本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

写真は眼前に広がる光景・・・・人間の理解によれば三次元の空間を、・・・・・二次元の平面に上に投射し、その光の絵を記録したものに過ぎない。原理は古代ギリシャで発達した幾何学がその基礎にあると思う。
画家は 構図を取るための暗箱・・・・カメラオブスキュアを使ってきた。
見えたものしか写真にならない。
それが写真。
眼前に事物は厳然と存在する。
それを撮影者の意思で自由に変えることはできない。
カメラで撮れば、
現実のコピーに過ぎず、せいぜいリアリティー(現実感)があるかないかくらいの評価しかできない。
「決定的瞬間をよく撮りましたね。」
「上手いですね、よく表情が撮れています。」
「ドキッとするキャッチーな写真ですね。」。
シャッターチャンスに恵まれれば、あっと驚かす傑作写真をものにできる・・・・それが写真。

しかし、時として か細い声かもしれないが、なにかそっと語りかけてくる写真がある。
現実のコピーに過ぎないのに・・・・とは思うのだが。
存在の底に潜む声は、聞き取りづらい。しかし、それを聞き取る感性の鋭敏な人もいる。
最初の出会いは、アンセル・アダムス。
40年以上前、ヨセミテのハーフドームのオリジナルプリントの美しさに、衝撃を受けた。
風景写真、そこに人間の姿はない。
しかし、アンセル・アダムスの言うように確かに2人の人間が写真に写りこまれているのを感じた。
それ以降、ほとんど本格的な風景写真は撮っていない。三脚なしのスナップ写真へ変化していた。

次は10年ほど前か、森山大道の黒光りするアメ車を写したオリジナルプリント。これもすごい衝撃を受けた。
クーデルカの写真も見ていると語りかけてくるものを感じる。
写真には 目には見えない大切なものを・・・・写っているはずもないのに・・・そっとほのめかす力がある。
それを 探し掘り当てる感性の優れたカメラアイを持った人がいるということだろう。

カメラのピントテストで たまたま戸越公園の遠くにある林を撮影した。
鴉1057-34
鴉1058-29
鴉1058-30
その写真を整理しながら、ある写真家を思い出していた。
この人もすごい写真家だった(故人)なぁと思う。
飼っている猫を撮ったり、奥さんをモデルにしたり、鴉を撮ったり・・・・かなりわがままな人だったようだ。
動物を専門に撮っている(プロ)カメラマンなら、猫や鴉 彼より上手に撮るだろうが、
語りかける発信力では、とても太刀打ちできない。
深瀬昌久  稀代の写真家だろう。
デジタルカメラの発達で、
今となったら 素人の我々でも、深瀬昌久よりクオリティの高い、
鮮明でキャッチーな鴉の写真を撮ることができるだろう。
しかし、その写真にそっと語りたいことまで込めることができるだろうか?
鴉1058a64-1a
鴉1058a64-7a
今回撮影した中から、一部をトリミングし、深瀬昌久風に トーンの調子を調整してみたが・・・・
語りかける力は失せている。

内的な必然を持たないものが、
キャッチーだからと真似たところで、
撮ったものには、語りかける力はない。
感性の優れた人の感性は真似ようもない。
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写真の眼の優れたプロの写真家はたいがいが貧乏。
写真で財をなしたとか、優雅な経済ライフを楽しんでいるという人はいないと思う。
なにかを捨てている、あるいは欠いている。それを埋めようとカメラを構え、シャッターを切っている。
金、富、名声はもはやその人の動機(モチーフ)になっていない。
それが志(こころざし)、腹に一物ありと感じさせるのかもしれない。
写真はすごいと思う。
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  1. 2018/03/02(金) 11:34:16|
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Alchemyst Sasaki

Author:Alchemyst Sasaki
散歩にカメラの生活もついに12年目に突入。10年も続ければ、何かを掴めると思ったが、デジタルカメラの渦に弾き飛ばされ、未だ写真の眼を掴めないでいる。
絶滅危惧種のフィルムカメラでは、無理なのかなぁと嘆息。
冷蔵庫に100フィート長巻フィルム4缶、保存してあるので、
あと一年は撮り続けられます。それからどうするか考えることにしました。

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