Retor400Sフィルムのテスト撮影をしている。
撮影場所は 林試の森、散歩コースの一つ。

窪地にラクウショウの林がある。時刻は3時過ぎ、太陽の光が弱く林の中に差し込んでいたが、それでも暗い。
ピントは手前のラクウショウの幹に合わせている。
もう少し絞りたかったが、シャッター速度に余裕がない。手持ちの限界で撮影。
同じような構図の写真を 一週間ほど前 Tri-Xフィルムで撮影したことを思い出し、比較してみた。

一週間ほど前は、窪地を登り明るくなった林の中で撮影している。時刻も2時を過ぎた頃だろう。
ピントは手前の樹に合わせた。35mmの広角レンズでf:11まで絞っているので、ほぼパンフォーカスになっている。
二つの写真を見比べると、Tri-Xで撮影したほうが、目に優しい。このほうが好み。
画面全体から受ける印象も、しっとりとして・・・Tri-Xのほうが階調性も良いのでは?などと思ってしまう。
なぜ?だろう。画面の一部を拡大し比較してみる。
原寸大 約1400万画素の画像。

Tri-Xに使ったレンズは、コシナの製造したSC-Skopar 35mmのレンズ。
当然マルチコーティング処理がなされていて、ゴーストやハレーションはよく抑えられている。解像度も高い、優秀なレンズ。
一方 Retro400Sで使用したレンズは 戦前のオールドレンズ。
ライカのSummar 50mm F:2レンズで、ノンコートレンズ。逆光にはゴースト、ハレーションが起きやすい。よく光を見極め、ゴーストが入らないよう注意してフレーミングする。
拡大し比較したが、解像度で劣るという感じはしない。
違いはフィルムだろう。
Retro400Sのフィルムのほうが、コントラストが高い。トーンがしっかりと立っている。
階調性はいいはずなのに・・・・そう思い、ネガフィルムを探し、2つのコマを スキャナーで呼び込んでみた。

Tri-Xのフィルムのベースは、伝統的な酢酸セルローズで、被り防止のためか薄い色がついている。一方、Retro400Sフィルムはポリエス、現像するとフィルムに塗られた色は落ち、無色透明となる。
銀塩の濃度範囲もTri-Xに比べ広く、光に対するダイナミックレンジは大きい。
微妙な光の変化も、より詳しく記録できているはずだ・・・・データー上はそうなるが、
作品としてみると、同じかややTri-Xに軍配はあがる。
結局 美しいものが見たいのだと思う。
現実を直視した説教より、夢を語るほうに心はなびく。
光を、より正確に、より広く記録するより、トーンを整理し眼に優しくするほうが 好ましい。
写真は引き算、無駄なものを画面に入れてはいけない、トーンもそうなのだろう。
デジタルなら、トーンの調整は カメラ内のプログラムで行うことができる。
人間の好みに合わせたプログラムを開発する、そこがメーカーの腕の見せどころ。
そこにブランドイメージが乗っかれば・・・・商品の差別化は完成する。
このごろ ライカ・モノクロームのカメラが 気になっている。
あのような 調子のモノトーン写真 撮ってみたいと 思っている。
結局は、
どうであれ、
美しく騙されたい・・・ということか・・・・
それもありかなぁ~~
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- 2015/10/31(土) 12:16:37|
- 写真の技法
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階調性をなるべく広く・豊かに・・・と 現像液を検討しているが・・・時流から外れていくような気もしている。
美しいものが見たいのだょ・・・と言われると、検討の方向性が間違っているのでは?と疑心暗鬼になる。
「階調性の高いネガを作る」、言葉上は響きがいいが、作品を作る上ではどうだろうか?
実際 階調性が増す方向で現像したネガは、暗部にも銀塩の画像が淡く残る。
それを注意深くトーンカーブを調整し、浮き出させると、薄汚れた写真になってしまう。平坦な眠い画像になりやすい。

陽の当たった壁と、陰になった壁。わざと明暗差のあるところを撮影していた。(テストです)
壁の光は単なる順光の光ではない、照返しの光、かなり明るい。陰の部分とは4絞りほどの明暗差があるだろう。
現像してできたネガを見ると、明るいところでも銀塩濃度は飽和していない。
陰の部分には 薄く銀塩の画像は残っている。
現像の処方を検討しているが、その点では成功している。
トーンカーブを調整し、陰の部分を潰さないように調整した。しかし、これ、綺麗な写真と評価できるだろうか?
むしろ、暗くつぶしたほうが、すっきりとした写真にならないだろうか?

今までの習わしか、部屋の中を潰せない。暗部にも、何か写っていないとおかしいと思っていた。その自信が揺らいでいる。
後姿の女性のスカート・・・黒くつぶしても違和感がない・・・というより、そのほうが見栄えする写真になるだろう。
細部までガチャガチャ出てくるのは目障り、写真は引き算、すっきり 簡単にしたほうが眼に優しいのだろう。
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この頃、ネットで、ライカ・モノクロームの美しいモノトーン写真をみるようになった。
階調が豊かどうかは不明だが、暗部はすっきりと潰れていて気持ちいい。
あんな写真撮れないものか?と考えている。

フィルムだと せいぜい こんな具合。
デジタル・カメラなら・・トーンを省略し、綺麗なモノトーン写真にまとめてくれるだろう。

このごろはデジタルを意識して、フィルムでもデジタル風に撮れないものか・・・と夢想している。
- 2015/10/30(金) 18:16:14|
- 都会の景観 Tokyo
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この頃 雲を撮ることがある。
アルフレッド・スティーグリッツの 「Equivalent」ほど人生を達観しているわけではない。
ただ、Retro400Sフィルムのテスト撮影に、雲を選んだだけ、深い意味など、少しもありません。

東京には空がないとはいえ・・・秋になれば空の深さを感じます。
秋の空は高い!

次の日 戸越の里の秋の空に、夏の雲が乱入する。
季節はめぐるが、それに追いつけない自分がいる。
夏を惜しみ、秋の到来を感じる・・・などと言ったら、馬鹿にされそう。
感覚が 何に関しても鈍くなっています。
そして、ボケついでに、古いライカのレンズを使っていました。
1933年製なので 御年82歳、しかし、まだまだ現役のバリバリ、小生よりしっかりしています。

季節感の乏しい都会の空にも、秋がしっかりと居座り、やがて、もうすぐ冬空になる。
一日は長くとも、一年はあっという間に通り過ぎていく。
- 2015/10/29(木) 21:08:22|
- 都会の景観 Tokyo
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来る10月30日(金)より一週間、参加するPhoto彩游の第5回写真展が 銀座フレームマンで行われます。
お近くを通り過ぎることがありましたら、お時間つぶしに、どうぞお立ち寄りください。

小生の作品は 次の2点。それぞれ A3のサイズに伸ばしました。

阿波踊りの作品を出品する予定でしたが、肖像権を持つ被写体の意向は無視できません。
小説のネタになりそうな人生を送ってきたひと。
自分の人生を重ね、「屈伸」という言葉を使いたいと言いますが、「屈」と「伸」だけでは 意多くして、言葉足らず、
意をイメージできるよう この題にしました。
若く見えますが・・・・・年齢不詳とした方がいいでしょう。
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Tri-Xフィルムが高くなりすぎたので、他社のフィルムに切り替えています。
撮影データ
作品1 Nikon F Auto Nikkor 50mm F:1.4 Rollei Retro80S f:5.6/60秒 ストロボ発光
作品2 Nikon F Cosina-zoom 28-80mm Rollei Retro400S 60mm f:8/60秒 ストロボ発光
撮影場所 高円寺
撮影場所は、阿波踊りの練習で使っている公的機関の集会所 撮影スタジオのような照明設備は一切ない。
古いグリップタイプのカコ・ストロボを持ち込み、使用しました。(この撮影が、カコストロボの最後の仕事になりました。終了後、ダウン)
- 2015/10/27(火) 11:33:20|
- Photo彩遊
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Retro400Sは、赤外部 800nmの光まで感光するフィルムなので、疑似的に赤外線フィルムとして使うことも可能。
その効果を確かめるため、UVフィルターとR72フィルター(720nm以下の光をカット)を使い 試し撮りをしてみた。

撮影時刻は午後の3時ごろ、順光(太陽を背にして)で撮影。秋の陽ざしは弱い。空を考えればf:11/500秒が順当だろうが、それでは樹の葉が暗く沈むと思い、一絞り開けて撮影。

R72フィルターに付け替えて、それより+3絞り開けて(実際にはシャッター速度を3段階遅くし)撮影した。
よく見れば 赤外線フィルムの効果は出ているが、「R72フィルターを使いました。」と言わなければ、YGフィルタ-を使って撮ったのかなぁ・・・と見誤るでしょう。
また、UVで撮ったとなると、樹は黄色く紅葉していて、それをやや露光不足気味の露光で撮影していると判断するでしょう。
しかし、樹はまだ紅葉していません。

樹を見上げるように撮影。空の部分を少なくしフレーミング。幹の一部に陽が差していたが、葉の部分を暗く落としたくなかったので、敢えて二絞り分 オーバーでシャッターを切っている。

R72フィルターに替え 更に+2絞り分シャッター速度を遅くして撮影。このほうが、小生の狙ったイメージに近い。

夕方の弱い(優しい)空の光が届いていた。

R72フィルターに替え +4絞り分シャッター速度を遅くして撮影。赤外線効果は、ほとんど感じられない。右にある草の茎と葉が、白く浮き出ているのがR72の効果だろう。
白黒のメリハリはUVで撮影したほうがある。大きく拡大すると、解像度も悪くなっている。波長は長くなるほど、分解能が低下するのは、当たり前のこと。その点で不利だが、逆手にとって、人物撮影に利用したら・・・肌は白く写り、しわも消えるかも。
踊りの練習を撮影をする機会があったら、試してみたいものだなぁ。(この頃は、お呼びがない。 演劇に凝っているようです。)
- 2015/10/26(月) 12:18:20|
- 写真の技法
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Tri-Xフィルムを長く使っていたため、現像液もTri-Xがベストで使えるよう改良が進み、特別な希釈現像液処方になっている。
Kentmere400 Formapan400でも、現像時間を多少調整すれば、使えた。
しかし、Retro400Sフィルムだと、現像時間がかかり過ぎ、もっと迅速に現像が終了するよう、組成の変更が必要だろう。
かといって、ハイドロキノンを加えての迅速化は考えていない。
Retro400Sに対し、ハイドロキノンの添加は、階調性が悪くなる傾向にあった。
メーカーはD76での現像を勧めている。
明らかに、他のフィルムと現像の特性が異なっているのだが・・・どうしたことか?

A現像液(希釈現像)と、D76現像液 20倍薄めの希釈現像液の比較を行ってみた。
明らかにAの希釈現像のほうが、現像速度は遅い。
それにも関わらず、最低銀塩濃度は、D76現像液のほうが高く、Rangeも狭くなっている。ハイドロキノンの添加は現像速度を上げても、被りが多くなる傾向にある。
ハイドロキノンは使えないなぁ・・・・
Retro400Sフィルムの特性なのだろう。
確かに、個性的なフィルム。使いこなすには、かなり手こずりそうだが、できたら 面白いとおもう、何かがある。
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希釈現像の良いところは、「現像むら」を あまり気にしなくて済むところにある。
10分程度の現像時間だと、現像中の攪拌、現像タンクの構造により、「むら」を作ることがある。
しかし、希釈し現像時間を伸ばすと、むらは減少し、攪拌の影響や、現像タンクの形状による差は目立たなくなる。
アマチュアで、時たま現像するだけの人間にとって、管理が簡単なのは、大きなメリット。
Retro400Sフィルムでも試してみたが、攪拌の影響はほとんど感じない・・・誤差範囲だろう。(攪拌したほうがいいようだが・・・)
Up濃度、Rangeとも ほぼ同じであった。
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明暗差のある被写体をRetro400Sフィルムで撮影してみた。

夕方の公園。太陽は雲に覆われていた。光は雲からの明かり。
f:8/500秒が適正露光かも・・・しかし、Retro400Sの階調性(ダイナミックレンジ)を信じ、黒い土のディテールを出そうと、一絞り多めのf:8/250秒で撮影した。
実は、一週間ほど前、同じ場所で Tri-Xフィルムを使い撮影していた。そのことを思い出し、比較に撮ったもの。

夕日が斜めに入り明るい。地面の黒さ、そのディテールを出したくて、f:8/500秒で撮ろうと思ったが、ビニールシートの輝きを主に考えるべきと変更、f:11/500秒の露光を選んだ。黒い土に対しては露光不足だが、土の質感も出たので、これで良いと思う。Tri-X 確かに使いやすい 良いフィルムです。
Retro400Sフィルムでも、Tri-Xと同じように撮影できたので、まずは一安心。
- 2015/10/25(日) 14:57:56|
- 写真の技法
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1960年代 希釈現像法が話題になり、時々カメラ雑誌に紹介記事が載っていた。
二液現像法も 紹介されていたが、この方法は戦前のアルス写真全集でも取り上げられた方法で、特段 目新しいと思わなかった。
小生の現像法は、最初二液現像法でスタートしたが、徐々に希釈現像へ変わってきている。
二液法も時々併用するが、本来の二液法と異なり、最初はM系(メトール単味)の希釈現像でほぼ画像を出し、二液目はMQ系(メトール/ハイドロキノン:D76系)の希釈現像で 画像を整える(γを上げる)ようにしている。
いまは、ほとんど一液の希釈現像法を使用、時々 二液法を使う。

ネガに写ったコダックのグレースケールの濃度を測っている。一番濃度の高いところ(Up濃度)の推移をグラフ化した。「写真化学」(著者:菊池真一教授) Page63に記載されている写真現像の評価法に近い。6章、現像速度の表わし方に記載されたグラフに似たものになった。(当たり前だけど)
赤いマークは メトール単味(Met)の軟調現像液、0.01%、0.05%、0.1%の三水準で実験した。処方が公開されている現像組成では、メトール濃度は0.2%~0.5%濃度だから、0.05%は4倍~10倍希釈現像になる。
希釈現像でいいのは、Up濃度が頭打ちになること。現像時間もかかるので、かなりいい加減な現像でも、調子の整ったネガを得ることができる。(実は、現像むらも防止できる。)
今使用しているA現像液には 被り防止剤(主にKBr)を入れている。
Tri-XやKentmere400、FormaPan400では、若干の現像時間のずれはあるものの、メトール単味現像液で0.05%~0.1%に相当する現像速度はでた。 しかし、Retro400Sのフィルムでは、極端に現像速度が遅くなってしまった。
そこでA現像液にメトールを加え実験してみた。
これらのデータからすると、メトール濃度を0.1%程度増やし、現像の温度を25℃~28℃にあげることになりそうだ。

10月20日 長巻フィルムを切り、12枚分をマガジンに詰め、白金の自然教育園へ行き、テスト撮影をしてみた。
メトールにハイドロキノンを混ぜると、階調性は悪くなります。現像カーブは急峻になり、白と黒の対比は強調され、すっきりとした画像を得ることができます。
一方、階調性が高い(Rangeの広い)ネガは、時とすると眠い画像になり、見栄えがあまりよくない。
写す対象(光の具合)により得手、不得手があります。
空の調子を出そうとすると、影の部分に残った、微かな銀塩により、真っ黒にはなりません。陰の部分を暗くつぶすと、空の調子がおかしくなる。 すっきりとさせるためには、階調性を減らしたほうがいいでしょう。この場合ならD76現像して暗い部分を潰すのが正解です。

しかし、テストのためR72フィルターを持参したので、同じ場所で R72フィルターをつけて撮影、比較しました。赤外線写真になるので5絞分開けて撮影したが、結果は、1絞から2絞り露光オーバーでした。(テスト用に、短く切ったマガジンを2本持参)
そこで現像時間を7割に短縮して現像調整、Range[37-193]で現像することができました。これが大正解なのでしょう。
Tri-X、Kentmere400,Formapan400などは、パンクロフィルムなので、あまりフィルターを付けて撮影したことありませんが、スーパーパンクロを標榜するRetro400Sフィルムでは、フィルターの使い方がコツになるかもしれません。
R72フィルター(720nm以下の光をカット)することで、コントラストは上がっています。暗い部分のディテールも潰れていません。
勿論 赤外線写真なので、ピントの調整はしています。一眼レフではR72フィルターをつけると、ファインダーを覗いても暗くてよくわからない。
赤外線写真は、レンジファインダー向きです。

明暗差の大きなところで、テスト撮影。普段なら絶対カメラを向けないフレーミングです。空を主体にしたらf:8/500秒、林の葉を主体にしたらf:4/500秒~f:5.6/125秒、陰を走る子供に注目したらf:1.4/60秒あたりが適正露光と判断しました。(これは小生の経験値、勘です)
f:5.6/60秒を選びシャッターを切り、現像を押して増感現像してみました。Range[60-235] ネガの被りは出ましたが、どうにか白飽和していません。暗部のディテールも少しは出たと思います。なかなか使いでのあるフィルムだと思います。

最後のショットは、水面からの陽の光と枯れたワレモコウに注目しフレーミングしました。陽の光が枯れた花に当たり、ほぼ隠れる位置に立ち、レンズの最短距離(約60cm)まで近づいて撮影したもの。一眼レフでないとできない芸当です。ファインダーで見たワレモコウの枯れた花は白一色で、ピントを掴むことできませんでした。マット面を使い、葉にピントを合わせています。露光は池の明るさを基に(これも経験上の勘で)、f:2.8/1000秒を選択しました。(セコニックの露光計を持っていますが、散歩には持って出ません。重いので・・・)
白飽和せず、柔らかな階調で、秋のワレモコウを捉えることができたと思います。
![test枯れたワレモコウ1[40-246]-Trimming](http://blog-imgs-84.fc2.com/a/l/c/alchemystsasaki/20151023162036a5b.jpg)
トリミングしてみました。85mm~100mm程度の望遠レンズで狙うべき構図でしょう。
- 2015/10/23(金) 10:18:39|
- 写真の技法
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自分でフィルムの現像をしている人は少ないでしょう。
メトール、ハイドロキノン、フェニドン、亜硫酸ソーダ、ホウ砂、炭酸ソーダ、ブロムカリ・・・・
それらを調合し、現像液を作って使用していますが、
薬品(試薬)を購入していた神田の守随彦太郎商店が、店をたたんでしまった・・・
途方に暮れています。
ヨドバシ・カメラへ行ってみても、現像液を調整する薬剤の棚は、段々と寂しくなってきています。
が、まだ、大丈夫。
Retro400Sのフィルム現像条件を掴むため現像実験をしています。
結果を纏めグラフ化してみました。
備忘録として載せておきます。
化学の教育を受けた人なら、そのグラフから、色々と情報を読み取れるでしょう。(小生が、何を考えているかも・・・含めて)
興味のない人には、退屈なデータです。

実験のため、フィルムフォルダーを作りました。ISO:400で撮影したフィルムを暗室(ダークバック)で8cmの長さに切り、フォルダーに装填、最大6片のフィルムを現像できます。現像温度一定の元、暗室で一定時間ごとに取り出し、停止、定着、水洗し、ネガを作ります。

乾燥しネガは エプソンのフィルムスキャナー F-3200で 画像を取り込みます。
コダックのグレースケールが写っている範囲の濃度を取り出し、測定します。
今、指標にしているのは、一番銀塩が濃い部分の値と Rangeの値です。
レンジ(Range)の値が大きいほど、階調性は高いフィルムと判断していますが・・・・
階調性が高いからいい写真になるというわけでもありませんが、まずは、高くできる現像液組成の開発を優先させています。

赤い線は、D76現像液濃度を変化させて(ただし、亜硫酸濃度は一定)得たデータ。濃度に対し0.5~0.6次反応で現像は進行しています。さて、どんな反応機構を仮定したらいいでしょう?
仮定したら、それを確かめる実験を考える。
こうに違いないと確信しては駄目。
「確信は嘘より危険な真理の敵」
実験を工夫し、仮定が正しいか確かめる・・・予期せぬ結果(ネガティブデータ)なら、それを元に、再び、機構を仮定する・・・サイエンスとは、デーモンが闊歩する暗闇を、理性の松明を掲げ一歩一歩すすむようなもの。サイエンスは、デモクラシーの娘です。

アレニウススポットをしてみました。反応次数と活性化エネルギーが判明すれば、任意の濃度に薄めた現像液でも、温度と現像時間の関係を計算で推算することはできます。
ここからは、品質の向上を目指すべき。

ハイドロキノンの影響を調べています。
実験は続いています。
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現像の実用書は 沢山出ているようですが・・・ 反応機構を含めた批判に耐える書物となると菊池真一教授が著した「写真化学」(共立全書)になる。出版は初版が昭和27年5月20日。それから 大した進歩もないようだ。
実用書、現像指南書を読むと、首をかしげたくなるような記述もある。
参考にした文献をインデックスに付けるか、エビデンスをハッキリと示してくれればいいのに・・・・と思ってしまう。
「言ったが勝ち、嘘も百回唱えれば真実になる」というわけでもないだろう。
薀蓄を語りたいのだろうが、これ、この人の憶測か伝聞だろう・・・・・本当か?と思わず眉につば。
当時と今では、分析の方法と精度はけた違いによくなっている。表面分析は各段に進歩。液中の成分分析も簡単になっている。
品質向上のためのデーターを、フジフィルム、コダック、アグファ、コニカなど、フィルムを作っていた(いる)会社は蓄積している。
現像のメカニズム・反応機構の解明はかなり進んでいると思う。
ノウハウとせず、公開してほしいものだと思う。
- 2015/10/22(木) 11:00:09|
- 写真の技法
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メールが入ってきた。
親しくしている元中国人からであった。
結婚し、日本に帰化しているので、単に友人と呼んだほうがいいだろう。
しかし、異国の地、親しい人は少ない。
性格的にも、日本人の感性とやや合わない部分があり、長続きする人間関係を構築することができないようだ。
一方、国外には沢山の親戚がいる。
「姉が来ているので、会ってほしい」とのこと。
言っている意味は簡単、「来日したので、その記念写真を撮って欲しい」と言うことだろう。
文面を読むと、もうすぐ帰国するとのことであった。
小生、暇人です、翌日、デジタルカメラを持って出かけていた。
テレビでは、中国の国慶節、「爆買ツアー」の話題で盛り上がっているが、
その日本は 「ハロウィーン」 の祭りで盛り上がっている。
ハロウィーンの服装か、コスプレか、香港の「姉」さん、その姿を見て テンションは、舞い上がってしまった。

コスプレなら 原宿や秋葉原だろうとおもうが、後楽園もそのスポットに入ったのだろうか?
「ハロウィーン」の季節なので、場所は選ばないのかも・・・
「かぶく」のは 日本人の特性、昔からの伝統だと思う。
四百年以上前、ポルトガルから来た宣教師の作ったポルトガル辞書に既に記載されているとのこと。
伊達政宗も「カブイタヒト」だったのだろう。
気の優しい人ばかり。撮っていいですか?と尋ねると…どうぞ、どうぞと 快諾してくれる。

それ以上 のりのり なのは「姉」さん。
年齢は50代半ば、日本の女性で、ここまで積極的なポーズをすぐとる人、知りません。
少なくとも 小生の周りにはいない。


コスプレの人を食うほど、ポーズを決めています。
翌日 爆買した荷物をタクシーに乗せ、羽田空港より無事帰国されたそうです。
撮った写真、さてどう渡したらいいのだろう?
E-mailに添付して送るには、少し大きすぎる。
DVDに焼くか、プリントして郵送するか・・・・ですね。
- 2015/10/17(土) 12:35:23|
- 人物 ポートレート 踊り
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「水」を撮りたくて上野の不忍池へ出向き、撮影したもの。
相変わらず、E16mm f:2.8のレンズ 一本で撮っています。

何枚か撮ったが、いずれも似たような構図になってしまいました。
蓮池は難しい。
蓮の花が咲くころ、高価なデジカメを抱えた人を多く見かけましたが、
今は、本格派の方は減り、スマホかコンデジで撮っている人ばかりになってしまいました。
季節は足早に通り過ぎていく。

黄ばんだ蓮の葉に、華やかさはありません。
夏場、高価なデジカメを抱え、蓮池を右往左往していた人たちはいずこ?
諸行無常の響きあり・・・と捉えるべきか、
花をのみ 待つらん人に・・・・と、秋の里へ繰り出したか?
-------------------------------
小生は 連休中も 取り残されて、戸越の里の 侘び住まい?
そんなことありません。わび・さびを感じるセンスもなし。
Retro400Sフィルムの現像実験をしていたので一週間外に出ていない。
ようやく 反応速度解析を終了。(外堀を埋めた段階/ここまでは工学:決まったことをやっただけ、テクノロジーの世界です)
これからの実験が、本番 サイエンスの世界に足を入れる。
メカニズムを仮定し、いいアイデアが思いついたら、実験で確かめる。
Try&Errorその繰り返しで、本質に近づいていく。
約30年前の会社の研究室時代を思い出しています。
時間と手間はかかるが、追及することがある幸せ。
学問とは、こういうことでしょう。
- 2015/10/12(月) 22:29:44|
- 水辺の光景
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「キャー」という 叫び声が聞こえた。
何があったと近づくと 妻が指さす先に・・・
得体のしれないものがあった。
「窓の外で鴉がバタバタしていたのでなんだろうと 窓を開けたら」
普段は開けたことない小さな窓である。
干涸びたヤモリらしい。
鴉がくわえて持ってきたのか?
鴉の悪ふざけ・・・・
どうもよくわからない。

家にヤモリが住み着いていることは知っている。
取ってはいけないと、母から言われていた。小さな害虫を取ってくれると 信じているようだ。
1年か2年に一度、姿を見かける。北側の窓の戸袋近くで見ることが多い。
2年ほど前、空調が動かなくなり、業者に修理を頼んだら、業者は、今回と同じような干涸びたヤモリを見せ、「室外機の基盤にこんなものがありました。」という。
それを取り除いたら、空調機は正常に動くようになった。

一年ほど前、台所の壁にヤモリを見たので、次の世代へと ヤモリの家系もつながっているのだろう。
グロテスクだが、生きているときのヤモリの顔/眼、なかなか可愛らしいと思えるようになっている。
ヤモリ家とは長い付き合いだ。
ご冥福を祈り、遺体は、そっと万年青の鉢植えに埋葬した。
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Retro400Sのフィルムの現像テスト中、もう少しかかりそう。
しばらく 散歩にフィルムカメラを持ち出せないでいる。
- 2015/10/10(土) 10:57:35|
- ???
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大崎の最後の(と思われる)再開発地帯を歩いていた。
ここには以前、国際自動車の教習所があった。

右の大きな建物は、第一三共の研究開発拠点。左に新幹線が走っているのが見える。

工事現場を撮影しても、ありきたりの写真にしかならないが、何十年後かには、歴史的・民族学的資料になるのでは・・・と思い、フィルムの許す限り、撮ることにしている。

計画によれば、この道路もいづれ封鎖され、再開発のビルの下に入るようだ。

その時 このガード下の道は、どこへつながっていくのか・・・想像すると面白い。
- 2015/10/07(水) 22:09:34|
- 散歩
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面白いと思って撮って、あとでがっかりする。そんな写真もあれば、
どうしてこんなところを狙うのか?と訝しげな目で見られても、意外に面白い写真が撮れる場合もある。
如何に光の状態を読むことができるかがポイントになる。
使用するフィルムの特性とその後の現像処理を考え、出来栄えを思い描いて(予想して)、シャッターを切る。

洗足池の住宅街を歩き、撮った一枚。
平凡な逆光の光、だが、このような写真になると気づく人どれだけ 残っているだろう?
銀塩フィルムを使う人は少なくなっている。
デジタルではまだ無理だろうと・・・思うが、この程度なら優秀なレタッチソフトで できてしまうかもしれない。
簡単な設定で、できるデジカメが開発される可能性もある。
デジタルカメラ 気になる道具(というより装置)、否定はしないし、便利にも使っている。
だけど、フィルムのほうが 断然面白い。
フィルムを現像して初めて結果が分かるから。
予想通りだったり、思いもかけないほどいい場合だったり、勿論、裏切られることもある。
しかし、失敗がなかったら、「やったー」と思わずよくできた写真に小躍りすることもない。
失敗を楽しむ(受け入れる)・・・これが趣味の極意だろう。
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Retoro 400S フィルムを使い、現像液の調整テスト中。
使い慣れたTRI-Xからアグファのフィルムへ、本格的に移行するつもりです。
現像条件、現像液組成は、かなり変更せざるをえない。
あと一ヶ月、現像液と格闘しそうです。
- 2015/10/06(火) 13:26:04|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
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秋だと感じると「すすき」に眼が行く。
春の桜、秋の薄、定番すぎる。
これまでも何回も撮影し、撮り飽きた、もういいだろう。
今まで観たことない薄など 撮れるはずもないと、躊躇しながら、やはり 今年も ススキにレンズを向けていた。

モノトーンでは 穂に光が差す逆光以外 地味すぎて 写真にならない。逆光のアングル(構図)を狙う。

暗部を潰さないぎりぎりの露光で 撮影してみた。
これが 今年の薄。
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一面 薄に埋め尽くされた広大な高原なら・・・ 写しようもあるかも。
しかし、そんな場所を探し、出ていくこうという気持ちにはなれない。
散歩で充分 秋を感じています。
- 2015/10/03(土) 11:16:43|
- 樹、草、花
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文書を印刷するプリンターが壊れたので、有楽町のビッグカメラへ行き、A4対応のプリンターを購入した。
購入手続きを終え、夕方の有楽町を散策する。

デジカメの進歩は著しい。大判のフィルムで撮影したような尖鋭度と滑らかさがある。
フィルムの時代 35mmの小型カメラで、銀粒子を出さず如何に滑らかなネガ(写真)を作るか、腐心したものだが、デジタルカメラで、それが簡単に達成されてしまうと、今度は「あの、のっぺりとしたデジタル写真は何だ」と、フィルムを擁護する言葉が、フィルム派の人の口から出るようになる。全く 身勝手なものである。

写真の評価は、紙に焼かれた(プリントされた)ものでなされるのだから、より画質の高いデジタルで撮影されたもののほうが、高い評価を受けやすいのは自明のことだろう。

この数年、写真展を観に行くようにしている。時代はデジタル。それを非常に強く感じている。デジタルで撮られたモノトーン写真も画質は非常に高い。どうやったらこんな風に撮れるだろうと 考えてしまう。
むしろ、銀塩フィルムで このような調子な写真 撮れないか?と トーンの調子を真似したくなっている。
そんな時代遅れのフィルムを使う理由は簡単。
写真は遊び。
デジタルカメラは、あまりに効率的、遊びの部分が少なすぎる。ほとんどシャッターを押すだけになってしまった。
デジタルカメラを手にすると、関心事は、撮影ポイントの情報と、デジタルカメラの機能の設定のしかた、新しいデジカメの情報が行き交うだけ。
個人の工夫は減り、メーカー主導のカメラの機能の設定に関心が向く・・・・遊びがないよなぁ。
遊ぶためには、適度に面倒で有ったほうがいい。
100フィートの長巻フィルムを買い、短く切ってマガジンに詰める。
カメラに装填し、撮影。ピント、シャッター速度、絞、面倒でも自分の手で、頭で、感性で 決める(遊びだもの)。
現像液は、自分で配合し、自家現像する。
できたネガは、フィルムスキャナーでPCに取り込み(昔は、暗室で引き伸ばし機で焼き付け)そしてプリント。
できうる限り、自分の手で、自分の感性に従い 紙の上に記録する。
これが、趣味の王道だろう。
- 2015/10/01(木) 11:52:57|
- 都会の景観 Tokyo
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