感光剤が発明され、写真が生まれる。写真の立ち位置は、絵画の下に置かれていた。
ステーグリッツは20世紀初頭、眼前の光景を正確に記録できる「光の絵」を絵画から独立させようと画策した。レンズの眼を通して捉えた「光の絵」には、人の計らいを排除した潔さがある。
この考え方の行きつく先は、フォット・ジャーナリズム。第二次世界大戦は、写真の威力/存在意義をはっきりと認識させてくれた。そこに、キャパが立っている。
見ている事実を、レンズの眼で、しっかりと記録する。それが写真。
演出を加えたら、事実ではなくなる。「ノイエ・ザッハリヒカイト」と吠えた土門拳に通じる。
木村伊兵衛は、それを街角のスナップでやって見せた。人の動作、所作、眼差しのいくえ、そのうつろいやすい瞬間を、カメラの眼でとらえる。今となって振り返ると歴史を切り取っていた。
街角アマチュア・カメラ・ウーマン ビビアン・メイヤーの視点も、同じだろう。撮られている人も暗黙の了解、なかには「むっと」不愉快そうな人まで写っている。こういう写真が、許され、写されたのは、戦後フォット・ジャーナリズムが盛んな時代背景があったからだろうか。
フォット・ジャーナリズムは、1980年ごろになると衰退していく。テレビの発達、ベトナム戦争の終結が大きな契機だろう。米軍は、戦場カメラマンの行動を妨げなかった。そのため、米軍に不利な画像もたくさん流出。米国では反戦運動が活発化する。以後の戦争では、米軍は戦場カメラマンを規制するようになる。
テレビの発達も追い打ちをかける、写真から映像になる。映像を個人的に持っていることはできない。写真なら、雑誌にその記録写真が残るが、テレビでみた映像では、再び同じ映像を見たい・・・と思っても無理がある。
小生の写真にたいする意識はそこで止まっている。カメラに興味を持ち、カメラ朝日とか、毎日を見ていたのは1960年中ごろからの10年間。そのうち実際にカメラを持ち撮影していたのは、学生時代を挟んだ5年ほど。
その後の写真の発展を知らない。意識のブランクはあるなぁ・・・と思う。
努めて、若い人の写真展を観に行くようにしているのだが、どうもピンとこない。
作者に尋ねると、胸を張って撮影の意図を得意げに話してくれるのだが(こんなこと分からない?素人だな この老人は、という顔をされてしまう)・・・小生には、展示されている写真 何をとったか、どんなカメラで、どんなテクニックを使ったかは、わかる気がする・・・しかし、何故撮ったのかよくわからない。写真の進歩から取り残されたからかなぁと思う。
携帯電話で、あるいはタブレットPCで簡単に写真が撮れる時代になっている。また新しい写真表現が生まれてきているのかも。その進歩が、わからないのだ。
旧人である小生、なぜ撮るのか?と1960年代に心は戻っている。 キャパに、あるいはビビアンに尋ねたら、即座に「これは(大切なもの)言葉では説明しきれない。シャッターを切るだけさ」と答えるだろう。いい写真には、撮影者の「撮っておかなければ」という内的な必然を感じる。・・・本当に大切なものは目に見えないのだから。
できれば、ビビアンのような写真を撮ってみたい。
できれば、ケルテスのような写真を。
できれば、ウイン・バロックのような写真をとってみたい・・・ みな、古い写真家ですね。
すこし、キャパショックから立ち直ってきました。
そろそろ、カメラを持ってお散歩カメラを再開するかなぁ。

今月の初め、散歩して撮った一枚。なんだこれは??とシャッターを切る。
演出、合成の写真ではありません。ストレート・フォットです。
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- 2014/05/29(木) 12:18:40|
- ???
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サイアノタイプ(青写真)原理は簡単だが、なかなか制御しづらい。
増感剤になりそうな候補、何点か見つかったが、使う紙との相性があり、条件をつかむのが大変。
インクジェット用紙では、増感剤が紙と鉄の固着剤として働き、単なる水洗では印画紙に残り、被った画像になる。使用不可。
どうしたらいいものか、思案中。
百円ショップのスケッチブック、お絵かき帳、それに、キャノンのインクジェット用紙スーパーパーフィットペーパー、薄い和紙で、青写真用印画紙を作り、比較してみた。
発色がみな違っていた。

デジタルカメラで撮影した原画を、レッタチソフトで白黒画像にし、ポジをネガに変換、左右を入れ替え、インクジェットプリンターでOHPフィルムに打ち出してみた。これなら デジタルであれ、フィルムであれ 同じ土俵に乗る。密着で銀塩の印画紙に焼き付けることも・・・将来的にはプラチナプリントか!

ネガフィルムを、お絵かき帳で作った印画紙に重ね、太陽光で焼き付け、増感現像した。
東京タワーは、フィルムから取り込んだ画像を同様に処理。スケッチブックの用紙で増感処方の印画紙を作り、露光、水で10分現像後、薄い酢酸溶液に1分浸し定着した。

色合いが違います。
蓮の葉は、和紙に増感処理した印画紙を作り、使用。同様の現像をしました。

同じ、増感処理した印画紙を使ても、色調が変わってしまいます。今のところ、コントロールする因子は不明です。
最後は、インクジェット用紙。増感剤処理の印画紙では被るので、通常の印画紙を作り試してみました。

OHPフィルムでは解像度が出ません。最終的にはピクトリコのデジタル専用のフィルムを使い、それに対応し、インクジェット用フォトペーパーを使うことになるでしょう。
青写真の問題点は、階調性です。今のレベルは5ビットくらいでしょう、できれば8ビットまで広げたい。せめて7ビットまで広がればいいなと思っています。
サイアノタイプ、手に取ってみて楽しむもの。できた青写真をスキャナーで取り込み、PCのモニターで見るのは本末転倒。解像度、階調性とも 見慣れたデジタル画像に比べたら劣っています。
印画紙(サイアノタイプ)を簡単に手作りできるのは大きなメリット、紙を選べます。布地もOKでしょう。紙質の材質感、風合いなど楽しめます。現像に(焼き付けに)苦労したほど、手にしたとき・・・うれしいものです。
- 2014/05/24(土) 19:35:13|
- 写真の技法
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年の初めにクーデルカ展を見、5月 キャパ展を見る。
最初はクーデルカショック、更にキャパショックに襲われる。津波のようだ。
写真を撮れなくなっていた。散歩にカメラを持ち出すも、写すカット数は、通常の1/3以下。現像しネガをチェックするも・・・「撮りたかったものかなぁ」という思いがする。
今 スランプです。
また一つショックが・・・アマゾンに注文していた写真集が届く。
「Vivian Maier」 Street Photographer
知っていますか?
無名のアマチュアカメラマンです。人に見せるために撮影していたわけではだろう。単に写したいから写した写真。人に見せ、「どうすごいでしょう」と自慢するために撮ったものでもない。無報酬、no return で撮影している。だが、だから すごい。
ダイアン・アルバス、アンドレ・ケルテス、ウォーカー・エバンスなどの写真家の影響を受けているようです。
写真のクオリティーは高い。すごい、雑誌などに投稿したら注目され、写真家としての道もあったろうに・・・
とは思えど、クーデルカが警告するように、「写真を金に交換するたび 写真家は、カメラの眼を一つずつ失っていく」
素人で通したビビアンは、カメラの眼を失うことがなかった。誰に見せるでもないのもよかったか?
ビビアンのように撮れたら・・・
何故撮るかは、撮らざるを得ない内的必然があるからだろう。内的必然に従い、ビビアンはシャッターを切る。
クーデルカは、「プラハの春」を押し潰した戦車を撮影する。国を追われるかもしれないという危惧はその時感じていない。キャパはノルマンジーの海岸に寝そべった。死の危険を顧みずに。
ビビアンは休日、シカゴの町を歩き、ローライフレックスで町の人を、町の表情をとらえる。
お散歩カメラだ! 小生のスタイルと同じ。条件は小生のほうがいいだろう。だが、決定的にちがうなぁ・・・と
何をとるか、どう撮るかは、二の次にすべきだろう。
何を撮る? キャッチーなもの、名所、旧跡。話題の人、場所。
どう撮る? 構図、レンズ、照明、現像
ともすれば、何をとるか、どう撮るかに 神経がいき、それがすべてになっている。
クーデルカ、キャパ、ビビアンの与えてくれたショックに打ちのめされrています。
7年ほど前から、定年後の楽しみにカメラを片手に「お散歩カメラ」しています。パラパラとその頃の写真を見る。

もう、こういう写真撮れなくなっているかも・・・散歩にカメラを持ち出した頃、盗撮するという意識はなかった。撮らねばと、とっさに腰をかがめ構図を決め、ピントを合わせ、シャッターを切る。時間にして数秒程度の長い時間をかけている。
撮影は2007年3月23日 戸越公園にて、カメラは Nikon SP レンズはコシナ製 NOKTON 50mm F:1.5 フィルムはTri-Xを使用しています。
今となっては、こうは撮れないと思います。しゃがんだら、「写真を撮りますよ」の合図のようなもの。ゆっくりとピント合わせし、構図を決めてなどしていたら 気づかれ、嫌がられ、場合によっては、盗撮と非難されます。OKをもらうと、自然な表情にはなりません。類型化された写真となり、撮りたかった写真ではなくなる。
何を撮るか、どのように撮るかの、その底に、何故撮るかの原点がある。
シャッターを切らざるを得ない内的な必然が写真の原点・・・それが三名の写真家に共通するPhotographだろう。
このブログの最初の写真が、小生の出発点と、改めて思う。構図(How)は二の次。

このブログの最初の写真。クリックすれば大きくなります。
- 2014/05/21(水) 11:22:09|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
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ネットでサイアノタイプの写真を作っているサイトを見る、そして読み、考える。
有益なことが書いてあるが・・・化学の知識は?ちょっと首をかしげたくなる記述が多い。しかし、面白い事実を教えてくれる。試さねばと思う。
現像終了後、薄いオキシフル水溶液で処理(霧吹きで噴霧してもいい)すると、色が濃くなりコントラストが上がるという。
何故だろう。
三価の鉄イオンを、光によって二価の鉄イオンに還元する、その二価の鉄と三価のフェリシアン化カリウムが反応しプルシアンブルーを生じるというのがサイアノタイプの原理のはず。三価同士では、濃い青色は発現しない。
光還元でできた二価の鉄を オキシフルでわざわざ三価に酸化して色が濃くなる? 考えづらい・・・不思議、何故だろう?
鉄イオンと過酸化水素水(オキシフル水)の組み合わせ? 聞いた瞬間、フェントン反応だと思い当たった人、化学を勉強していますね。しかし、フェントン反応、約100年前に見つかった反応だが・・・メカニズム意外と複雑。しかも光も関係しています。こともなげに「オキシフルで像が鮮やかに、コントラスト増します」との発言、小生びっくり!! 確かめなければ・・・とは思いますが、同時に 大変な化学の世界に迷い込んだ気がします。
この事実を受けてか、「酢酸で酸化し鮮やかなプルシアンブルーが生成する」と説明するサイトもありました。酢酸で酸化したら、当の酢酸は還元され、アセトアルデヒドに変化する? カルボン酸を直接還元はかなりハードルの高い化学反応。エスエルあるいは、酸クロライドにしてから還元反応だろう。それに、アセトアルデヒドのにおい、臭いですよ。発生したらすぐわかる。
水現像後、薄い酢酸溶液で1分程度処理し、乾燥すると、やがてゆっくりと色が深くなっていく。これ空気酸化?かんがえづらいなぁ。
違うメカニズムが働いているのだろうが・・・・
ネットサーフィンでは、面白い事実を集めることはできて、有益ですが、メカニズムに立ち返り論理的に考えていくには・・・情報不足。やはりちゃんとした文献調査が必要かなぁ。
おそらく古い文献を探すことになるので・・・国立図書館でCA(ケミカル・アブストラクト)を見て(検索して)みるか。大変だぁという気持ちと、暇なのだからとやってみるかの気持ちが、心の中で戦っています。
感光剤を改良し、画像のダイナミックレンジを大きくする方法と、
現像液を改良し、画像のダイナミックレンジを大きくする方法、
その二つがあるはずと、考え、
今回は、現像法をいじってみました。どのように考え、候補を選び、テストしたかは、ルイス・キャロル先生に倣ってノウハウとします。増感現像液を作りました。特に色を深く濃くできる方法だと思います。
以下、小生の行っている、サイアノグラフの実際を、説明します。

フィルムで撮影、現像し、ネガはフィルムスキャナーでデジタル化、PCに取り込みます。
この画像を、レタッチソフトで、白黒を反転し、同時に左右も反転させます。

この画像から必要な部分を、OHPフィルムに、プリンターで印字。今回はCanonの古い染料系プリンターMP600で打ち出しました。モードは普通紙。(これが一番よかった) A4とA6のOHPネガを作成しました。
そして、調整した青写真印画紙にこのOHPフィルムを、印刷面が印画紙に触れるよう重ね、その上にガラス板を被せ密着させ、晴天の太陽で露光(焼き付け)しました。太陽光の強さは、セコニックの入射光式露光計の値で EV250とEV500の中間。ISO400のフィルムなら、f;16~22に絞り、1/500秒が適正露光です。今回は5分間露光しました。

これは、増感処方の印画紙を使った例。現像液(水)にさらす前の状態です。
標準処方に比べ感光剤の色が濃く、光を浴びると薄くなります。(Fe3+がFe2+)に変化したのがよくわかります。
光の当たりが少ない部分は、感光剤の色が残るので、まるでネガのように見えます。水で現像すると、光が当たり薄い部分が濃くなり、濃い光の当たらない部分の感光剤が洗い流され徐々に薄くなっていきます。 2,3分すると全体が濃い灰色になり、一瞬写っているのか?と心配になります。5分すると、徐々に像がでてきて、10分するとはっきりしたサイアノタイプ(青写真)になります。
1~2分間、薄い酢酸水溶液に浸け定着(安定化?)し、水で軽く洗い乾燥すれば、出来上がりです。

左上の写真は、標準感光剤で作った青写真印画紙、水現像10分したばあいです。その下が、今回開発した増感現像液で現像した例です。露光条件は全く同じ(4枚同時に露光できます) 違うのは現像法。明らかにダイナミックレンジが広がり、暗い部分が締まっています。
右上の写真は、同時に露光した、増感感光剤を塗布した印画紙の例。5分の露光は多すぎた。2,3分で充分だったと思います。増感感光剤に増感現像は、うまくいきません。被りがひどく、全面が暗い紺色となり、画像はほとんど見えません。
右下は、銀塩の印画紙で、密着で焼き付け、富士ドールで現像したもの。本来の銀塩写真です。比較例として載せました。
やはり、銀塩プリント、黒の締りがよくダイナミックレンジ、青写真に比べ数段広い。印画紙を使って現像する・・・何年振りか、いいものですね
また、引き伸ばし機を取り出し、暗室にこもるか・・・・
A4版に印字したOHPフィルムを使って、青写真(サイアノタイプ)をつくってみました


増感処方の印画紙、露光時間 少し長すぎました。2,3分でよかったのでは。
標準処方で増感現像と 増感処方印画紙で水現像、優劣はないように感じました。
- 2014/05/18(日) 22:43:06|
- 写真の技法
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小人なもので・・・暇を持て余し、××をなしそう。
読みたい本を探しに書棚をかき回していたら、古い未使用のオーバーヘッドフィルムが出てきた。15年ほど前、まだまじめな会社員だったころ、説明資料を作るため使用していたものだった。これを使えば、ブループリント、サイアノタイプ写真ができる・・・
ブルーフィルム、語感が淫靡です・・・と言ってもこの頃の若い人にはピンとこないかなぁ。
サイアノタイプと言ったら、わかる人もっと少ないだろう。忘れられた写真の技法。
元化学系技術/研究者・・・青写真を極めてみるかという気になっていた。
すると何の本が読みたくて書棚を探していたのか?・・・わからなくなっている。アルツハイマー予備軍のぼけ老人です。予防にはよいエクササイズだろう。
「ブルー・プリント、青写真のことですよ。」と老妻に言ったら、「青写真って、計画のことでしょう。将来こうなりますとか・・・」現物の青写真、ものとしての記憶はなくなり、言葉(イメージ)だけ残ったということでしょう。
くだくだ説明し、印画紙候補の書道用和紙を1枚ゲット。
青写真用の感光剤は簡単に調整できます。神田の試薬問屋へ行き、薬品を購入。百円ショップで刷毛と画用紙を買う。
OHPフィルムにネガをプリント。A4の額に、感光材を塗布し乾燥した印画紙をはさみ、太陽光に当てて露光、水で現像、希酢酸水で定着(安定化)し乾燥。

太陽光の強さは、セコニックの露光計(入射光式)で測り、参考値とした。化学系技術者の端くれ、薬品の扱い、現像、定着などは得意。光反応のメカニズムも・・・いろいろな仮説を立てて実験していけば、ルイス・キャロルのように、小生だけの青写真技法を開発できるかなぁ・・・しばらくは、ノウハウとして、公開せず・・・独りほくそ笑んで・・・いよう。
まずネットで公開されている処方で感光液を調整し、印画紙を作る。
どんな紙がいいのか、テストする。

紙、布などの植物繊維であれば、なんでも使えるが、画用紙、和紙ならば使えそう。一番いいのは、インクジェットプリンター用紙で、それも顔料インクに対応したもの。現像液を多く吸収し感光材の濃度を高く均一に塗布できるからだろう。

まずは百均の画用紙を使用し、百均の刷毛で感光材を塗布し印画紙を作る。そして、感光特性をテスト。①EV256の光の強さでは16分以上で飽和していた。1分でかすかに感光、感光域は16倍、レンジは4ビットである。②で少ない光の感光性を確認するためEV64の薄曇りの時テストしたが、弱い光に対しては感光性は弱く、レンジは3~4ビットだろう。
専門知識を動員し、光感光(光反応)のメカニズムを考えていた。
光反応のpathを考える。いろいろな因子がありそう。光反応のルート、メカニズムを想定してみる。
ある仮説を立ててみた。それが正しいなら、この薬剤を添加(ルイス・キャロルの心境です)すれば、感度は上昇するだろうと、③増感性をテスト。うまい具合に増感できた。レンジは6ビットくらいか。8ビットに広がれば写真画像でほぼ満足、10ビットまで広がれば、シルバープリントと遜色なくなる。(②と③がその比較例、②はネットに記載されていた処方の感光組成で作った印画紙、③はそれに増感剤を加えたもの。同時に露光テストしました。ネット処方16分の濃度と、増感剤入り2分がほぼ同じ濃度、約8倍感度はアップ。階調性も大幅に改善できています。)
しかし、光の当たらない部分も少し色がついたので、被り防止剤の検討も必要か?と思えど、メカニズムが想定した通りなら、増感に使える(テストすべき)候補の薬品は、まだ何種かある。そちら手に入れテストするのが、先決だろう。増感のメカニズムがはっきりしてくれば、被り防止の方法も気づくというもの。
④顔料プリンター用紙は、感光液を多く保持できため、濃度レンジが広くなった。6ビット?程度。
増感処方の感光液を、顔料プリンタ用紙に塗布すれば、ほぼ満足できるサイアノタイプ写真ができるかも・・・

増感処方印画紙で焼き付けた画像を参考に添付しました。雪の日の戸越公園の風景を撮影したもの。顔料プリンター用紙で印画紙をつくれば、もっときれいなサイアノタイプ写真が作れるでしょう。
その前に、安い画用紙を使って、増感剤のスクリーニングですね。そうすればまた新しい仮説ができて・・・
キャパショックが後を引いて、シャッターボタンを押す気になれません。・・・サイアノタイプの開発で気分転換。しばし元化学者の経験を活かし遊ぶかなぁ。
それとも、小人閑居して・・・××をなす。
追記 ネットに出ていた感光剤の組成は以下の通り、
クエン酸鉄アンモン 3.0g
フェリシアン化カリウム 2.5g
水 50ml
この組成で青写真用印画紙を作成しています。A4の画用紙で8~10枚作成できます。
白熱電球をつけて塗布作業をしました。明るいところでの作業なので、簡単でした。
おそらく蛍光灯では感光して使えなくなるでしょう。(試してはいませんが・・・)
- 2014/05/16(金) 23:39:18|
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戦後、キャパはブレッソン達と共にマグナムを作る。
キャパの写真の腕、それほどうまいとは思えないが、紛争地に飛び込み、スクープ写真をタイムリーに撮影し、配信する。まさに、報道写真の申し子。ペンは剣より強し。キャパはペンの代わりにカメラでそれを実践した。
写真の構図、時として、まとまっていないものもある。しかし、人々の視線の先を捉えるキャパのカメラの眼、鋭く/優しい・・一流だと思いました。
一方、カルチェ・ブレッソンは、写真技術・センスは 超一流。報道写真というより、芸術的な美しい構図の写真を得意とする。
この二人が設立の主要メンバーというのが面白い。
欧米のカメラマンがすごいと思うのは、大きな力に対しても自分の良心に従い「否」と叫ぶこと。芸術肌のブレッソンですら、レジスタンとなり、占領軍のナチと戦っている。ドイツの写真家、アウグスト・ザンダーは、その写す写真が非愛国的とナチからにらまれている。
時代が下っても、ブラジルのサルガド、チェコのクーデルカなど、優れた写真家が現れてくる。
日本にも優れた、報道写真家、戦場カメラマンはいるのだが・・・自分の存在をかけてプロテストするより、どこか傍観者のスタンス。この状況を伝えなければという使命感は感じるのですが・・・撮影地が日本でないからかなぁ。
キャパの写真を見ていると、そこに写された光景だけでなく、政治状況、歴史のつながりなど、いろいろ考えさせてくれる。また、そのバックグランドを知らないと、そのすごさが、わからないと思う。
キャパは、何を撮るか、何故撮るか、はっきりしている。
どう撮るかは、大した問題ではないようだ。レンズはみな標準レンズだろう。構図が今一、ぶれた写真もある。必要ならあとでトリミングすればいい。ローライフレックスで撮影したカットが多くあったが、6.6スタイルの正方形の写真は1枚もなかった。トリミングされている。おそらく、35mmで写したものも、必要ならトリミングしたと思う。何故撮るかを明快にするトリミングに躊躇はないだろう。
芸術写真を狙うなら、構図をしっかり決め、トリミングは最小限にとどめるはず。ブレッソンなら、トリミングは最小限に抑えるだろう。
何故撮るかは、己の内的な必然であり、報道写真家キャパは、己の信念に従い、シャッターを切っている。
アマチュアカメラマンが、真似て、なぜ撮るか?と自問したら、真っ先に、子供の成長を撮るだろう。それが内的必然というもの。子供が大きくなり、撮る対象を卒業した時が大変。悩んでしまう。
どのように撮るか・・・・は、キャッチーな写真への道。写真を撮るのに専門知識が必要な時代、プロのカメラマンの独占した分野。しかし、美しいだけ、珍しい光景だけでは・・・もはや それほどの価値を見いだせなくなっている。
デジタルカメラは、美しい写真、従来は難しかった撮影を、プロの独占から素人にも広げてくれた。
今プロは、どのように撮るかでなく、なぜ撮るかを 試される時代になっているのだろう。
趣味で写真を撮ってる小生、キャパ展をみて圧倒されています。
なぜ撮るか? 自問しないと いけませんね。
すでに息子、娘の写真撮る機会を失っています。
以下の写真は、恵比寿ガーデンプレイスの写真美術館でキャパ展を見た後、散歩し、帰宅途中 撮影したもの。

赤外線フィルムを使用し、R72フィルターをつけ、典型的な赤外線写真になってます。なぜ撮るかより、どう撮るかに力点がいっています。恥ずかしい限り。テクニックにおぼれると、本質がわからなくなる。

デジタルカメラなら、左端の人物、暗部につぶれず、浮き上がり、不気味な感じに仕上がったかも。


昼3時ごろの月。それを捉えたくて何枚か撮ったけれど、パンクロフィルムに赤のフィルター(R60)程度でもよかったか?
何故撮るのか?撮らねばらない必然とは?キャパの写真、重い命題を投げかけています。
- 2014/05/13(火) 17:36:10|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
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東京写真美術館で開催されているキャパ展を観に行ってきた。
去年は、横浜美術館でもキャパ展が開催され、同時期、NHKでは沢木某・写真評論家の説を取り上げ、「崩れいく兵士」を中心にした番組を放送していたので記憶している方もいらっしゃるだろう。何も知らない人は、感銘したのではないだろうか? 感動的な話は、感銘しながらも、眉に唾をつけて聞け。それがジャーナリズムの正しい立場、検証をしっかりしなければならないのに、その基本ができていないように感じました。
「崩れいく兵士」の写真に関しては、1975年頃より、やらせ、演出写真ではないか?の疑惑がもたれ、欧米ではかなり詳細な検討がなされていた。肯定的な事実もあれば、否定的な事実もある。特に2007年暮れ、メキシコで、スペインからの亡命者が持ち込んだ「メキシカン・スーツケース」が発見された。そこには当時キャパ等が写したネガや写真が大量に残されていて、欧米の研究者により、解明が進んでいるという。スーツケースは、そのご、正当な所有者であるキャパの弟に戻り、現在はキャパ財団で保管されているという。
番組の内容は、欧米で発表された記事の中から、沢木某の論が成り立つよう肯定的な事実を積み上げ、不都合な部分はあえて触れない(無視)する形で番組は構成されていた。しかも番組のすべてが、沢木某の新発見に基づくような構成になっていた。そこがひっかかります。どこに、沢木某の新発見があるのか??何もないような気がするのだが・・・
これってフェァー?中立を保つはずの公共放送のやることだろうか?
そんなこともあり、興味深々、写真を見てきた。
確かに、面白い。いろいろな側面から、キャパという人物を読み解くことができる。写真とはなにか、写真の歴史とは・・・考えるヒントをたくさん含んだ展覧会だと思う。
みて損はない、何か得るものを見つけられます。
問題の「崩れいく兵士」の写真も飾られていた。ネガから直接 半切の大きさに引き伸ばされたものではない。キャビネ版の写真から複製されたものであろう。沢木氏は6.6版のローライフレックスで撮ったものと断じているが、見るとライカのレンズ、ズマールのボケかたに近い。ローライならレンズはツアイス。ツアイスの切れはない。しかし、氏は強引にローライで撮ったものと主張してる。ローライでないと、彼の説は瓦解・・・目玉にしたい感動的な筋立てが成立しなくなるから。
変だなぁ・・・写真を専門にしているなら、ツアイスのレンズで撮影されたものか、ライカのズマールで撮影された写真か、判定できると思うのですが・・・・(小生のぼんくら眼では、ズマールに見えましたが)
スペイン動乱は、ライカと二眼レフのローライで撮影、世界大戦では、コンタックスⅡとローライを使用し、撮影していたようです。当時のレンズで比較したら、ツアイスのゾナーとライカのズマール、画質はゾナーが1段も2段も上。明るいレンズが欲しいカメラマンなら、コンタックスⅡを選んだと思います。戦後はS型ニコンとローライで撮影したのでしょうか?? S型ニコンが展示されていました。当時のニコンのレンズはゾナータイプ。ツアイスを手本に作られています。
意外と、ローライで撮影した写真が多いのに驚きました。戦場カメラマンだから、35mmフィルムだろうと思っていたのですが、6.6版でもかなりの枚数撮影しています。写真を直に見ないと、わからないものですね。
日本人のアマチュアカメラマンの好きな被写体、花鳥風月の写真は1枚もありません。すべてに人が写っています。その視線の先、眼差しがいい。カメラマンであるキャパに視線を送る写真は、ほとんどない。キャパの存在に気づかないのか、極めて自然な目線の写真になっている。
カメラを向けられるより、銃口を向けられるのが恐ろしい時代。カメラのレンズには、それほど関心/神経が行かなかったのだろうか?
木村伊兵衛のスナップ写真と似通った感じがしました。
撮られた人の眼差し、その視線の先が、状況を雄弁に物語っています。
うまいものだ。こういう写真が撮れたらなぁとおもう。
現在なら「盗撮」の汚名を着せられてしまいますね。
不忍池に「蓮の葉」を撮りに行った帰り、上野から秋葉原まで散歩しました。
その時撮ったスナップ写真。
フィルターをはずし、ISO400のフィルムとして使用しています。

人権を尊重し、誰と特定できるような写真はブログに載せないようしていますが・・・
状況を説明できるよう、座る子を左手上に小さくフレーミングし、秒撮しました。
この辺りが、今できる限界でしょう。キャパも使ったかもしれないNikkor50mmレンズで撮影しています。

秋葉原近くの古い商店。
なんということない写真ですが、人の姿も一緒に写しこみたくなります。置かれている商品、服装、自転車などから、時代の雰囲気が何十年後か、かもし出されてくるかも・・・そんな思いでシャッターを切っています。
- 2014/05/11(日) 09:47:39|
- 散歩
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連休が始まった4月の下旬、不忍池で蓮の葉を撮影していた。
赤外フィルムに可視光カットのR72フィルターを使用し撮影すると、蓮の葉が暗い水面から浮きあがるように写っていた。面白い。
連休明けの日、50mmの標準レンズで蓮の葉を切り取ってみようと、再度不忍池へ行った。

空からの光のうち赤外光はすべて水に吸収される?、あるいは屈折率で水面下へ入る?のか、撮影した角度では反射光に赤外光がほとんど含まれていないようだ。R72(720nm以下カット)で可視光成分をカットすると、水面は暗く沈み、蓮の葉がくっりきと浮かび上がる。葉の配置の面白いところを探して写せば、面白い写真になるかも。フレーミングが難しい。造形感覚が優れていればなぁ・・・
反射光は偏光しているので、PLフィルターでも、同じ効果が期待できるのではと、持ってきたPLフィルターに替えてみる。
一眼レフカメラであれば、PLの効果をファインダーで見ながら確認し、最適の角度に合わせることができる。レンジファインダーでは、PL効果の確認は、レンズに装着する前に裸眼で確認、角度を記憶し、レンズにセットする。
レンジファインダーカメラでもPLフィルター使えないわけではない。めんどくさいのと、最適な効果で使えたか、保障できないだけである。

似たような写真が撮れた。感度的にも、PLフィルターのほうが露光補正倍率が低く、撮影に有利である。

暗い池からボーと浮かび上がる茎の格好が面白いと、ファインダを覗き、構図をきめていたら、薄らとではあるが、フレームを横切っていく鯉の姿を発見、シャッターを続けざま2枚切っていた。暗い水面とほぼ同じ明るさの鯉、PLでなければ、捕まえられなかっただろう。次のシャッターチャンスをと5分ほど待ったが、再び鯉が現れることはなかった。
鯉の姿を浮き出すよう焼いたら、蓮の葉は真白になってしまった。蓮の葉を白く潰さないように焼くと、水面は暗くつぶれ、鯉の姿は消える。覆い焼きして画面を作るところです。
・・・デジタルのレタッチソフトでは どうしたらいいのだろう?
- 2014/05/09(金) 22:35:50|
- 水辺の光景
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曇り。早朝の弱い太陽の光が道を照らす。

R72フィルターで可視光をカットし、21mmの広角レンズで狙う。
現像が上がる。正体不明のものが写っていた。
心霊現象ではないが、こうゆう風に写ってしまうのか。
面白いなぁ、としばし見入っていた。
- 2014/05/07(水) 07:25:33|
- ???
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谷根千散歩をし、上野へ出る途中、上野動物園の横道を歩いていた。厚い雲に太陽はぼんやりとした輪郭をのぞかせていた。棕櫚の樹に白い花?が咲いている。面白い。逆光気味だがレンズを向ける。開放F:4の暗いレンズ。f;4で1/10秒のシャッター速度を選ぶ。手持ちでは、手振れの危険性が高い。息をひそめ、そっとシャッターを切る。窒息しそうだ。

意外と光は回っている。1/25秒で切ってもよかったか。赤外光、目には見えないので、確かに難しい。薄いネガだったり、濃かったり。

空の雲に露光を合わせ f:4/50秒でシャッターを切ってみた。樹の葉が白く写ってる。しかし、これではありふれた光景。
焼きこんでみる。

注目しているのは雲の文様なので、こちらのほうがベッターか。
この頃、ネットサーフィンして白黒写真のブログを探している。
ライカのM8,M9,Mクローム、3つのライカを駆使し撮影している人のブログに出会う。すごいものだ。フィルムでは出せないようなトーンの作品。
単なる逆光のシーンが、キレの良い解像感と美しいトーンに変換され、ドラマチックな作品になっている。
こんなのフィルムで撮れるだろうか?呆然と、その人のブログに見入る。
「不思議の国のアリス」の著者、ルイス・キャロルは、同時に優れた写真愛好家でもあった。湿式コロジオンのネガで3000枚ほど写真を撮影したという。しかし、時代は移り乾板ネガが発明されると、1880年、彼は、突如写真を撮ることをやめてしまう。フィルムがデジタルに置き換わったのは、20世紀末からの10年間。しかし、写真を撮ることを止めたという写真家、写真愛好家はいない。
湿式コロジオンから乾板への変化は、デジタル化より、本質的な変化だったのだろう。
コロジオン液を調整し、硝子板に薄く引き、乾かないうち撮影し現像する。すべては一人の写真愛好家の手で行わなければならない。コロジオン膜の調整は、ノウハウのかたまり、感度を高めるための添加剤、ラチチュードを広くする添加剤、被り防止剤、均一に塗布するテクニック、そのための道具・・・それらは、すべて個人の秘伝。公開しない。できた写真は、ルイス・キャロルしか作れない写真(作品)となる。
乾板の出現は、それらを根こそぎ否定するものになっていた。
ライカのMクロームの写真、衝撃的。フィルムではだせないような解像感と美しいトーン(階調性)がある。
フィルムからデジタルへの変化、写真はハンドクラフトと思っていた小生には、本質的な変化をもたらしています。
それに、ライカMクローム 小生の財力では手が届きません。
写真愛好家の看板を外すことになるのかなぁ・・・
- 2014/05/06(火) 09:47:49|
- 散歩
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今回撮ったなかでの お気に入りショット。
柵に止まっているカモメにじりじりと近づく。距離は1.2mくらいだろう。21mmの広角レンズ、被写界深度は深い。1~2mにピント範囲がが入るよう設定。もちろん、赤外光に合わせ、距離補正をしておく。
気づいたカモメは、一瞬で飛び立つ。ファインダで追いかけ、すかさずシャッターを切る。一種の流し撮り。
うまくとれただろうか? シャッターチャンスは1回のみ。撮れた?ぶれたか?という思いが交錯する。

帰宅したら、すぐフィルムを現像する。水洗し、ネガを確認する。
全体は手振れ、しかし尾羽はしっかりと止まっていた。よかったと思う。スナイパーになった気分。
池は見た目より暗く写る。主役のカモメが浮き立つ。「逃げる」雰囲気が出ていると思う。
赤外線フィルムでなければ、このトーンは出せなかったと思う。
- 2014/05/05(月) 09:12:51|
- 読み解く写真、心に残る写真を・・・
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可視光をR72フィルターでしっかりカットして撮影。
赤外光に対応する露出計、市販されているのでしょうか?
散歩中の撮影は、光を読み、今までの経験から推察し、勘で露光を決めています・・・おそらく空に対し2絞り多く露光しているでしょう。赤外光、見えないはずなのに、二絞りなどと・・・いい加減ですな。
手持ち撮影、1/10秒は,21mmレンズでは50%の確率で手ぶれが目立ち没になります。息をひそめ死ぬ思いでシャッターを切りました。作品としてなら3回は撮って、手振れの目立たないカットを選びますが、今回はテスト撮影、1回切るだけです。写真(ネガ)のトーンを知るのが、目的です。いろいろな場面を撮らなければ・・・

空は、パンクロフィルムで撮ったような濃度、遠方の木が白くなっています。前景の岩の材質感を出したかったので、これでよかった。赤外線写真だが、少しパンクロフィルムのテーストに近づき、意外感ある光景になったと・・・思います。

パンフォーカスにしたかったので、f:8まで絞りました。シャッター速度は1/10秒に設定、橋の欄干にカメラを載せ、そっとシャッターを切りました。もっと絞りたいのですが・・・その場合はやはり三脚が必要でしょう。
赤外線写真という感じがしないと思います。しかし、パンクロのTri-Xでは、こうは撮れなかったと、思っています。
Rolei赤外400S フィルム なかなか面白い。
撮影場所は、上野・不忍池です。
- 2014/05/04(日) 05:47:40|
- 散歩
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赤外線写真の効果が最大に出るのは、晴れた日、順光(太陽を背に受け)で、空と木々の緑のある風景を狙うこと。空は暗く落ち、雲と木々の緑が異様に白く輝き、非日常の光景を描き出してくれる。
可視光を通さないサングラスをかけてみた光景だが、残念ながら人間の眼では、真っ暗で、何も見えない。
見えないものを可視化すると、その非日常性ゆえ、最初は驚き見入るが、何枚も見せられると・・・だんだん飽きてくる。
そこに写した人の必然が写っていないと、「なぁんだ、驚かせようとして撮っただけじゃないか、あざといなぁ」と心のなかで馬鹿にされるのがおち。赤外線写真を前面に出しただけの写真は撮りたくない。このフィルムの持っている個性を、写真表現に生かしていく・・・それが重要だろう。
どんな個性/癖があるのかテスト撮影をしている。
谷根千を散歩したとき撮影したテスト写真。
見どころもない平凡な写真ですが・・・

薄日さす午後、半逆光の光線状態で撮影。R72フィルターをつけています。可視光はほぼカット、赤外線写真です。植木の葉が白く写っているので赤外線写真と判断できますが、パンクロフィルムにYGフィルターでも、近い効果は狙えます。(これほど白くは写らないでしょうが・・・)あまり違和感のない写真に仕上がりました。R72フィルターをつけたため、f4で1/25秒のシャッター速度。手持ち撮影では限界でしょう。格子戸、右の家並みの壁、ディテールは出ていますが、解像度不足。f:5.6以上に絞りたいところです。全体でみると白から黒までの階調性は豊かですが、暗部は眠い感じがして引き締まりません。

同じ場所で、R72フィルターを外し、フィルター無しで撮影してみました。全体の階調性は明らかに狭くなっていますが、暗部の階調がすとんと落ち、メリハリが出ています。
昔風にいえば、前者は足のあるフィルム、後者は足切りされたフィルム。昔の雑誌を読むと、昭和30年ごろまでのフィルムは足のあるフィルムだったそうです。Tri-Xがでて、足切フィルムになり、それを富士のフィルムも真似するようになったと著名な写真家が嘆いていました。
確かに、この光景、Tri-Xで撮影していたら、階調性はさらに狭くなり、却ってメリハリある写真になっていたかも。
時代により、好みのトーンは変化していく。メーカー主導でないことを祈るだけです。
- 2014/05/03(土) 09:48:19|
- 散歩
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その昔、フィルムカメラが全盛のころ、高級な一眼レフであれ、奥さんが使うバカチョンカメラであれ、使うフィルムの選択肢は同じ。違うのはレンズだけ。
そこで、腕に覚えのある人は、レンズに金をかけ、それを安いカメラにつけて写真を楽しんでいた。昔はレンズ志向。
しかし、フィルムカメラに新しいレンズが開発されることはない。残された道は、フィルムを変えることだろう。
そのフィルムの種類も少なくなってきた。
Rolei赤外400Sは、その点稀有のフィルム、使いこなし、写真表現の幅を広げたいと考えている。
テストに武蔵小山商店街で撮影したうちの二枚。

わざわざ赤外線フィルムで撮ることない場面かも・・・R72フィルターをつけているため、手持ち撮影は限界状態。フィルターを外せば、ISO400のパンクロフィルムとして使用でき、f:8/125秒くらいでシャッターは切れたと思う。

パンクロフィルムとして使うより、R72フィルターをかけたほうが、少し階調性は豊かだと・・・思いたい。
- 2014/05/02(金) 21:38:53|
- 散歩
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赤外線フィルムを 本来の使い方(?)で撮影した写真。

空にわずかでも雲が広がっていたらよかったのですが、快晴でした。

空の雲を、赤外線フィルムで撮ったとわかるよう撮影したかったのですが・・・そこまで焼きこむと、東京駅の感じが失せてしまいます。木々の緑、芝生の緑が、前景にあれば、焼きこんでもOKだったのでしょう。
やはり、赤外線フィルムは、山岳写真向き。
Rolei赤外400Sフィルム、使い勝手の広いフィルムだと思います。
Tri-Xフィルムに比べ階調性は豊か、それでいてハイコントラスト表現もOK、ダイナミックレンジの広い光線状態にも対応してくれる。被写体を選べば、本格的な赤外線写真も撮れるでしょう。
今後は、光をコントロールしたら、どう写るか、そのテストを行う予定。
一缶、すべてテスト撮影になりそうです。
- 2014/05/01(木) 11:37:07|
- 写真の技法
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