うまい写真家は沢山いる。(うまくないと写真家とは言えないだろうから)
そして沢山の作品を、展示会や雑誌の誌面で見ることができる。
でも、心に突き刺さり、いつまでも心に残る写真は、そう多くない。
一つはカメラが 画家の構図を探る装置だったという歴史的事実。
感光剤の発見・発明により、簡単にイメージを固定できる現在のカメラになった。
写真家は多作、その中にはいい作品も混じるが、
これはいい作品・・でも、あれも良かったと、目移りし、印象が薄められ、
一枚の作品に込められた制作者の熱量が薄められて、心に残りにくい。
それでも、なかには、いつまでも心の底に残る作品がある。
森山大道のアメ車の作品は そのうちの一つ。
滑らかな黒光りしたアメ車のボディーが印象的。
吸い込まれるような黒光り、大伸ばししているのに、銀粒子を感じさせない滑らかさ・・・
あんな写真を撮ってみたいもの・・・と数年前挑戦してみたが、無理だった。
黒いボディーの車を見つけると、また、挑戦したくなる。

フィルムを現像(硬調現像液で)し、ネガをフィルムスキャナーでPCに取り込み、
トーンカーブを動かし、滑らかな黒光りする車体に調整しようとするが・・・・
どうしても銀粒子の、ザラッとした感じが出てしまう。
あの滑らかさは、未だだせない。
森山大道の作品のイメージは、
繁華街を(犬のように)彷徨し、捉えたスナップショットで、
銀粒子のでた 白黒の対比の強い作品だと思っている人は多いが、
彼の真骨頂は、撮ったネガから暗室で
作品を作ることにある。
「ネガは作曲(作譜)、プリントは演奏」ならば、
写真家としては、演奏の腕が素晴らしい、演奏者だろう。
森山大道氏の作品の善し悪し(印象に残るか否か)は、「撮る」より「作る」善し悪しに掛かっていると思う。
写真家として認められるきっかけの作品群の作曲部分は、雑誌の編集者の力が大きかったと思う。
路線が決まると、写真家は、そこから抜け出せない。~~調写真を突き進む。(大道調)
写真家としては、技術に注目されるより、テーマ性:作曲:を強調したいところだろうが・・・
もし、オリジナルプリントの展示会があったら、
行って、近くでじっくり見、どのように作品を作っていったか想像すると、面白い。
どんな処理して作ったのか、分からない所もあるが、(そこが魅力的)
様々な工夫が為され、一枚の作品にもちりばめられている。
暗室で格闘する森山大道の姿が・・・見えてくる気がする。
もしかしたらあの「アメ車」の作品、
コピーフィルム(文献複写用)で撮影されたものかもしれないと・・・
考えている。
フジのミニコピーフィルム、当時は割合と簡単に入手できた。
軟調な現像液で現像すると・・・緻密で粒子を感じさせない精緻な写真になった。
そうであれば、最早再現は不可能かなぁ・・・
しかし、あのアメ車すごいなぁと思う。心の中に残り消えることはない。
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ヨドバシのホームページを調べたら
ミニコピーフィルムHR2 135 36枚撮り
販売終了商品になっていた。
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- 2021/05/30(日) 07:52:15|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
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民家の軒先に、
鉢植えの白百合が咲いていた。
今が一番美しい満開の時。
試しに一枚シャッターを切る。

純白の白百合の花。
そこに、清らかさ、純情、純血を重ねて見る人は多い。
肉眼では、白一色の花弁。
光の当たり具合の差や微妙な色調の差など判別できない。
でも、フィルムの眼はそれを捉えていた。
軒先の光は、空の光を受け、均一で柔らかいフラットな光。
硬調な現像液で現像すると、
白の領域のトーンをコントラスト高く現像する。
それに加えて、Retro400Sフィルムはスーパーパンクロフィルム。
普通のパンクロフィルムに比べ、感光域は広く、赤外部にまで及ぶ。
肉眼では見えないものまで、見えているのだろう。
このトーンは、スーパーパンクロフィルムと硬調な現像液の組み合わせで、初めて達成できたと思っている。
フィルムだからできたと思うが、これは 小生の思い込み。
デジタル写真でも、レタッチソフトで加工すれば、こういうトーンを 作ることできるかも。
誰か、デジタルカメラで挑戦してみませんか?
すごい写真が撮れる突破口になるかもしれませんよ。
- 2021/05/29(土) 07:51:48|
- 黒い花 怪しい花
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カメラは精密機器、
半世紀以上前、基本的なことは、
すでに完成の域に達していた。
半世紀以上前の家電品や自動車を、日常で今も使っている人は希だろう。
でもフィルムカメラは違う。
性能・機能を保持したまま、今でも使用できる。
(20年前のデジカメを愛用している人、どれだけいるだろう??)
Nikon SPを未だ使用している。
(1964年か65年製造の後期SP シャッターはチタン幕、Nikon Fと同じものになっている。)
そのカメラにウクライナ・キエフ製のJupiter-9 85mm F:2のレンズをつけて使ってみた。
5月25日のブログに、KievⅡ(1951年製)にそのJupiter-9をつけて写真を撮っている。
同じ被写体を撮ってみた。

前回撮影の22日は曇天だったが、この日は晴れ。
花までの距離はレンジファインダーカメラで近づける限界近くの1.15m。
絞りをもっと開けたかったが、明るいのでf:5.6/1000秒が限界だった。

硬調な現像液で現像したので、トーンは25日のブログに載せた写真に似る。
レンズも同一なので当たり前だろう。
至近距離でもピントは合っている。
(ブログを検索すると、フランジバックが違う、レンズの繰り出し量が違う、回転角が違う、使わない方がいいという記事を発見する。一つでなく、複数あった。・・・同じ論調、自分で確かめたことではなく、根拠を示さない伝聞記事の拡散。ネットも便利だが、知性が麻痺してくるのでは? 一億総白痴・・・テレビが普及した頃、警告を鳴らした評論家がいたけど、今の状況見たら、どうコメントするだろう)
半世紀以上前のカメラやレンズで、写真を楽しむ人は、
もう、絶滅危惧種の類いかもしれない。
しかし、白黒フィルムに関しては、
ヨーロッパに残ったフィルム・メーカーからの供給はまだ続いている。
製造会社がなくなるか、小生が亡くなるか・・・の勝負。
おそらく、早いのは小生、
小生の写真生活は安泰、まだ続けることできる。
- 2021/05/28(金) 07:25:16|
- レンズの眼、カメラの眼
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5月のこの時期になると、龍が舞う。

一匹だけではない、
列をなして何匹も、

頭上を悠然と泳いでいくが、

慣れとは恐ろしい。
もう人はさほどの関心を示さなくなっている。
コロナ?
もう一年以上、ちゃんと自粛してきた。
マスクさえしていれば・・・問題ない。
人出は戻っていた。
- 2021/05/27(木) 08:15:15|
- ある場所、ある瞬間
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近くの公園 文庫の杜へいく。
曇天の雲からの光りが地上を照らしていた。
非常にフラットな光、明暗差は少ない。
公園へ行く途中、八ツ手を見つける。

フィルムは硬調な現像液で現像した。
被写体の微かな明暗差をコントラスト高く表現してくれるので、
全体のトーンは綺麗にまとまる。
軟調現像液だったら、眠いトーンになっただろう。

これで木漏れ日が幹に掛かったら、黒光りすると思う。

黒潰も、白飛びも感じない綺麗なトーンになった。

Jupiter-9は、戦前のツアイスゾナー 85mm F:2のクーロンレンズ。
東ドイツ側に残ったツアイスの技術者達が、キエフの地で、その製造法を伝授したもの。
レンズにはツアイスのコーティング技術も施されている。
日本光学はS型ニコン用に85mm F:2のレンズを製造しているが、
コピーではなく、ツアイスの設計法に従い(習い)、設計し製造したもの。
フィルター径がJupiter-9は49mm、ニコンは48mmの違いがあり、鏡胴の長さも異なっている。
しかし、レンズには互換性はあり、
KievⅡにNikkor 85mm F:2をつけても、
NikonSPにJupiter-9をつけても、
ピントは合い、使用できた。
どちらもゾナータイプのレンズ、画質は全く変らない。
両レンズで撮影したものを混ぜ、
どれがNikkorで、どれがJupiter-9か、
識別することは困難だった。
- 2021/05/25(火) 17:11:44|
- 散歩
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子供の日が近づくと、コンコースに鯉のぼりが泳ぐ。
すでに何回か撮っている。
また撮っても、たいしたものは撮れないなぁと、ちょっと気が引けたが、

月が出ていた。
35mmの広角レンズでは、小さな点になってしまう。

YA2フィルターを持ってきたことを思い出し、装着し撮影した。
空を暗く落とせば、月がくっきり浮かぶだろう。
フィルムはSuperPan200。
軟調の現像液を使かえば、足のある(黒潰を防いだ)ネガになる。
軟調な(Ⅵs)現像液で現像した。
それから2週間ほど過ぎ、Retro400Sの現像条件の再検討が、ほぼ終わり、
テストにとNikon FにRetro400Sを詰め、駅に来たら、まだ鯉のぼりが泳いでいた。

これもテストと、撮影してみた。
風はなく、鯉は泳がず、干もの状態。

曇天の柔らかい光線だったので、コントラストを上げようと、
中庸だがD-76よりは少し硬調に仕上がる(Ⅲi)現像液を使用した。
結果は、もう少しコントラストの高いネガができてもいいと思う。
再度、撮影に挑戦(テスト撮影)

現像は硬調な現像液(Ⅳz1)を使用した。
晴れた日だったので、もう少し白黒の対比がでて、ハーフトーンの少ない画像になるかと思ったが、
意外とノーマルなネガになった。
しかし、硬調な現像液、
暗い部分はスパッと潰れ、足のないネガになった。

これなら、特殊効果を狙って・・・というより、普通に使っても良い現像液だろう。
- 2021/05/23(日) 19:06:06|
- ある場所、ある瞬間
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フィルムを現像してみようと、
市販の現像液を購入し、
付属している能書きを読むだけでは、
その現像液の特性は、よく分からない。
なかにどんな成分が、どの程度入っているのか、
それがネガの現像結果にどんな効果をもたらしているのか、不明。
そこで、ネットで調べ、評判のよさそうな記事を参考にして現像液を選ぶ。
しかし、ネットの記事の多くは、その根拠を明らにしない。
聞きかじったことを膨らませ、
「講釈師、見てきたような嘘を言い」の類いの記事になってしまう。
本当だろうか?と一度疑ってみる必要があるだろう。
自分で調整すれば、各成分の効果がどのようなものか、
徐々にだが(データーの蓄積から)、はっきりと分かってくる。
戸越銀座から武蔵小山まで散歩したとき撮影したフィルムを
今回開発した硬調な現像液(Ⅳz1)で現像してみた。

戸越銀座商店街、第二京浜国道近くにアパホテルができた。
地下鉄戸越に近いし、
池上線の戸越銀座駅へでるにも、国道を渡って歩いて3分かからないだろう。
食堂も沢山あるので、選択肢は多い。立地はいいだろう。

硬調な現像液なので、黒潰れしやすい。(昔の写真家の指摘した「足がない」ネガができやすい)
それでも、空の雲に白飛びは感じないし、暗い部分のディテールも少し残っている。

一絞りか二絞り分露光を少なくし、中庸な現像液(例えばD-76など)で、少し押し気味に現像すれば、
白黒のコントラストの高い、硬調なネガを作ることができるだろうが、それでは黒潰してしまう。
室内を完全には黒潰させないよう、少し多めの露光を選んだ。
店の外(外観)は、白黒のコントラストは高く、
室内はかろうじて黒潰れを避け、
ぼんやりと分かる程度のネガを得た。

柔らかな光が支配的な影の部分では、硬調な現像液の本分が、遺憾なく発揮できる。
ちょっとした明暗差が強調されたネガになる。

空などの明るい部分を入れた構図だと、足のないネガになりやすい。
ドラム缶の部分、殆ど黒潰していた。

明暗差の大きな構図だが、
それでも、ここまでトーンを記録できている。
トーンカーブを調整し、明るい空の部分の調子を出した。

スラックスの暗い部分は黒潰しているが、あまり気にはならないだろう。
ISO:400の高感度フィルムだが、銀粒子のザラつきは、ほとんどない。
かなり最適化が進んできたと思う。(まだまだ・・・もっと良くなると思っている。)
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コダックのD76現像液とアグファのロジナール現像液は、
今でも(名前は変っても)多くの人が使っている。
ロジナールがいいとか、D-76がいいとか、
そんな体験談が、ブログに掲載されていたり、
Youtubeで紹介されたりしている。
被写体に当たる光線状態、
フィルムと現像液の組み合わせ、
それに現像液の使い方で、
ネガのトーンは変る。
それに対し、今手に入れ易い現像液は限られる。(大型量販店)
D-76(ID-11)、フジのミクロファイン、スーパー・プロドール、
コダックのXTOL、T-MAX現像液、
欧米で使われているロジナール(R09)は、日本で扱っている店は少ないようだ。
規則に従って遊ぶか、(市販品で遊ぶ)
規則を作って(発見して)遊ぶかなら、
小生は後者を選ぶ。
動機は単純、それが面白いから。
- 2021/05/21(金) 12:27:01|
- フィルムの眼
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緊急事態宣言がなかったら、
もう一度 Retro400Sフィルムの現像条件を検討しようとは思わなかった。
家にいる時間が増える。
懸案だったフィルム実験を再開し、
ベストな条件を見つけようとする。
おそらく36枚撮りフィルムで、6本分くらいテストに使ってしまった。
ようやく、本日実験は終了。
Retro400Sフィルムの性質を、少しは分かるようになった。
でも、これで終わりとはならないだろう。
まだまだ、このフィルムには、隠された能力はあると思う。
しばらく使ってみて、それからまた考えようと思う。
実際に撮ったフィルムを(Ⅲi)現像液で現像してみた。
ネガフィルムをスキャンしPCに取り込む。

現像液は、Fomapan100なら(Ⅲo)、
SuperPan200なら(Ⅲb)かフェニドン系のP(Ⅲd)を選ぶ。
Retro400Sでは、(Ⅲi)がベストだった。
(Ⅲ)系の現像液は、D76より少し硬調な現像液だと思う。
階調性(トーンの幅)は、SuperPan200と同程度で、Fomapan100よりは広い。
フィルムのベースが透明なポリエステル(Retro400S,SuperPan200)と、
少し色の付いた酢酸セルローズ(Fomapan100)の素材の違いが大きいと思う。

ISO:400の高感度フィルムなので、銀粒子が出やすい。
でも、階調性も高く使いやすいフィルム。
この現像液だと、足も有り(黒潰れを防ぎ)、白飽和もかなり防止できる。
3200dpiでフィルムを取り込んで、1250万画素程度の画像を得ている。
この辺りが35mmフィルムの限界だろう。
微粒子タイプの低感度フィルムなら、2000万画素くらいまでOKだと思うが、
そうなると、また、特別なスキルが必要になるかも。
高画素の写真が欲しかったら、
ブローニー(120)フィルムで写真を撮るほうが実際的だと思う。

等倍でこの程度の粒子が出る。
四つ切りにプリントする程度なら、粒子のざらつきは感じないと思う。
- 2021/05/19(水) 14:38:50|
- フィルムの眼
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小山八幡神社は品川区では一番標高が高い所にある。

眼下には、嘗て立会川が流れていた。
現在は暗渠になり、桜並木の続く道路になっている。

考えてみれば、立会川に沿って神社が点在する。
立会川河口に天祖神社が、下神明、上神明にも天祖神社が、
そして、立会川の上流域の小高い丘の上に小山八幡神社がある。

城南地区は、起伏が多い地区、広大な平地は乏しい。
水の流れる所に、人が集まり小さな集落を作る。
そして、鎮守の神社を建てたのだろう。
散歩にカメラを持ち出し10年ほど、
品川区内を歩き回っている。
すると、段々と見えなかったものが見えてくる。
雑然とし、気にしていなかったものに、
つながりが見えてくる。
何年この地に住んでいる?
今頃気づくかと・・・思えど、
面白いものだと思う。
- 2021/05/17(月) 10:26:30|
- 散歩
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緊急事態宣言が延長された。
この頃は、散歩に出ても、近くを徘徊するだけ。
用事があって外出しても、なるべく短時間で済ませ、帰宅する。
家の中に立て籠もっている時間が長くなった。
暇なので、フィルムの現像の見直しを行っている。
Fomapan100、SuperPan200のフィルムの見直し実験は終了。
今は Retro400Sの見直し実験を行っている。

新橋に用事があり、久しぶりに電車に乗る。
駅前近くにある港区の区民センター(バルーン)にて撮影。
時刻は午後4時ごろだった。
曇り空。
雲からの柔らかな光が届き、
影は出なかった。
SuperPan200は ISO:200で使用している。
f:8/125秒の露光を選んだ。
現像は軟調現像液(Ⅵs)を使用、現像時間を少なめに抑えた。

フィルムがなくなったので、Retro400Sフィルムに交換した。
雲の切れ目から弱い光が照らしていたので、
f:8/500秒の露光を選んだ。(ISO:400)
現像は軟調現像液(Ⅵsx)、Retro400S用に、少し配合を変えている。
現像は少し押し気味に行った。
トーンの調子は ほぼ同じに仕上がった。黒潰れを避け、白飛びもない。
同じ軟調現像液でも、最適化を図り、微調整だが、少し組成を変えている。
Fomapan100 は(Ⅵf)、SuperPan200は(Ⅵs)、Retro400Sは(Ⅵsx)となった。
次は、Retro80Sフィルムを試すつもり。
ワクチンを打って、コロナ対策ができるころまでは・・・家に籠り現像実験かなぁと思っている。
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広場に柵が設けられ、中に入れなくなっていた。
周りには駅前の飲み屋街が広がる。
飲み屋は、午後8時で閉店する。
行き場を失った数百人の人が集まり、路上飲み会が始まるらしい。
それを防止するため設けられたよううだ。
上に方針あれば、下に対策あり。
さてどうなりますか?
- 2021/05/14(金) 08:36:51|
- フィルムの眼
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1936年ツアイスは ContaxⅡ用に ビオゴン 35mm F:2.8というレンズを発売する。
当時一番明るい広角レンズであった。
その後 更に安い価格の オルソメター 35mm F:4.5、ヘラー 35mm F:3.5を発売するが、
ユーザーが求めるのはビオゴンだったという。
コンタックスを購入するの人は金持ちに限られていたので、
一番高いレンズが好まれたようだ。
中古市場を探すと、オルソメターの方がビオゴンより高い値が付いている。
ヘラーというレンズが紹介された記事を読むが、実物を、未だ見たことがない。
戦前のレンズなので、コーティング処理はされていない。(と思う。)
希少価値のレンズを持つことは、コレクターにはたまらない喜びだろうが、
その映りを楽しむなら、安く簡単に手に入る方がいい。
Jupiter-12は、ビオゴンを受け継いだウクライナ製レンズ。
1980年頃まで作られていたと思う。(今も?作っている)
レンズにはコーティングが施されている。
2000年頃、1万円程度で手に入れることができた。
いまでも それほど価格は変らないと思う。

コンタックスⅠ、Ⅱのレンズは S型ニコンカメラと互換性がある。
Jupiter-12は、そのままニコンSPにつけて使うことができる。
ただし、マウントのちょっとした工作精度の問題か、
硬くて装着できないものもあるので、
購入するときは手持ちのS型ニコンを持っていき、テストした方がいいだろう。
Nikkorの35mmレンズ、F値により3種類ほどあるが、
いずれも中古市場で3万円以上で販売されていることが多い。
画質の良さと、値段を考えたら、Jupiter-12だろう。

逆光では、絞り羽の五角形のゴーストが出やすいが、
映りは現代のレンズと遜色ないと思う。
- 2021/05/11(火) 11:09:18|
- レンズの眼、カメラの眼
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アンセル・アダムスの言葉だったと思う。
カメラを操作し、構図を決め。
光を確かめ、絞り、シャッター速度を調整する。
そしてシャッターを切る。
露光したフィルムは、暗室で現像しネガを得る。
ネガは作譜のようなもの。
それでは、まだ作品にはなっていない。
ネガを、再び暗室で印画紙に当て、現像し陽画(ポジ)像を作る。
それで写真は完成する。
デジタルの時代になり、
ネガをスキャンしデジタル変換する装置が、
アマチュアでも購入できる金額になった。
感覚的には、暗室で行ってきた引き伸ばし作業を、
明るい部屋で、椅子に座り、
PCの前で結果を見ながら行うことができるようなる。
暗室で引き伸ばし作業をしている時、
印画紙の号数を変えたり、覆い焼きや、焼き込みをして、写真の調子を整えたが、
レッタッチソフトを使えば、それに近い作業も行えるようになる。
技術の進歩が、うれしいことに、フィルムで撮る写真の選択肢を広げてくれた。


ネガをスキャンしデジタル化するのにエプソンのF-3200を使用している。
もう10年近く使っている。
電子部品で作られた機器、壊れたら、修理は不能だろう。
動く限り、使い続けるつもり。
この機器のおかげで、
現像したネガを数値化し、
エクセルで計算処理すると、
現像液成分の効果をグラフ化できるようになる。
見えないものが、見えるようになってきた。
この機器がなかったら、現像液の最適化はできなかったと思う。

SuperPan200フィルム、YA2フィルターで空を落とし、登ってきた月を画面に入れた。
ネガを等倍まで引き延ばすと、月の兎の文様を、しっかりと捉えていた。
Jupiter-12、35mm広角レンズが優秀なのか、
SuperPan200フィルムがいいのか、
それとも現像液の選定が良かったのか・・・
小生(人)がすべきは、単にその条件を整えるだけ。
あとは、すべて、カメラ、フィルム、現像液任せ。
- 2021/05/09(日) 12:03:19|
- フィルムの眼
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散歩コースの一つ、勝島運河へ行った。

幾度となく撮影している場所。

見慣れた光景だが、
YA2(オレンジ)フィルター効果なのだろうか?
撮ってみると、少しシュール感がでる。
Fomapan100フィルムの表現力、なかなか豊かだと思う。
- 2021/05/07(金) 17:04:01|
- 勝島運河
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レンズに使う硝子の屈折率と、
レンズ表面に当たる光の角度が分かれば、
光がどう進むかは計算できる。
原理は簡単だが、2枚、3枚とレンズが増えると、
途端に計算量が増え、(手計算では)難しくなる。
周辺まで鮮明なレンズを作るため、様々な試行錯誤が行われてきた。
19世紀末、3群構成のレンズ(トリプレット)が考案される。
その中で有名なのがテッサータイプのレンズ。(三群、4枚)
小型カメラ用に応用したが,50mmレンズではF:2.8辺りが限界。
明るいレンズは無理だった。
そこでContaxⅠ用に開発されたのが、50mm F:1.5ゾナーレンズ。(3群、7枚)
3枚の硝子を貼り合わせるなど、高度なマイスターの手作業が必要で、大変高価なレンズだった。
1932年に最初のゾナー 50mm F:1.5が製造された(という)。
最小絞りはF:8だったという。(実物を見たことはない)
その後、最小絞りF:11のレンズ,F:22のレンズへと改良されていく。
大戦後、東西に分割され、東ドイツ側に残った工場では、戦前のF:22のレンズが、
西ドイツ側へ逃れたツアイス本体は、オプトンの地で、F:16のレンズを製造する。
戦前 ツアイスの本体は東側のイエナにあった。
ソビエトに占領された後、イエナにあったContaxの工場は、ソ連邦のキエフに移築される。
そこで、コンタックスのカメラとレンズは製造されていく。
ソ連共産主義は、計画経済の国、
ツアイスの技術は正確に移築できたが・・・その後の改良発展は、あまり図れなかった。
明るいゾナーレンズ、キエフ製だが、戦前のゾナーそのもの。
F:15のレンズにはJupiter-3の名が、F:2のレンズにはJupiter-8の名がつけられている。

1956年製、薄い赤紫のコーティングが施されている。
f:1.5の開放絞りで撮影した。
ピントの合ったところが ふぁっと浮き出るようにでている。

レンジファインダーカメラのほぼ最短、クローズアップで撮影。
ピントのあった所の鮮鋭度は高い。
すこし外れても像の崩れはあまり感じさせない。
いいレンズだと思う。
使っているフィルムFomapan100もまた旧ソ連邦に属したチェコで作られている。
フォマ社ができたのは1921年だという。
同じソ連邦に属したレンズとフィルム・・・歴史の面白さを感じる。
ところで「プラハの春」の終わりを撮影してしまったクーデルカも、
このフィルムを使用したのだろうか?
- 2021/05/05(水) 11:17:48|
- レンズの眼、カメラの眼
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祖父は戦前、趣味で写真を撮っていた。
母の兄は、田舎の街で写真館を経営していた。
母も結婚するまで、その写真館を手伝ったという。
残念ながら、叔父は招集され、南方で戦死した。
祖父も、父も、母も、カメラを構えるとき、
絞りとシャッターを黙って合わせ(セットし)、
なにごともなかったようにファインダーを覗き、
シャッターを切っていた。
小学生の頃から、
カメラをいじるようになったが、
見よう見まね、
露光も、祖父や父、母の仕方を、盗み見して覚えた。
祖父はアサヒカメラを定期購読していたが、そのうちの数冊が奇跡的に残っていた。

目次の見開きに、露出表が載っている。
こんなのを参考に、絞りとシャッターを決めていたのだろう。
露光を間違えると、何も写っていないネガや、真っ黒なネガを作ってしまう。
それなりの失敗を覚悟し、
写真を撮るためには、
習熟する時間が必要だった。
ハードルは高かった。
それから約10年後、
アサヒペンタックスに代表される露光計内蔵のカメラが発売されると、
爆発的な人気となる。
露光のくびきから解放。
誰もが、そのカメラを首から提げた瞬間、「カメラマン」と宣言できた。
今、思っても 1960年中頃から1970年中頃(1965-1975)が、
日本の写真の、最も暑い時代だったと思う。
新しい写真家が排出し、今までと違った写真表現を発表する。
カメラの自動露光(追尾式も含め)が、写真の門戸を開け、
新人を呼び、新しい表現が出てくる。
そして2000年に入ると、
デジタル技術を取り込んで、
カメラはデジタルカメラになった。
これは革命的、
フィルム時代の自動露光革命を越えている。
誰もが、写真家と宣言できる時代になった。
新人カメラマンは排出しているのだろうが、
新しいデジタル表現の兆しを感じない。
小生が歳をとりすぎ、感覚が麻痺したせい?
新しい感性に気づかないだけなのだろうか?
再び、1965-1975年のような熱気が 再現されること・・・願っている。
そんなことを考えながら、
カメラをぶら下げ、散歩している。





勿論、露光を決めるのは、この自分。
KievⅡはオールドカメラ、露光計は内蔵されていない。
- 2021/05/03(月) 10:15:26|
- 散歩
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いつもの散歩、
いつもの見慣れた光景、
そのまま通り過ぎるところだった。
でも、ちょっと気きになり、
見ていると異形に思えた。

春になり、東京では例年より早く開花宣言がでていた。
まだ、芽吹いていない。
異様な姿だと思った。
約3週間後、再び同じ樹の下にいた。

桜の花は散り、本格的な春になる。
芽吹いた葉が、枝を覆い始める。
ポプラ?の樹だったのだろうか?
葉をつけても、異様さはまだ残っている。
- 2021/05/01(土) 09:48:10|
- ある場所、ある瞬間
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