7月になると急に暑くなった。
陽が傾いた頃、林試の森へ行く。

誰もいない枯れた小川は、ちょっと不気味な感じがする。
しかし、夏休みを迎えると、小川は綺麗に掃除され、
水遊びする子供達の歓声が響く。
水遊びしたい人は予約を取る必要がある。
親御さん同伴が原則となり、小川の入り口には、係員が立つ。
個人情報、肖像権、犯罪防止の意識も高い。
以前なら水遊びの様子を撮ったかもしれないが・・・
第三者の老人が、興味本位に写真を撮ることは憚れる。
小生の子供時代、友達と連れだって遊んだものだった。
親が遊びに口出すことはなく、放任に近い。
戸越公園内を駆け回り、鬼ごっこ、池のアメリカザリガニを取り、小鮒を釣ったりもした。
今は それは禁止されている。
どちらがいいのかなぁと思う。
規則に従って遊ばせるか、
子供を放任し、好き勝手に遊ばせるか。
遊んでいて、大人に怒られたこともあったが、それがよい人生経験だったと思う。
何が迷惑行為か分るかは、後者の方だと思う。
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- 2023/08/30(水) 18:44:24|
- ある場所、ある瞬間
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1960年初頭の頃、オリンパスペン(ハーフ判カメラ)が発売されると、一大ブームになる。
通常のライカ判カメラの半分のサイズ、36枚撮りのパトローネを詰めると72コマの写真が撮影できる。
カメラは小さく、まさにペン感覚で見たものを記録できた。
フィルムの性能も上がり、キャビネ程度の引き伸ばしなら、
35mmカメラにひけを取らない写真になる。
ハーフ判のレンズは28mmで、ライカ判カメラの50mmレンズとほぼ画角は同じ。
被写界深度が深いので、ピント合わせ、距離マークで充分だった。
そのころ 写真雑誌には「超微粒子現像法」の特集記事も載っていた。
しかし二(浴)液現像の紹介記事を読んだ記憶はない。
二浴現像法の記事を見るようになったのは、
2000年以降、フィルムカメラが衰退を初めた時期に重なる。
戦前の現像法の復活か?とちょっと驚いた気がした。
現像液の成分を二つに分け、
現像成分を含む(A)液と、現像促進成分を含む(B)液にする。
(A)液は、現像能力を持たない。単にフィルムの乳剤に現像液を含ませるだけ。
(B)液は乳剤に含まれている現像主剤を活性化させ、現像は進行する。
現像主剤は乳剤に含まれているだけなので、
露光の多い部分は現像が進行するが、同時に現像主剤は消費され、現像が更に進むことない。(白飽和防止)
露光の少ない部分は、現像液が残るが、(B)の時間を長く保てば、更に現像が進み、暗部もデイテールがでる。(黒潰防止)
(B)液の現像時間も4分半であればよく、現像温度にも左右されない。
しかも、(A)液は乳剤に染みこむだけなので、繰り返し使用することができる。
白飽和も黒潰もない豊かなトーンのネガができると 説明されていた。
マジックのような現像法である。(説明を聞くすごいと思ってしまう)
市販の現像液の淘汰も進み、簡単に手に入るのは、
コダックのD-76、フジのSDPかミクロファイン程度
自家現像する人は少なくなった時期であり、
「鳥無き里の蝙蝠」だろうか?「講釈師、見てきたような・・・・」と???だらけの記事を載せていた。
二浴現像を 行っている人は少ないだろう。
YouTubeを見ていたら、英国の写真家とおぼしき方(John Finch氏)が、その説明をしていた。
Barry Thornton 2-Bath法を紹介していた。(シュテックラーではないが、液の組成はほぼ同じ)
こちらは真面目に 説明していて、
繰り返し使用することができるというマジックのような説明はなく、
また、現像温度と現像時間は 正確に守りるよう説明していた。(攪拌まで!!)
でも、(A)現像液の組成はD-23に似ているので、20℃に7分近く浸しておけば、現像が進行し、ほぼ像は出ている。
(Delta400フィルムならD-23原液 20℃7分が標準現像、ISO:100のフィルムなら5分程度でネガ濃度でていると思う。)
(A)液処理時間を20℃で 4分半、6分45秒、9分と変え、(B)液20℃、4分30秒現像し比較しているが、
その当たりの説明は一切されていない。
この方法の特徴は軟調現像液で、ある程度像(トーンは眠いものになる)が出た後、
促進浴で現像を完了させネガ濃度をアップさせる効果を狙ったものだと思う。
その効果が欲しなら、使う現像法だが、
それならD-76で1:1希釈でも十分ではないかと思う。
詳細を知りたかったらYouTubeに入って、検索してください。
(D-23現像液で20℃ 4分半 ISO:100のフィルムを現像したら、現像は進み、7割方銀粒子像はでていると思う。)
紹介されている戦前の処方に近いものでは、アンセルアダムスの言う 二液(浴)現像法にはならない。
薄い現在のフィルムに合わせて配合を調整し、二液(浴)現像をしている。

(Afx)液に浸す時間は Fomapan100なら30秒でほぼ終了。
浸す時間は操作を考え、2分程度にしている。
ただし、Retro系フィルムは、現像時間がながくなる傾向にあるので、浸透時間がかかると思い、4分で処理している)
現像促進液は(BⅠ)を使用した。現像時間は4分半と固定することはできなかった。
あらかじめ充分な濃度になる時間をテストで割り出して、現像している。
攪拌は 30秒毎の攪拌することはない。
寧ろ 攪拌は最小限に抑え、途中一回のみのことが多い。(多くて三回程度)
pHが促進剤の目安で、高いほど(アルカリ)現像は速く進行し、よりコントラストは高くなる。
D-76程度のpHを使いたかったが、反応が遅いので、それより高めのpHにしている。
乳剤の含まれる現像成分全てが、現像に使われる訳ではなく、
乳剤中の現像成分は、(B)液側へも拡散していき、フィルム現像には使われない。
この事実が分れば、現像中の攪拌は それほど頻繁に行うことは必要でなく、
(B)液に交換したら、気泡を取るため、数回、底をたたくだけで そっと静置、
途中一回か二回軽く攪拌するだけでいい。
それでも、現像ムラが 起きることはない。
(B)液の促進液のpHを高くしないと、一回で求める濃度のネガにはできなくなる。
(A)液と(B)液のコンタミは避けなくてはならず、
pHを下げ、二回 三回と 現像を繰り返し、ネガ濃度を上げるのは・・・煩雑で実用的ではない。

中庸のコントラストから、高いコントラストのネガを得るにはいい方法だと思う。
粒界で強くエッジがで、精細感を強調した写真ができる。
画像を拡大すれば明白だが、白文字の境界に 黒い縁取りが入っている。
欠点は、反対に粒界にエッジがでることで、
暗い部分に、銀塩の粒子が強くでてザッラとした画質になる。
戦前、この現像法をつかっていたアンセルアダムスが指摘している通りだった。
4つ切り程度に伸ばし、手に取ってみたら、精細感を強く感じ、
粒子のザラつきまで気がつかない人が多くなっている。(むしろ ザラついた方がいいと評価している??)
(小生としては)その方が、ちょっと気になっている。
微粒子現像液(AⅢn1)でFomapan100を現像した。
市販のミクロファイン現像液より、少し軟調になるよう配合を調整したが、
その効果があったかは・・・不明。

Fomapan100は暗い部分が潰れやすい傾向があるが、気にするほどでもない。
現像液を替えれば、それにしたがいトーンも素直に変化する。
かなり使い勝手のいいフィルムだと思う。

フィルムをRetto80Sにし、同じ場所で似たオートバイを撮影した。
現像は二段現像を行った。
まず軟調な現像液(Ⅵ)で8割方現像を終わらせ、暗部をだす。
そして(Ⅱ)現像液に変えて現像し、明るい部分濃度を上げ、コントラストをだす。
二浴(液)現像との違いは、(Ⅱ)液は現像成分の入った硬調現像液を使うこと。
単独で使えば、最も硬調なネガになる。
Retro80Sは癖が強いフィルムと思われている。
暗部はストンと落ちないので「足のあるフイルム」と呼べるだろう。
昭和30年代のアサヒカメラを読んでいたら、
写真家の木村伊兵衛が、
「この頃のフィルムは足がストンと落ちて、お化けのようだ」と苦言を呈していた。
ISO:400のTri-Xフィルムが発売されたころから、足がストンと落ちる「素直な」フィルムに変わっていったのだろう。
戦前の感度の低いオルソフィルムは、乳剤の厚みも有り、銀の含有量も多かったのだろう。
現像を押すと、暗い部分にも画像がでてきた。
いまでは、パンクロフィルムになり、高感度、
乳剤は薄くなり、銀の含有量も減っている。
こうなると、暗部のディテールはだしにくいが、トーンの直線性は向上する。
足がストンと落ちるというが、光に対する直線性があがったまででのこと。
本来は喜ぶべきことだろう。
直線性が向上したので、画像の効果を予想でき、使うには便利だと思う。
Retro80Sは 足のある癖の強いフィルム。
ハーフトーンからハイライトまで、コントラストがつきやすく、
そこを捉えて暗部が潰れやすく使いにくいフィルムという評価を下す人もいる。
市販の現像液を使うひとの評価、あるいは現像をラボに現像を頼むひとなら、そう評価されて致し方なし。
足のある古いタイプのフィルムは、昔流行った現像処方、D-23のような軟調現像液で処理するのが基本。
コントラストを上げるため、現像液を切り替える二液(浴)現像法は、
このフィルムには最適な現像方法かもしれない。
豊かなトーンを出したいときは、(小生の場合)軟調現像液(Ⅵ)か、やや軟調な(Ⅰ)現像液で現像する。

Retro系フィルムはPETフィルムに乳剤が塗られた、比較的新しいフィルム。
マイクロフィルムや、赤外線写真(航空用)向けに開発されたものだと思う。
さすがアグファのフィルムだなぁと思う。
隠れた能力のあるフィルムだと思っている。
二つのフィルムと、二つの現像法、
ピクセル等倍に拡大した画像を例示するが、
微粒子現像したFomapan100は 銀粒子は目立たず これなら半切くらいまで伸ばしてもOKだろう。
ただし、暗部のディテールは すこし潰れた感じがしている。
Retro80Sは二段現像したので、暗部のディテールは失われなかった。
しかし、粒状感の出てしまった場所(暗部)も存在した。
粒子そのものは かなり細かく、
微粒子現像液(AⅢn1)で現像したら、おそらくFomapan100と同等か、それ以上の滑らかな画質になったと思う。
------------------------------------------
(AⅢn1)現像液は、TRI-X用に使っていた(A)現像液の配合を改良し、微粒子タイプにしている。
現像10本毎に補充液を加え、繰り返し使用している。
今年の3月9日に調整し、それから13本のフィルムを現像した。
現像温度、現像時間を 一定に保ち現像しているが、
ネガは想定の濃度に仕上がり、現像結果に 何の不具合も見つかっていない。
- 2023/08/27(日) 17:49:06|
- フィルムの眼
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「二浴(液)現像法」は、
戦前の硝子乾板が多く使われていたころ
精細な画像を得られる方法として開発された現像法だと思う。
戦前出版された「アルス写真講座」の現像に関する一冊に、紹介されている。
アンセルアダムスの現像に関する一冊にも載っていた。
ネットを探すと「シュテックラー式2浴現像法」として紹介されているが、
なぜ「シュテックラー」という名前がついているのか、小生は知らない。
この方法は、乳剤層が厚く、オルソタイプのフィルムで
低感度(現在の基準ならISO:25以下)の時代に適合した現像法だった。
第二次世界大戦後、フィルムの性能は大幅に向上、
感光性はパンクロタイプになり、乳剤は薄く ISO感度も100越えている。
戦前の処方をそのまま適用すると、あまり上手くできないのが実情だが、
いまでも、同じ処方で、二浴現像をする人もいるらしい。
(最初の一回目はある程度ネガ濃度がでるが、2回、3回となるとネガ濃度は薄くなり、
決められた操作では実用的なネガは得られない。)
安定した結果を得るためには、
現在のフィルムに合わせた処方に改良する必要がある。

写真のトーンの調整に「ゾーンシステム」を考案したアンセル・アダムスは、
著書「Negative」でこの方法を紹介しているが、
この方法の特徴は画像のエッジ部分を強調でき、精細なネガを作ることができることだとしている。
ネガの精細感と銀粒子のザラつき感は トレードオフになると画像を拡大し、提示 説明している。
大判の硝子乾板を使っていたので(粒状は無視できる)、精細感のあるネガを得る方法として紹介していた。
実際、大型カメラで撮っていたころは この方で現像していた作品もあったと思う。
戦後 フィルムの性能が上がり、サイズの小さな、35mmフィルムが 主流になった段階では、
忘れられた現像法となるべきだったが・・・・・
ネットで調べてみると、
戦前の処方のまま、「シュテックラー二浴現像」という名前で 紹介されているのを読んだとき、
過去の亡霊が 現れたような 奇妙な感じを受けた。

銀粒子の粒界が出やすいが、
白と黒の境界がくっきりと出るのが特徴、
大きく引き伸ばさなければ、精細感のある写真になる。
デジタル画像なら、
カメラ内で、あるいはレタッチソフトで画像をシャープ処理した効果に近い。
過去にも沢山の現像液レシピは公開されているが、
残念ながら現在使っているフィルムに合わせた二浴現像のレシピは公開されていない。
しかし、化学を勉強した人なら、割合簡単に、配合(レシピ)を作ることできると思う。
要は、「フィルムで遊ぶ」のが楽しい人の 現像法だと思う。
- 2023/08/24(木) 17:30:19|
- フィルムの眼
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写真は1827年 フランスのニエプスによって発明されたという。
その後、ニエプスはダゲールの協力を受け、銀による写真の開発を始める。
しかし、数年後ニエプスは死去、その実験に協力したダゲールは 彼の実験ノートを託され、
1839年、遂にダゲレオタイプ(銀板写真)を完成させる。
しかし、これは一点物、ニエプスの夢見た、複製品を何枚も作ることはできなかった。
技術の発展は、写真に新しい表現を生み、進化して行くのは 歴史の必然。
1840年、タルボットの発明した紙媒体の銀塩写真は、
現代に繋がるフィルム写真の原点となった。
その後、硝子板に感光性を与える湿式法、さらに操作が容易な乾式法へと変化していく。
酢酸セルローズ(セルロイド)フィルム上に、銀塩乳剤を塗布する方法が19世紀末に開発された。
それから改良が進み、カラーフィルムができ、1990年頃、一応の完成を迎える。
そのフィルム写真が、21世紀に入ると、デジタルに変わり、よりいっそうの高感度化、速射性、簡便化を生む。
しかし、デジタルカメラの出現は、フィルム写真の根幹を揺るがし、衰退を招いてきた。
写真用フィルム生産する大手の会社は生産を止め、規模の小さい会社も縮小、淘汰されてきた。
技術の進歩は歴史的な必然、またフィルム写真の時代に戻ることはない。
趣味で写真を撮っている。
一から十まで機械(デジカメ)に頼るのは
たとえそれが 綺麗な写真を撮る秘訣であっても、楽しいことではない。(と小生は感じている)
ちょっとお洒落だからと、フィルムカメラを始める若者も出てきたようだが・・・・
画像がノスタルジックだから、お洒落だから、
私は(他の人と違って)フィルムで撮っていますというアピールでは、おそらく一過性の流行で終わってしまうだろう。
デジタルの画質にフィルムは追いつけないし、
デジタルカメラには、すでにフィルム写真ライクの画像変換ソフトが組み込まれている。
使い手が求めるなら (儲かると思ったら)プログラマーはアップグレードしていくことは
確かだろう。そうなったら おそらく見分けが付かなくなる。
フィルムカメラに固執するのは、自己満足に過ぎないだろうが、
手作りで行う部分が多く、趣味として遊ぶなら 面白いものだと思う。
フィルムの供給が無くなれば、この趣味はなくなる。
なんとか、存続させたい。
そこで「フィルムの眼」というカテゴリーを作ったが、
この頃は、ほぼ そのカテゴリーに入る写真を撮っている。

Fomapan100はチェコのフィルム。T粒子以前の古いタイプのフィルムということになっているが、
階調性もあり、素直なトーンのネガになる。ISO:100の感度が有り、使いやすい。
そして今入手できるフィルムの中では、一番安価でもある。
空の雲をくっきり出したかったら、一絞り分露光をアンダーにするのだが、
地上の暗い部分を潰したくないので、敢えてこの露光で撮影した。

明るい空の部分、露光が少しオーバーで、銀塩粒子が少し出たが、
このザラつき感は、NeopanSSより少ないと思う。

画面手前の交番を拡大すると、文字はしっかりと読める。
タイル壁の質感は、デジタルとは違い、少々汚れて見える。
デジタルなら、タイルの並びは綺麗な直線になり、タイルの表面は白く均一になるが、
フィルムだと、タイルの並びは銀粒子がランダムに出て、綺麗な直線にはならない。
タイルの表面も、薄汚れたようになる。
これが フィルムの限界。
美しい写真を撮りたいと思う人は、フィルムには手を出せないだろう。
しかし、
のっぺらぼうの白いタイル表面、直線を引いたようなタイルの並びに
小生は「うさんくささ」を感じている。
そのうち ソフトの改良で、そのうさんくささも なくなるとは思うが・・・・
(メーカーの作った)規則に従って遊ぶか
それとも 規則を発見して遊ぶかなら、
後者の 発見して遊ぶ方を選ぶ。
Fomapan100 今のところ入手できるなかで 一番安価、
このフィルムで遊んでみませんか?
できれば、市販の現像液を購入し、自分で現像して。
- 2023/08/23(水) 11:42:53|
- フィルムの眼
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ほんの一絞りの露光の違いで、トーンは変化する。

路地の軒先に落ちた天使達。
ジッと観察する。
光の方向、明るさを考慮し、露光を決める。
ISO:100のフィルムならf:4半/125秒が適正だと思ったが、
敢えて半絞り分露光を増やしf:4/125秒でシャッターを切った。
トーンが奇妙に振れてしまう。
暗く潰れる筈のテーブルの下が、明るく写っていた。

念押しで更に一絞り露光を増やし、F:2.8/125秒でもシャッターを切っていた。
一絞り露光を増やした方が、テーブルの下が暗く写っていた。
固定観念からすると逆だろうと思うが、
相手は「地上に堕ちた天使達」、常識外のことが起きても、不思議ではない。

この天の住人の落ちた場所が良かった。
柔らかな光に包まれている。
これならばと 半絞り分少なめの露光で、シャッターを切る。
しかし、やはりトーンは破堤していた。

念のため一絞り分 多めの露光でもシャッターを切る。
やはり、こちらのほうが、トーンの破堤は少なくなっている。
この天使達、地上の何処へ降りようとしていたのだろう?
デジタルの眼なら それを捉える(表現)こと、可能かもしれないが、
フィルムの眼では、未だ それを捉える(表現)こと、できていない。
まだ、なにかありそうだ。
- 2023/08/21(月) 18:54:25|
- 写真の技法
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今日は日本がポツダム宣言を受け入れた日。

戦前、戦争に疑義があった者達は、
「否」の意思表示を示すと「非国民」とよばれ、
治安維持法のもと、牢屋へつながれてしまった。
見猿、聞か猿、言わ猿が 処世術となる。
敗戦のあと、社会は 大きく変わったはずだが、
この頃の政府の要人の言説を聞いていると、
また再び、あの時代に戻ていくような気がしてならない。
政府の大衆迎合(ポピュリズム)と、圧政。(飴と鞭。)
マイナンバーカードと保険証の一体化を進めてきた大臣が、
記者の質問に答えて
「政府が決め、法律で定めたことだから、そのまま実行します。」
問答無用と言わんばかり、取りつく島もない この答弁は、
戦前の政府の高官(大臣)と おなじ匂いがした。
お上が全て差配する、それに従順に従うのが国民だろう。
見猿、聞か猿、言わ猿 の時代に戻っていくのだろうか?
民主主義はどこへ?
- 2023/08/15(火) 19:33:08|
- ある場所、ある瞬間
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銀塩フィルムのトーンは、
フィルムの銘柄、使うフィルター、露光の過不足、
選んだ現像液、現像の方法によって変化し、作品(プリント)に影響する。
カメラやレンズよりその影響は大きい。
ミノルタでなければ、ニコンでなければ、キャノンでなければ、オリンパスでなければ、ライカでなければ・・・
とカメラマニアは言うが、実際は、それほど大きな影響はない。
レンズもまた同じ。
最終の作品(プリント)に大きな影響を与えるのは、カメラに詰めたフィルムの方である。
フィルムの選定、被写体にあった露光、フィルター、最適な現像液を選ぶこと、そして 最適な現像法。
フィルムの選定以降、あとは 撮影者の自由に任される。
ルールに従って遊ぶか、
ルールを自分で見いだし遊ぶかは、
個々人の遊び方によって変わる。
ルールに従って遊ぶを選ぶなら、
町の写真店に行って、フィルムの現像を依頼すればいい。
小生は後者を選ぶ。

レンズはソ連邦時代のInduster-50 50mm F:3.5、 カメラのマウントはライカの古いスクリューマウント、
レンズはツアイスのテッサータイプを使用している。
ライカのエルマーレンズと比較しても遜色ない写りと思っている。
昔の写真雑誌を読むと、白黒フィルムの適正露光範囲は「±一絞り」とされていた。
カメラに内蔵された露出計はf:4/125秒が適正露光を示していたが、
石や石垣の質感を詳細に出すため、あえて一絞り分多めに露光した。

適正露光より 一絞り少なめに露光すると、石垣部分のディテールが失われていく。
Tri-XとかAcros100などのフィルムなら±一絞りの範囲なら、
見分けの付かない同じ調子のトーンになったが、
Retro系のフィルムは、露光の過不足でトーンが変わりやすい。
扱いにくいフィルムという評価を得ているようだ。
でも それだけ個性的。
好みのフィルムである。

適正露光より三絞り少なく露光すると、ネガの濃度は薄くなるが、
トーンは不思議な変わり方をする。
このトーンの変化を期待し、現像液を選び、現像法の工夫をするが、
思い通りのトーンにならないことが多い。
・・・・・そこを楽しんでいる。
-------------------------
デジタル画像を、最新のフォトショップで加工すれば、
おなじようなトーンを作ることができるだろうが、
それではプログラムを作った技術者集団のルール(思惑)に従って遊んでいるだけだろうと思ってしまう。
レタッチソフトで見栄え良くした写真を見せ、
どうだこの写真すごいだろうと自慢しても、ちょっと侘しい。
デジタルカメラは便利だけど、(小生も 場合により使っています)
撮った瞬間その結果は、カメラ内で画像まで仕上がっている。
背面の液晶画面で確認し、駄目なら 再びフレーミングに気を配り、露光を補正し撮り直す。
これだと、メーカーに、「遊ばされているだけだ」という感じがしてならない。
デジタルカメラが結果重視なら、
銀塩写真のカメラは、途中の過程を楽しむことにある。
一つのプリント(作品)を手にするまで、沢山の失敗をする。
フィルムを選び、露光に気をつけ、現像液、現像法に気を配り、
ようやく一カットのコマを発見したときの喜びは大きい。
工程が長いほど、楽しみは深くなり、作品に愛着が生まれる。
- 2023/08/12(土) 11:06:14|
- フィルムの眼
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小山八幡のスダジイは、見たときから引きつけられた。
ジッと見ていると、却ってスダジイに見つめられている気がする。
どう撮ればいいのか惑う。
ファインダーに目をあて、切り取り方を模索する。
しかし自信が持てない。
これは一面に過ぎない、こうじゃないだろう。

現像法を工夫しネガを作るが、
「これでいいのか?」となると、
「いや、こんなトーンではない。」
と自問してしまう。
このスダジイ 何回か撮ってみたが、
「これだ」という写真 撮れていない気がしている。
まだ 通うことになるだろう。
それも楽しい。
- 2023/08/10(木) 11:23:21|
- 黒い花 怪しい花
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中延の一帯は、関東大震災後、
焼き出された人が移り住んだ庶民の住宅街。
近くを第二京浜国道が走り、大井町線中延駅があり、
中延商店街への交通の便はいい。

大井町線 中延駅近くから、池上線 荏原中延駅近くまで、
アーケードが続いている。

八百屋、肉屋、魚屋から日常使う物は全て、この商店街で求めることができる。


未だ、写真館も健在。


それでも、時代の大波はこの商店街にも及んできた。

万物流転。
時代に合わせ、店舗が変わって行くのは 致し方ないこと。
数年前 この商店街を散歩したとき、この店舗には気づかなかった。
最近できた店かもしれないが・・・酒を飲むところだから「よし」と思わず肯定していた。
- 2023/08/08(火) 10:46:19|
- 都会の景観 Tokyo
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古来、酒を詠った歌は多い。
人間の社会が、一人の独裁者の意向で動く時代には、
人は、独裁者にも立ち入れない世界を凝視する。
世界の実相を深く知ろうとしたとき、
酒は、過酷な現実(独裁者の恣意)に対するアンチテーゼになる。

オマルハイヤームのルバイヤートの一節
われは酒屋に一人の翁おきなを見た。
先客の噂うわさをたずねたら彼は言った――
酒をのめ、みんな行ったきりで、
一人として帰っては来なかった。

陶淵明も酒の歌を詠んでいる。
帰去来の辞が有名だが、
小生は、雑詩に分類された漢詩が好きだ。
人生無根蔕 人生は根蔕無く
飄如陌上塵 飄として陌上の塵の如し
分散逐風轉 分散し風を逐って轉じ
此已非常身 此れ已に常の身に非ず
落地為兄弟 地に落ちて兄弟と為る
何必骨肉親 何ぞ必ずしも骨肉の親のみならんや
得歓當作楽 歓を得ては當に楽しみを作すべし
斗酒聚比鄰 斗酒、比鄰を聚めよ
盛年不重來 盛年 重ねて來らず
一日難再晨 一日 再び晨なり難し
及時當勉励 時に及んで當に勉励すべし
歳月不待人 歳月は人を待たず
個人の狭い視点を逸脱した詩になっている。
人種の違い、時代の違いを越え、万人もが共感できるものがある。
この二人の詩人を知ったのは20代の初め、それから50年以上経つが、
老年になるに従い、共感は深くなっていく。
大伴旅人も 「酒をほむる歌」を詠っているが、
・酒の名を 聖と負せし 古の 大き聖の 言の宜しき
・古の 七の賢しき 人たちも 欲りせしものは 酒にしあるらし
これは中国からきた漢詩の影響が強いと思う。(本歌取り)
若山牧水
・妻が眼を盗みて飲める酒なれば惶て飲み噎せ鼻ゆこぼしつ
日本人は、私小説的な世界が好きなのだろう。
物事の本質を考え抜こうとすると、「和を」乱す変人扱いされてしまう。
目の前にいる人との共感を大事にし、
時代を超えた人との共感や、これから来る人にまで 心することは少ないようだ。
酒は涙か 溜息か
心のうさの 捨てどころ・・・・
もうそんな時代ではないと思うが、意外と集団となると、変わっていない。
普遍的なものへの探究心より、個人的な付き合いの「和」へ、心は志向する。
美しい花を、いくら美しく撮っても、
その人の心が、花のように美しいという証拠にはならないのに、
今でも花を、風景を、町の雑踏を撮って、心象写真だと思いたがる。
確たるエビデンスがあるわけではないのに、「可愛い」「素敵」で評価してしまう。
大井町の飲屋街を、
昼間 散歩して、勇者を見た。
地の青馬にうち跨またがっている酔漢よいどれを見たか?
邪宗も、イスラムも、まして信仰や戒律どころか、
神も、真理も、世の中も眼中にないありさま、
二つの世にかけてこれ以上の勇者があったか?
(ルバイヤートの一節)
この方は人生の達人かもしれないと・・・記録にシャッターを切った。
写真は記録。
一番いい瞬間にシャッターを切れるか否か、
それが難しい。
- 2023/08/07(月) 22:16:20|
- ある場所、ある瞬間
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叔母さんが亡くなったのは10年ほど前、92歳だったという。
生前、その叔母さんから聞いた話だが、
小学校へ行く頃というから大正の末か、昭和の初め頃だろう、
戸越公園のある一帯は、高い樹が生い茂り、奥深い森になっていて、
怖くて近づけなかったという。
その戸越公園も、様変わり。綺麗に整備されてきた。

小生の子供時代、ここは緩やかな崖になっていて、
そのまま、友達と登り、縦走し、裏門まで通り抜け、遊んだものだが、
今は石垣となり登ることはできなくなっていた。
さらにご丁寧にも、その奥には、竹で編んだ塀になっている。
左の古木の幹が 面白いと三脚を持ち出し、記録に一枚写真をとる。
何時か、ニコンFに、望遠レンズをつけ、幹のアップを撮ってみようかと 考えていた。
先日、同じ場所に立ち確認したら、その樹はなくなっていた。

左に切り株の跡がみえた。
古い樹は 倒木の恐れがあるということなのだろう。
環境整備が一番大事、
用無しは去れ、と言うことだろうか。
撮ろうと思った被写体を失い、
代わりの樹を探す。
ようやく一本の樹を見つける。

でも・・・幹にキノコがあった。
公園の管理者が気づいたら、いや、おそらく気づいている。
早晩、この樹も切り倒されるだろう。
至る所に柵を設け、こんな場所まで柵がと思うほど 管理が行き届いているのが戸越公園。
「環境整備」は、必要なことだが、
管理者のための公園か、住民のための公園か、
行きすぎた環境整備には、かえって息苦しさを感じる。
ビッグモーターの「環境整備」から 学ぶことあるのではないかなぁ。
- 2023/08/05(土) 15:51:02|
- ある場所、ある瞬間
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何度も来ているので、撮す場所は限られてくる。
既に この構図で何度か撮影している。

また 過去に撮った写真と 同じような切り取り方になってしまった。
代わり映えしないなぁと思う。
心に浮かぶイメージを、
画家ならキャンバスに、彫刻家なら像に、
小説家なら文章に、詩人なら歌にして表現できるが、
写真では、心に浮かぶイメージを、イメージに合うよう外界を改変させることはできない。
変えた瞬間 それは 何か意図をもった写真になる。
(演出を加えた写真を否定するものではないが、往々にして 嘘くさくなる。)
写真にできるのは、一番いい瞬間を 見極め、シャッターを切ること。
散歩で撮る写真は記録。
記録でもいいではないか、
一番良い瞬間に出会い、シャッターが切れれば。
- 2023/08/02(水) 15:58:25|
- 水辺の光景
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少し光が見えてきた。
青写真は古い技法だが、あまり使われていない。
欧米では まだ 青写真で作品を作る人はいるが、
日本では、あまり見かけない。
欧米では、青写真用の薬剤キットが販売されていて、それを溶かして使っている人が多い。
日本でも、以前は クエン酸鉄アンモンと赤血塩が、ヨドバシやビッグカメラの写真用薬剤の棚に置かれていて、
それを購入し、先人の配合を真似て、青写真を楽しんでいた。
今、青写真を楽しもうと思うなら、外国の薬剤キットを購入することになるのだろう。
幸い化学を専攻したので、化学品の扱いには慣れている。
3価の塩化鉄と塩化アンモンは棚にあった。
クエン酸は百均に行くと「電気ポット洗浄剤」として売られている。
赤血塩は、ネガの減力剤として使用している。
炭酸ソーダ、重曹、セスキ炭酸、画用紙、スケッチブック、刷毛、筆を百均で購入すれば、
これで、青写真を 作ることはできる。
安上がり。
6月の中旬から実験を開始、
ようやく、峠を越えた気がする。

用紙との密着性を考え、感光剤に有機物を加え、水系溶液を作った。(銀塩フィルムを真似てエマルジョン溶液と名付けた)
用意したエマルジョン溶液の種類は1~7。
太陽光の光(曇り空)を入射光式露光計で測定すると、ISO:100でEV=13.5だった。
この値は ISO:100のフィルムなら、f:8半/125秒が適正露光になる。
段階露光をしてみた。
すぐに現像し、画像を確認。この光量なら90秒が適正だろうと、
青写真の印画紙をセットし、露光した。

しかし、雲が薄れ、少し明るい。入射光式露光計で確認の測定したら、ISO:100でEV=14.5と 2倍明るくなっていた。
適性は45秒、しかし、そのまま90秒露光した。
露光オーバーは確かだが、画像はそれなりにでていた。
小生の狙いは2点。
一つは、印画紙の代替品として使用できるようにすること。
そのためには、引き伸ばしの露光時間を60分以下にできるよう高感度化をはかる。
二つ目は、高感度化をはかり、青写真の透明フィルムを作ること。
そうすれが、大型カメラで(A4判を狙っている)撮影し、青写真ネガを作り、
青写真印画紙に密着させ、露光することにより、すべて青写真の原理で写真を作ることができる。
その目的のため用意したなかで、可能性が高いのは、エマルジョン-3と、エマルジョン-6。
まず、エマルジョン-3で試して見た。(他のエマルジョンに可能性がないわけではないが・・・)

OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用 透明フィルムは、ポリエステルフィルムなので、
Retro80SやRetro400フィルムを開発したアグファの技術者なら
たちどころに、問題を解決できるだろうが、
ポリマーの物性は、小生の専門外、深く知らない。
だが、化学会社の研究所にいたので、
ポリマーを扱っている人からも助言を求められたことはあるので、素人でもない。
溶解パラメーター(SP値を)頼りに、エマルジョンを調整した。
どうにか 青写真にフェリシアブルーをフィルム表面に固定できた、
現像中、一部は水溶液に逃げ、像は少し薄くなる。
水洗し乾燥すれば、手で擦っても、画像は剥がれないので、一応成功した。

このエマルジョン-3を出発点にして、さらに高感度化、画像の堅牢化を進めて行く予定。
8月末までに、実用化レベルに達すればいいのだが・・・・
- 2023/08/01(火) 16:02:00|
- 写真の技法
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