天気は晴れ、暖かな散歩日和の一日だった。

東京湾から入ってくる風のせいか、遊歩道の桜の開花は遅れ気味。
桜は三分から五分咲き程度だった。
川を上り、中目黒へ出ると、開花はもう少し進んでいると思う。

水面近くまで枝を伸ばした桜が一本あった。
ようやく桜の季節、一週間もすると、川面を花吹雪が舞うようになる。

三分咲きの桜では、撮りようがない。
こんなカットがいまの状況だろう。

大崎駅のこの桜は、いつも早咲き。
ほぼ満開を迎えていた。
さて・・・今年は・・・また桜かなぁ。
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- 2023/03/30(木) 18:20:38|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
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天気は晴れ。
一気に桜は開く。

住居地区は少し高台になっている。
ここの桜は、3分から5分咲きだが、これから数日の内に満開となるだろう。

下ると、

既に開花は進み、5分から8分咲き、明日には満開となる桜もある。

春は慌ただしく駆け抜けていく。
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使ったフィルムはOrtho25。
低感度フィルムで、今は珍しいオルソタイプの乳剤。
等倍に伸ばしても、銀粒子を感じさせない滑らかな写真になる。
数年前、100フィート缶を購入し使っていたが、ISO:25と低感度で、使う場面が少なかった。
余ったフィルムは、パトローネやマガジンに詰め、冷蔵庫で保管していた。
今回 久しぶりに使ってみた。
やはり面白いフィルムだと思う。
もう一度100フィート缶を購入しようかと思ったが、
残念ながら、長巻缶は見つからない。
36枚撮りのパトローネ入りなら手に入るようだが・・・・
あまり使いたくない。
パトローネに入ったフィルムを、長時間室温に置いておくと、
巻き癖がつき、現像するとカールする。
(特にRetro系やOrtho25などポリエステルベースのフィルムに、多いように感じる)
冷蔵庫で保管し、冷蔵で運搬しているフィルムなら使ってもいいが、
そんな温度管理されたフィルムが末端にまで届いているとは思えない。
どうしたものか・・・・
オルソパンクロフィルムとしてADOX(アドックス) CMS20 IIフィルムがあり、これは100フィート缶で入手できそう。
感色性400nmから650nmとのことなので、Ortho25に似ているかも。
現像は指定の現像液でなければ駄目と、脅かしているが・・・指定された現像液(2種)、かなり高額、入手も難しそう。
さてどうしようか考慮中。
- 2023/03/28(火) 11:24:19|
- 桜
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毎年、彼岸の時期、白山のお寺にお墓参りに出かける。
その折勤めて、白山近くを散歩して、写真に収めている。

蕾が膨らみ赤くボーッと霞む。
開花直前だった。

龍の口からでる水流にピントを合わせる。
外の明るい光を拾うのか、指示する絞りはf:11、
露光不足だと思うが、カメラ任せでチャッターを切る。
暗い部分は黒く潰れるだろうと思ったが、軟調現像液を使ったので、
意外と粘り、暗い部分のディテールが残っていた。
もし、オートを切ってマニュアルで設定するならf:5.6/125秒を選んだと思う。

これも 一絞りアンダーではないかと思う。
強い光の反射に 滲んでしまったが、当時のコーティングでは致し方ないかもしれない。
シャープなレンズで、これだけ撮れたら 今でも通用すると思う。

ようやく桜の花を発見。
これは適正露光だと思うが、小生の好みなら、もう一絞り開け、f:8/125秒で撮影したと思う。

境内へ上る坂道の、
桜の開花はまだだった。
- 2023/03/27(月) 15:12:46|
- 桜
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桜の開花の便りがあった。
目黒川の桜はどうなったか知りたくて、散歩に出た。
中目黒近くの桜並木は、人が多く出るので、もう行く気にはなれない。
下流の大崎付近の桜を狙うことにしている。
キャノネットカメラを取り出す。
東京オリンピックが開催された頃販売され、大人気となったカメラ。
自動露光を初めて組み込んだ、コンパクトカメラだったかもしれない。

受光素子にセレンを使っているため、電池を必要としない。
数年前にも使ったことがあるが、問題なく使えた。
シャッター速度優先で、絞りは自動で設定してくれるが、
動かすのは指の運動(エネルギー)を使うので、
シャッターのストロークが長く、重い。
ゆっくりと押していかないと、絞りが合わなくなる。
その注意が必要で、シャッターチャンスに少し弱い。
シャッターの具合をチャックしたら、
シャッターが粘り、1/30秒以下では、上手く作動しなかった。
シャッタ-速度を1/125秒にして、撮影した。

空を暗く落としたかったのでY2フィルター(φ:55mm 黄)をつけた。
開花が始まった段階だが・・・この桜の色、少し赤く、ソメイヨシノではないようだ。
露光もかなり正確だと思う。(ただし、順光なら)
シャッターをゆっくりと押し込んでいくとファインダー内の指標が動き、固定する。
そのときの値が絞り値となる。
絞りの数値を読むが、中間で止まることがある。
その場合は大陸絞り値を想定して記録(メモ)した。
絞り値は正確ではないが、半絞りは違わないと思う。(1/3絞り程度のバラツキで収まる)
飛行機が、空に出た瞬間、シャッターを落とそうとしたが、ほんの少し前に切れてしまった。
シャッターの使い方(感覚)、練習が必要だと思う。

ソメイヨシノの開花はまだだった。

セレン受光素子に光が入ると、そちらに引っ張られて、アンダーの露光になる。
勘(経験)で撮るなら、f:5.6/125秒 あるいはf:8/125秒を選んだと思う。
ネガをチェックしたが、やはり少し薄い。
f:8/125秒が適正露光だと思う。
でも、暗部のディテールも出したいと思ったら f:5.6/125秒だろう。

セレン受光素子に空の光が入っていること、遊歩道の照り返しの光が入ったことで、
露光は、f:16/125秒!(サニー16)だった。
遊歩道に対しては適正露光だろうが、暗部は潰れてしまった。
小生ならf:8/125秒を選んだと思う。
暗部の潰れたネガを、4号のような硬調の印画紙に焼き付け、
暗部を黒く潰し、遊歩道をコントラスト高くする写真が流行ったこともあった。
キャッチーな写真にするため、歩道に人を立たせ、シルエットで抜く。
それが格好いい、それが(俺の、私の)写真だ(自己実現?)
そんなこと考える人は今も多いのだろうか?
カメラは道具にすぎない、そんな使い方もあるのは認めるけど・・・・見ている小生は馬鹿にされているようで、あまり感心しない。

同じネガから、硬調に仕上げ、焼き込みを行った。
ネガは作曲(作譜)、プリントは演奏だと思う。
それが、(俺の、私の)自己表現になっているか否かは、見てくれる人が感じること。
名なしのポスター、単なる飾りでもいいではないかと思う。

この日、大崎のガーデンタワーの桜が、ようやく開花していた。
45mm f:1.9の明るいレンズはまだ現役で使えるレベル。
古いが、まだ受光素子は生きていた。(駄目ならマニュアルで設定し使える。)
シャッターが粘り、低速度では機能していない。
機械式のレンズシャッターなので、分解し、掃除すれば治ると思う。
分解は、セレン受光しを外して、
配線の半田を融かして切ることから始めることになりそう。
低価格を目指し、省けるところは省いたような気がする。
組み立て方が独特で、
分解し修理することは想定しなかったカメラではないだろうか?
1/60秒以上では使えそうなので・・・分解し掃除することに、ちょっと二の足を踏む。
- 2023/03/25(土) 10:18:56|
- 桜
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林試の森の早咲きの河津桜は散り、
木陰近くに残った二本の河津桜が満開を迎えていた。
これが林試の森の最後の花見と、人が集まっていた。



これから、いよいよ桜の季節に入る。
有名な桜の名所は、込みすぎて、心がざわつくばかり。
シートを敷いて、ゆったりと花見を楽しむ場所は少ない。
もうそんな場所はご免だと思う。
さて、今年はどうしよう・・・
そんなことを思いながら、また桜を追っているのだろうなぁ。
慌ただしく、季節は過ぎて行く。
- 2023/03/23(木) 16:35:48|
- 桜
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1900年、ツアイスによってテッサーレンズは開発された。
3群(トリオーター)4枚の簡単なレンズ構成だったが、
「鷹の目」と喧伝されたほど、シャープな写真が撮れた。
しかし、テッサーのレンズ構成では、明るいレンズを作るのは無理だった。
明るいレンズにするためには、空気と硝子の境界面が少ない方が有利である。
ツアイスは4群構成のダブルガウス(プラナータイプ)を選ばず、
3群レンズの発展形、ゾナータイプを開発する。
ライカは、テッサータイプのElmar 50mm F:3.5を、
明るいレンズとしてダブルガウスタイプのSummar 50mm F:2を製造する。
古いElmar 50mm F:3.5とTessar 50mm F:3.5の撮り比べしたことがあるが、
小生には違いは分らなかった。
どちらも優秀なレンズであることには変わりない。
Sonnar 50mm F:2とSummar 50mm F:2の撮り比べでは、画質に差はでた(特に絞り開放近くで)。
小生の好みはSonnar 50mm F:2のほうだった。(Summarも優秀なレンズです)
戦前、キャノンの求めに応じて、
ニコンはライカスクリューマウント用Nikkor 50mm F:2を供給している。
おそらく、そのレンズが手に入ったら、ライカのSummar 50mm F:2と撮り比べ
Nikkor 50mm F:2(ゾナー)の優秀性は認識されると思う。(そんな物好きは居ないと思うけど)
今回使うSonnar T 50mm F:1.5は1939年に誕生したもの、
小生より年老いた眼だが、コーティングが施されている。
オールドレンズの眼に輝きはまだ残っているか、探ってみた。

Retro80Sフィルムの特性で、赤い色は明るく写る。
椿まで、距離は約1.2メートル、オールドレンズとはいえ、しっかり捉えている。

f:1.5の開放絞りにするためR2フィルターをつけた。
距離はビルのアンテナに合わせた。
約20m。
空は暗く落ち、雲が明るくでる。

樽のワインの瓶に焦点を合わせる。
距離は約11mだった。

ヘッドライトにピントを合わせる。
約5m。

真ん中の花キャベツの葉の先端にピントを合わせた。
距離は最短の0.9m。
被写界深度は浅いが、ピントは合っている。
Nikon SPとツアイスのゾナーレンズとの相性はいい。
老眼といえど、侮れないと思う。
戦前は 高価なレンズ、お金持ちしか手にできないレンズだった。
オールド・ライカレンズより需要は少ないのだろう、
今は、中古市場でかなり安く買い求めることができる。
当時 すでにレンズ設計の基本は完成していた。
ただし選べる光学硝子の種類は少なく、
また、一つの光線の軌跡を計算するにしても、煩雑な計算を手計算でしなければならなかった。
その中で、ゾナータイプを見つけたのは、すごいことだと思う。
今は、光学硝子の種類も豊富にあるし、
コンピュターの計算速度は驚異的に速くなり、
計算の人手は、殆どかからない。いくらでも再計算し、最適化できる。
レンズの収差を抑え、高解像度、高コントラストの画像を得ることができるようになった。
コシナの製造したS-Nokton 50mm F:1.5は、
ゾナータイプでは取り切れなかった収差をほぼ解消していた。
いいレンズだと思うが、それだけでは面白くない。
感動しないのだ。
綺麗に撮れれば、それでいいじゃん・・・・と言い切れないものを、
オールドレンズに感じる。
この時期のゾナーは、
マイスター眼によって、
硝子の塊のどの部分を削るか判断し、削りだされ、磨かれ、
マイスターの手によって丁寧に張り合わされ、
組み立てられたレンズ。
そこにマイスター達の手のぬくもりを感じる。
古いレンズは、おろそかにはできない。
そのレンズで、フィルム写真を楽しむのも、
醍醐味の一つではないだろうか?
- 2023/03/18(土) 12:30:36|
- レンズの眼、カメラの眼
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「標準レンズ」という言葉は、今はなくなったが、
最初の35mmフィルムカメラ、ライカが作られたとき、
エルマーの50mmレンズが採用されていたので、
それから35mmフィルムカメラでは、50mmレンズを標準レンズと呼ぶようになる。
レンジファインダーカメラから一眼レフカメラに変わっても、標準レンズは50mmレンズであり続けた。
カメラを購入すると50mmレンズが付いているのが普通だった。
それより短いのを広角、長いのを望遠と呼んだ。
「望遠は技術で、広角は度胸で撮る」
そんな言葉がまことしやかに語られていた。
小生の場合、技術も度胸も無いから・・・標準レンズかと、
50mmのレンズで撮った写真が一番多い。
特に望遠レンズには、苦手意識がある。
人物写真を撮ることが少ないからかもしれない。
今回久しぶりに、135mmの望遠レンズを使ってみたが・・・
やはり難しかった。
本を読むとき、凝視した文章をくっきり見える範囲は意外と狭い。
周辺部の文字は崩れてぼんやりとしてしまう。
135mmの画角は、そのくっきりと見えている範囲に近いと思う。
面白いなぁと思った被写体を探す。
ところが脳は、それ以外の部分も「くっきり」見えているような錯覚を起こす。
ファインダーを覗き、フレーミングするが・・・・こうだったか?と戸惑ってしまう。
また、被写界深度が思いのほか浅い。
フィンダーは窓のようなもの。
全てがくっきり見えている。(一眼レフカメラと違い、ボケをチェックできない)
ピントは、中心の二重像部分を一致させることで合わせる。
それを怠ると、ピンボケ写真になる。
被写体に縦の文様が入る草花や木の枝に合わせるには細心の注意が必要。
奥にある草花や、前にある枝に合わせたら、被写界深度を外れ狙った写真はピンボケになる。
望遠レンズを使い撮影し、帰ったきて現像しネガをチェックすると、撮影技能のなさを痛感してしまう。
ピント合わせを慎重に行わないと、ピンボケのカットが増えていく。
f:4の絞り開放で撮ってみた。
ピント合わせを慎重に行い、手振れ防止を意識してシャッターを切れば、
どうにか画像はOKとなった。
あとは被写体の発見と、フレーミング(切り取り方)の練習が必要だろう。
苦手意識を、払拭したいと思っている。

ピントリングをほんの少し回しただけで、二重像は微妙に合わなくなる。
白黒のコントラストがハッキリした窓の白枠を選び、慎重にピントを合わせた。
距離は11mを指していた。
被写界深度は10m~13mぐらいだろう。

横から陽の光が入っていたので、ピントは合わせやすいほうだった。
距離は15mほど、被写界深度は14m~18mくらいだろう。
わんちゃんの後ろ足の少し前から、白い道路標識のポール辺りまでが、ピントの範囲になっていた。

このポンプは Sonnar T 50mm F:1.5でも、ピントチェック用に撮っている。
暗い場所にあるので、露光は、f:4で1/60秒だろうと思った。
手振れが怖かったので、足場の平らなところまで下がり、
膝をつき、体を固定してシャッターを切った。
ポンプのフランジにピントを合わせた。距離は1.8mだった。
被写界深度の範囲は10cmもないと思うが、ピントは合ったと思う。
50mmの標準レンズでスナップを撮るときはこんな苦労はない。
絞りf:8、距離を5mで固定しても、撮りたい被写体はほぼ被写界深度内に入ていることが多い。
ピント合わせに苦労することはない。
広角レンズなら、距離合わを省略し、目視で距離をきめて合わせてもOK。
5mとか3mに設定して撮ることが多い。
レンジファインダーカメラだと、ピント合わせは、135mmが限界だと思う。
たしかに望遠は難しい。
「望遠は技術で撮る」を納得する。
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祖父が見ていたアサヒカメラが何冊か(奇跡的に)残っていた。
1950年代のカメラ雑誌、それを見ていたら、当時はまだブローニフィルムを使うカメラが主流で、
35mmカメラで撮ったものは少なかった。
35mmフィルムカメラで撮った作品を見ると、
一番多いのは、プロ・アマ問わず35mmの広角レンズで撮ったもの。
当時なら超広角とも云える28mmレンズで撮った写真が一点あったが、これはプロ写真家の作品だった。
次に多いのが、50mmの標準レンズ。
広角:標準:望遠で分けるなら、50:30:20くらの比率だろう。
アマの使う望遠は、主に80mmとか85mmで、135mmレンズは一点のみ。
プロは、万遍なく使っていた。中には200mmとか150mmのレンズを使っている写真もあった。
レンジファインダーカメラに、専用のレフボックスをつけて使っている。(35mm一眼レフの原型のようなもの)。
日本写真の黄金期は1965年~1975年だろうと勝手に思っている。
一眼レフカメラの時代に入り、カメラメーカーの黄金期でもあった。
1950年代のアサヒカメラには、
プロの作品でも、カメラ、レンズ、フィルム、絞り値、シャッター速度を開示し、記載したものが多くあったが、
この時代に入ると、それらの記載は無くなり、不明となる。
でも明らかに超広角レンズを使った作品が多くを占めていた。
アマチュアの作品には撮影条件を記載した伝統は残っていた。
調べると(1971年頃の雑誌)、圧倒的に広角レンズを使ったものが多くなっている。
広角レンズの中心は28mmレンズになっていた。
超広角レンズ16mmとか21mmを使った作品も出てくる。
広角:標準:望遠で分類するなら、75:10:15 あたりではないかと思う。
望遠の135mmは少なく、200mmが中心で、中には500mmで撮ったものもあった。
一眼レフなら、望遠レンズのピント合わせ、どうにかなりそう。
Nikon F用の望遠レンズは105mm F:2.5と 180mm f:2.8を所有している。
105mmレンズは、時々、思い出したように使うが・・・・
180mmレンズは、殆ど戸棚にしまわれたまま。
いいレンズだと思うが、大きくて重い。
ペンタプリズムのNikon Fが目立つのに、
そこに大きな180mmレンズをつけると余計目立つ。
でも、今年、もう一度使ってみようかという気になっている。
- 2023/03/15(水) 12:26:59|
- レンズの眼、カメラの眼
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5年程前から、毎年 中央公園の白木蓮の花を撮っている。
もういいだろうと思いながら、
夕刻、中央公園の脇を歩くと、
白木蓮の蕾が膨らみボーッと霞み、樹が明るくなっていた。

また、季節は巡ってきた。
思わず、手にしていたカメラで、白木蓮の樹(蕾)を、2カットほど撮影していた。

それから10日後、白木蓮の開花は始まっていた。
手にした、カメラには、ツアイスのビオゴン・レンズのクーロン、
旧ソ連邦で製造されたJupiter-12 35mm F:2.8をつけていた。
天気は快晴、雲は出ていない。
R2フィルター(赤フィルターで、おそらく600nm以下カットの光をカットする)をつけて、
空を暗く落とし、白い花弁をくっきり出そうとした。

一昨日(3月10日)の天気は曇り空だったが、開花の盛りは過ぎているかも・・・と思うと居てもたまらず、
Jupiter-11 135mm F:4(戦前のツアイスのContaxⅡ用ゾナー 135mm F:4のクーロンレンズ)をつけて 中央公園へ。
樹の根元には、既に花弁が散っていた。
クローズアップを撮ろうと、花に近づく。
手振れの危険から、シャッター速度は1/125秒以上とした。
絞りはできるだけ絞りたい所だが・・・空の明かりを考え、f:5.6が適正だろうと判断した。
最短距離1.5m近く、1.6m前後でフレーミングしピントを合わせた。
被写界深度は、かなり薄い、10cmもないと思う。

有効基線長53mmのNikon SP距離計の精度は高い。
ピントは、その中に収まっていた。
f:16あるいはf:22まで絞れたら、
もっとくっきりした白木蓮が撮れたと思う。
三脚に固定して低速シャッターを切るのが定石だが、
フレーミングの自由度を優先させ、
手持ち撮影に拘るなら、
強力なストロボを焚くか、
高感度フィルムを使用する、など選択肢はまだある。
(増感現像もありえるし・・・)
そんなこと考えながら、
写真を撮るのが、フィルム写真の楽しみの一つ。
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デジタルカメラになって、レンズから絞り環と距離環がなくなった。
これは、保守的な写真愛好家には衝撃的だったと思う。
距離目盛りも、絞り値もないデジタル用交換レンズ、これでレンズ?と違和感を覚えた。
レンズをコントロールする機能は写真表現の重要なポイント、
それをデジタルカメラ側に奪われてしまった。
使いたくないという気分だった。(今はSonyのNEX-5を使っているけど・・・)
勿論、便利になったフルオートのデジタルカメラでも、
基本的なカメラ機能の設定である、絞り優先、シャッター速度優先、露光レベルの変更、オートフォーカスを切っての距離合わせ、などは可能だが、可能と使うかは別問題だろう。
操作が煩雑になり、使う機会は少なくなる。
全てカメラ任せだと、被写界深度を気にすることはない。
機械式カメラだと、
シャッター速度、絞り、レンズの焦点距離、被写体までの距離は、重要な要素で、
常に、そのことを注意してフレーミングする。
デジタルカメラに慣れてしまうと、ボケは意識しても、
その元になる被写界深度という数字は意識しなくなるのだろう。
意識すると、絞りは重要な要素となる。
すると、露光レベルを合わせるためのシャッター速度にも意識は行く。

デジタルなら、自動でISO感度を変更し調整してくれるが、
フィルムの場合、一本のフィルムを撮りきるまで、ISO:感度は換えられない。
手振れを考え、被写体の動きを観察し、止めるか、流すか、判断し決める。

135mmの望遠レンズ(レンジファインダーカメラでは、これが限界だろう)の被写界深度は浅い。
距離を合わせ、絞り値を確認し、被写界深度の範囲を確認し、ボケ具合を思い描く。
それが、機械式カメラを使うルーティンになっている。
デジタルカメラは便利だが、便利さに慣れてしまい、デジタルに馴されているのではないか?
絞りも距離もカメラ任せ・・・主体は誰?、人間それともデジタルカメラ?
綺麗なデジタル写真を見るたびに、でも面白くない、金太郎飴のようだ と思ってしまう。
これは、小生の偏見かもしれない。偏見は難しい、「思い込み」は治しようがないから。
- 2023/03/12(日) 16:22:28|
- 白木蓮
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池上梅園の古梅。

TRI-Xを現像するため開発した軟調微粒子(A)現像液を、
Retro80S用に、改良し(AⅢ)とした。
その現像液で、現像してみた。
Retroフィルム用に開発した軟調現像液(ⅥR)より、微粒子になったと思う。

オーバー気味露光だが、軟調現像液なので、白飽和も抑えることができている。
暗い部分のディテールも残った。
Retoro80Sの豊かな階調性(トーン)を生かすには、いい現像液だと思う。
微粒子現像液の定番は、ミクロファインだが、
Retoro80の現像に使用したことがないので、分らない。
軟調をうたう市販の現像液、あるのだろうか?
ネットで調べると、新しい現像液はT-MAX現像液くらいだろう。
あとはミクロファイン、D-76、ロジナールなど
由緒ある古い現像液が今も市販されていた。
軟調現像液は見当たらない。
ミクロファインは、昭和30年代の写真雑誌に広告が載っていたのを思い出す。
D-76は、戦前からある処方で100年くらい歴史がある。
ロジナールは、AGFAの処方で、150年くらい昔から売られていた。
数多くの現像液が、長い年月を掛けて開発され、使われたが、
残ったのは数種の処方となってしまう。
白黒フィルムを楽しむ人も少なくなったのだから、それも致し方なし。
白黒フィルムを楽しむなら、自分で配合した現像液で、自家現像する。
この贅沢を味わい尽くすのが趣味の神髄だと思っている。(と自分を励ましている)
- 2023/03/10(金) 23:39:27|
- 樹、草、花
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梅の開花を知ったのは、旧品川宿・海晏寺だった。

カメラは、KyivⅡ/S-Nokoton 50mm F:1.5からNikon SP/Sonnar T 50mm F:1.5に換えていた。
試みに、どんな写りになるか、何カットかこの梅で写真を撮っている。
レンズは1939年製、 開放絞りは、F:1.5だが、最小絞りがF:11という
今では考えられないようなレンズだった。
開放で撮影した画像でも、ボケた部分の像の崩れはなく、さすがだと思う。
当時は唯一無二の明るいレンズだった。
ツアイスの光学設技術は、ほぼ完成の域に達していたと思う。
--------------------------------
それから三週間経ち、梅は満開。
山海雲寺の梅を撮った。
午後の陽は傾き、柔らかな光に境内は包まれていた。
梅の花まで約1.2m(4フィート)で、花にピントを合わせた。
被写界深度は15cmくらいだろう。

等倍まで拡大してチェックしたが、ピントは正確に合っていると思う。
花は、被写界深度内に入っていた。

梅は枝振りを見る・・・と後ろの下がり、枝振りを入れたフレーミングに。

ピントは花に合わせた。
距離は4mくらい(12t.と15ft.の中間)、被写界深度は、9ft.~20ft.(約2.7m~約6m)になる。
拡大し調べると、背景のお堂は被写界深度を外れている。
でも像の崩れはないので精細感は残る。
昔のレンズなので、白黒フィルム向きなのかもしれない。
- 2023/03/09(木) 12:22:05|
- 品川宿
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梅は中国から来た花、
中国人は梅の花を愛でたが、
古代日本は、中国文明を導入していたので、
同じように梅を愛でていたらしい。
「梅」、「中国」と連想が続くと、脈絡もなく「曲水の宴」を思い浮かべる。
20年ほど前、妻と、中国、浙江省・紹興市を旅行し、
王羲之で有名な、蘭亭を訪問した。
その庭園には、「曲水の宴」で使われた池の遺構が残されていた。
杯を載せた小さな舟が来る前に、歌を詠む。
優雅な遊びだと思う。
その後 市内に戻り、魯迅旧家近くの咸享酒店で、紹興酒を呑み、食事をした。
楽しい思い出になっている。
コロナ禍で、去年は園内の甘酒ショップがなかったが、
今年は、それが楽しめるだろうと、
池上梅園へ行く。

残念ながら、今年も甘酒の屋台は出ていなかった。
太宰府にいた大伴旅人も梅によせて歌(和歌)を詠んでいる。
「我妹子(わぎもこ)が、植ゑし梅の木、見るごとに、心咽(む)せつつ、涙し流る」
傍らに酒瓶(濁り酒)をおき、二人して梅を愛でた楽しい時間は、過去のこと。
あの楽しかった瞬間はどこへきえたのか。亡き妻を思い出し、心は咽び泣く・・・・
そして、一杯の濁り酒を喰らう。
「なかなかに人とあらずは酒壷になりにてしかも酒に染みなむ」
蘭亭観光のあと、妻と楽しく紹興酒を飲み交わしたが、
こんな歌を詠む(想像する)ことなど、とても小生にはできない。
梅を撮るのは難しい。
どう撮っても、既視感のある梅の写真になってしまう。
一枚の写真が、勝手に語り出す写真を撮りたいもの。
大伴旅人の眼を持った詩心のある写真家、
現れないだろうかなぁと思う。
- 2023/03/07(火) 17:44:05|
- 樹、草、花
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戦前のドイツ、ツアイス社のContaxⅡカメラ用 Sonnar T 50mm F:1.5 レンズを
戦後になって日本で作られたNikon SPカメラにつけて使っている。
写りに遜色はなく、現役として通用する一流レンズだと思っている。
-----------------------------
新幹線の走っているのを見つけると、撮影するようにしている。

新幹線はさっと通り過ぎていく。
特にこの場所は、タイミングを取るのが難しい。
幾度となく通る道。
いつかは 「これだ」 というショットが撮れるだろう・・・と淡い期待をしている。

むしろこの場所のほうが、列車の音が聞こえてくるので、シャッターチャンスを掴みやすい。

居木橋から新幹線の列車を撮るのは初めてのことだった。
新幹線の列車を見ても、当たり前の景色で、余り関心を向けなかった。
たまたま、山の手線と並走していたので、シャッターを切っていた。
-----------------------------
江戸時代、江戸の入り口、品川宿の近くに東海寺という大きな寺があった。
上野の寛永寺と同じく、徳川幕府の寄進によって建立された寺院。
西から攻めてくる敵に対する城郭の意味もあったと思う。
明治になると、寺領は新政府に没収され、
今はその中の塔頭の一つ(玄性院)が東海寺を名乗っている。

明治新政府にとって、この一帯は使い勝手のいい場所。
品川神社の近くには板垣退助の墓があるし、
大山墓地には、日本鉄道の父と呼ばれた井上勝の墓がある。
今は、その墓の左を、新幹線、横須賀線(品鶴線)と山の手線が走り、
右を京浜東北線、東海道線が走っている。
「鉄道の父」の墓にふさわしい場所だと思う。
数年前、その場所の前に、
昭和の歌姫、島倉千代子の墓が設置された。
以来、献花の絶えたことはない。
「鉄道の父」は忘却の彼方へ消え、
今は、昭和の歌姫の前に弔いの人が集まるが、
歌姫を知る人も少なくなっていく、
また20年も経ったら、この風景も変わるのだろう。
進歩が全てと時代は進む。
写真フィルムメーカーも淘汰され、
記録はデジタルデータに集約されるようになるだろう。
デジタルデータの保存性、意外ともろい、大丈夫だろうか?
- 2023/03/06(月) 18:33:33|
- 新幹線の見える街 品川
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KyivⅡにS-Noktonレンズをつけ 散歩している。
時々、 ピントチェックの被写体を見つけると、
撮り、どんな結果になるか調べている。

塀まで約5m ピントに問題ない。

絞り開放のf:1.5で撮りたかったが、明るすぎた。
f:2まで絞って撮影した。
ピントあわせの笹の葉までは、最短の約1mだった。

等倍まで拡大しチェックしたが、ピントは合っている。

星薬の薬草園を横断する都道の計画がある。
その話が進んでいるのか、薬草園近くの塀が壊されていた。
このパイプが何を意味しているのか分らないが、とりあえず記録した。
パイプ付け根のエッジ部分に距離を合わせる。
距離は約1.2m。
このレンズの優れているところは、
ボケに芯が残ることだろう。
像は崩れないので、みていて気持ちがいい。

西の空をバックに、ピントを無限遠にして撮影した。
時刻は4時10分。(時計台)
冬の夕日は低く、左のビルに隠れている。
半逆光の光だが、コントラスト高く撮影できている。
コーティング技術の賜だろう。
フィルター径が52mmで
NikonF用のフィルターが、そのまま流用できるのもいい。
目黒川の河口、新馬場駅近くの妙光寺の山門。
午後の陽も傾き、薄暗い。

縄の結び目近くにピントを合わせる。
距離は約1.2mだった。

絞りをf:1.5の開放絞りを選択。
シャッター速度を1/250秒にするか、1/500秒にするか迷った。
1/500秒に設定したが・・・このケースでは間違い。1/250秒を選ぶべきだった。
(帰宅して計算すると、f:4と同じ露光レベルを合わせるなら1/350秒になる。)
暗い部分のディテールは潰れ、等倍まで拡大すると、銀粒子が汚く出ていた。

4つ切りまで伸ばすと、すこし粒状感がでてしまうだろう。
でも、像の崩れは感じない。

レンズに問題ない。
画質に問題あるとしたら、
それは使う人の技量の問題だろう。
欠点は、レンジファインダー用レンズとして、
鏡胴のサイズが少し大きく、
ファインダーの右下部分が隠れてしまう(欠られる)ことだろう。
- 2023/03/05(日) 11:09:30|
- 散歩
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声なき声を聞いたような気がする。

見渡すと、落葉した林があった。
冬なら落葉するのは当たり前。
何だろう?

眼には見えないが、空には、風が渦捲いているようだ。

その風が枝を切る風音か?
いや、そうでは無い・・・
樹の姿が異様なんだ。
なにかを訴えている。

頭をちょん切られ、哀れな姿を晒していた。
それを見上げ、キャッチーさに引かれシャッターを切っていた。
現像が終わり、ネガをチェックする。
改めて画像を確認すると、
声なき声で、「いや お前もそのうち、こうなるのさ」
と言われている気がした。
- 2023/03/01(水) 22:20:22|
- 樹、草、花
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