Author:Alchemyst Sasaki
Phone-Cameraの時代、フィルムで撮ることの意味合い、意義はあるだろうか?と懐疑的になっている。写真の置かれている場所・期待・求められているものが根底から変わってしまったのかもしれないと思っている。
それでも、もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

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