fc2ブログ

本当に大切なものは見えない

古いフィルム・カメラで、ありふれた身の回りを撮っています。日常の中の一瞬を捉え、読み解く写真になっていれば・・・

品川区 中央公園にて

場所は下神明の駅に近い。
傍を新幹線が走る。
逆光だが、太陽の光が直接レンズに入らないように構図を取り撮影した。
新幹線が行く1594-36
戦前のフィルムは まだ発展途上、乳剤層が厚く、解像度は60~80本/mmだった。
そのときツアイスのレンズ性能は高く、ゾナーの解像度は150本/mm程度はあった。
フィルムの性能が向上し、
ようやく ツアイスのレンズに追いついてきたということだろう。

戦後 コンピューターの発達で、煩雑な(手間のかかる)計算が容易になった。
コーティング技術の発展、レンズに使用する硝子の種類も増え、
レンズ設計技術は飛躍的に向上している。
しかし、可視光を使う限り、解像度には限界がある。
可視光の波長は0.35~0.64ミクロン 
赤い光、0.64ミクロンを識別するには
その2倍の波長(1.2ミクロン)が解像度の限界だろう。
これは830本/mmに相当し、写真用レンズの設計限界になると思う。

物理的には解像度7ミクロン程度(150本/mm)のレンズでも、
デジタルカメラに内蔵された画像ソフトが自動的に鮮明化(エッジを出し、シャープ化している)するので、
物理限界以上の2500万画素とか3000万画素の画像を生成している。
(NEX-5に60年以上前のオールドレンズをつけて撮影したが、極めてシャープな画像を得ている。)
150本/mmのレンズでも、画像処理を施せば300本/mmのレンズに変身か?
デジタルには、うまいこと「だまされている」のではという ちょっとした不信感がある。

人工衛星から地表の画像を送ってくるが、そのまま見たのでは、地表に何が写っているかよく分らないが、
コンピューターによる画像解析で生成した写真の解像度は0.5mまでアップするという。(軍事目的だろうが・・・)
その写真ならば、地表になにがあるか判明するという。
画像処理のアルゴリズムはプログラマーの技量であって、撮影者の技量にはならない。
ここに人間の介在する所は少ない。
見たいものを、望むように自動で生成してくれる。
すごい時代になったものだ。

スポンサーサイト



  1. 2023/09/30(土) 18:59:53|
  2. 新幹線の見える街 品川
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

御殿山陸橋にて

新幹線1589-18
1937年5月6日、ドイツの飛行船ヒンデンブルグ号が、
米国レイクハースト海軍飛行場に着陸するとき、爆発炎上する事故があった。
着火の瞬間は船尾付近だった。
ムービーはそのとき船首付近を撮っていて、気づいたときには炎上していた。
たまたま カメラを持っていた若者が、着火直後の船尾を撮っていて話題になる。

その写真は 確かにすごい写真だが、撮った人を「すごい写真家」とは呼ばない。
何故なら、同様な写真を、何回も繰り返して撮ることはできないから。
すごい写真家とは、その人の個性に基づいて、常に何かを感じさせる写真を撮ることができる人である。
(What a great photographer does it they're constantly able to make something in s style that's personal to them selves. by Ken Van Sickle)

6月3日、臨時列車「カシオペア紀行」が栃木県矢板市を通過中、
その姿をカメラに撮ろうと、鉄道ファンが詰めかけていた。
特別な列車で、滅多に走るものではないようだ。
誰よりもキャッチーな写真が撮りたいと、
3名が線路に入り、列車は緊急停止したというニュースがテレビに流れていた。

デジタルカメラの発達により、誰もが美しい写真を撮ることを可能になり、
誰でもちょっとの練習で、決定的な瞬間を捉えられることができるようになる。
個々人の個性に従った何かを感じさせる写真は埋没していく。

一億総Photograperの時代、「いいね」こそ評価の基準。
お洒落な写真、すごい写真、面白い(演出を含めた)写真、キャッチーを狙った(あざとい)写真が氾濫する。

後先考えず、「いいね」の写真を撮りたくて、線路にまで入ってしまうことになる。
「撮り鉄」ということで問題にしているが、
ほかの所でも(観光地など)似たことは、起きていると思う。

昔から(フィルム時代)の鉄道写真ファンは、今どうしているのだろう。
農道で列車を待つ集まりのなかにもいたのだろうか?
それとも、苦々しい思いで 現場には近づかなかったのだろうか?

  1. 2023/06/13(火) 12:42:57|
  2. 新幹線の見える街 品川
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

撮り鉄には なれないけれど・・・・ 新幹線の走る町

新幹線が通るようになって、もう60年ほど経つ。
生活に溶け込み、誰も気にとめることはない。
大崎ガーデンタワー1562-#2-24
まだ、桜は咲いていなかった。
大崎ガーデンタワー1567-10
東京の開花(靖国神社)は20日ごろだったろうか・・・・
目黒川沿いの桜は ややそれより遅い。
川より少し上った斜面なので、川沿いより少し早い。
大崎ガーデンタワー1568-42
ほぼ満開に近い。
大崎ガーデンタワー1574-22
あっという間に散り、青葉になっていた。
大崎ガーデンシティの横を、新幹線は走る。
数分待てば、列車が走っていく。
ちょっと待てばいい。
桜と新幹線、一緒に撮らない手はないと、シャッターを切った。
---------------------------------
散歩すれば、新幹線の走るのを見る。
それを見ると、咄嗟にカメラを構え、撮ってしまう。
撮ったところで、また同じようなもの・・・と思いながらも、
条件反射のようにシャッターを切ってしまう。
新幹線1555-29
新幹線1557-4
新幹線1557-9
新幹線1577-24
新幹線1577-8
撮り鉄と呼ばれる人は、明快なテーマを持っている。
何を撮るか、どう撮るか、ふさわしい場所は、時刻は・・・・撮影対象を決め、ブレることはない。

単に写真を撮って楽しんでいる小生に、明快なテーマがあるかと言われると・・・・
口ごもってしまう。
何がテーマだろう?

内的な必然に突き動かされて、シャッターを切っているわけでもないようだ。
フィルム写真が好きなだけだろう。
動機は脆弱かなぁ。
強いて言うなら単に面白いから。
「小生の写真のテーマは○○です。」と言った瞬間、
なにを格好つけて、嘘だろうと心の底で呟いてしまう自分がいる。

たかが写真、されど写真と心の中で呟きながら、遊び、
そしてフィルムを浪費している。


  1. 2023/05/22(月) 12:06:18|
  2. 新幹線の見える街 品川
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

新幹線を掴まえて・・・            Nikon SPにツアイスのSonnarレンズをつけて。

戦前のドイツ、ツアイス社のContaxⅡカメラ用 Sonnar T 50mm F:1.5 レンズを
戦後になって日本で作られたNikon SPカメラにつけて使っている。
写りに遜色はなく、現役として通用する一流レンズだと思っている。
-----------------------------
新幹線の走っているのを見つけると、撮影するようにしている。
新幹線の見える街1557-24
新幹線はさっと通り過ぎていく。
特にこの場所は、タイミングを取るのが難しい。

幾度となく通る道。
いつかは 「これだ」 というショットが撮れるだろう・・・と淡い期待をしている。
新幹線の見える街1555-29
むしろこの場所のほうが、列車の音が聞こえてくるので、シャッターチャンスを掴みやすい。
新幹線の見える街1557-4
居木橋から新幹線の列車を撮るのは初めてのことだった。
新幹線の列車を見ても、当たり前の景色で、余り関心を向けなかった。
たまたま、山の手線と並走していたので、シャッターを切っていた。
-----------------------------
江戸時代、江戸の入り口、品川宿の近くに東海寺という大きな寺があった。
上野の寛永寺と同じく、徳川幕府の寄進によって建立された寺院。
西から攻めてくる敵に対する城郭の意味もあったと思う。
明治になると、寺領は新政府に没収され、
今はその中の塔頭の一つ(玄性院)が東海寺を名乗っている。
新幹線の見える街1557-9
明治新政府にとって、この一帯は使い勝手のいい場所。
品川神社の近くには板垣退助の墓があるし、
大山墓地には、日本鉄道の父と呼ばれた井上勝の墓がある。

今は、その墓の左を、新幹線、横須賀線(品鶴線)と山の手線が走り、
右を京浜東北線、東海道線が走っている。
「鉄道の父」の墓にふさわしい場所だと思う。

数年前、その場所の前に、
昭和の歌姫、島倉千代子の墓が設置された。
以来、献花の絶えたことはない。

「鉄道の父」は忘却の彼方へ消え、
今は、昭和の歌姫の前に弔いの人が集まるが、
歌姫を知る人も少なくなっていく、
また20年も経ったら、この風景も変わるのだろう。

進歩が全てと時代は進む。
写真フィルムメーカーも淘汰され、
記録はデジタルデータに集約されるようになるだろう。
デジタルデータの保存性、意外ともろい、大丈夫だろうか?



  1. 2023/03/06(月) 18:33:33|
  2. 新幹線の見える街 品川
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

新幹線の走る街  期限切れTRi-Xフィルム

マガジンにつめたTRi-Xフィルムが2つ冷蔵庫に残っていた。
既に期限は切れているが、冷蔵庫の中なので充分使える。
一つはKievⅡ(ContaxⅡ) もう一つはNikon(FとSP用)のマガジンに詰められていた。

TRi-Xの長巻フィルムは、価格が高くなりすぎた。
他社フィルム並みに下がらないと、今後も購入することはないだろう。
最後と思うと、感慨は深い。
ずっと使い続けたフィルム・・・・癖は判っているつもり。
新幹線1110-22
白黒のコントラストを強調(硬調)できるよう、露光を一から二絞り切り詰めて露光した。
(A)現像液を使い いつもより50%現像時間を押した。(延長)
今後 この(A)現像液を 使うことはないだろうと思う。(Retro400Sで使うことは可能だが・・・)
新幹線1110-33a
新幹線の高架線の下には りんかい線、湘南新宿ラインの線路が通っている。
右へいけば すぐに大崎駅のプラットホームになる。
背後には 山手線の鉄路が走る。
撮影場所は、三方を線路で囲われた三角の中にいることになる。
幼い頃、この地点には、地上の踏切をわたって 歩いて来たが、
いつしか、歩道橋が架けられ踏み切りは閉鎖された。
その歩道橋も 掛け替えられ2代目(あるいは3代目?)になっている。
りんかい線1110-12
踏み切りは廃止されても、
JRの職員が保守用に、時々ここを通っていたようだ。
今は、完全に閉じられている。
その時の名残だろう。

役割が終われば、廃止され、次のものに代わっていく。
TRI-Xの栄光はもうない。
イルフォードのフィルム、いいと思うが・・・少し高い。
使うフィルムは ヨーロッパ系のフィルムに 代わっていく。
しかし、やがてデジタルの流れに巻き込まれ、フィルムも消失する・・・・その覚悟はできている。
------------------------------
フジのアクロスフィルムが販売中止になるという。
これで 国産の白黒フィルムはなくなる。
ネットで探していたら、B&Hというネット通販で、長巻フィルムを扱っているのを発見。
イルフォードやコダックを扱っているらしい。
Kentmereや、イルフォードのPAN F ,FP4 ,Deltaの100フィート長巻が、日本の輸入業者より安い値で販売されていた。
残念ながら、ヨーロッパ大陸のフィルムは扱っていないようだ。
でも まだ探せば フィルムを手に入れる道はあるということだろう。

感光する材料を発見し、
感光材料とカメラを作ったのは欧米の開発者たち。
写真を撮る、記録するという行為に、彼らの文明に根ざした写真文化が、根付いているのだろうと思う。
後追いの日本は、ついにカメラの生産の中心になったが、
デジタルなれば、その波に乗り、デジタル一辺倒へ。
フィルムは忘れ去られるだけ。
ついに日本に、白黒フィルムを生産する会社はなくなった。

彼ら西洋文明の底流には、Photographを作るあげる精神が流れている。
Photographを「写真」と理解し、技術に邁進したのが、日本かも。
カメラ産業は 盛んになったが、彼らの精神までは掴めなかったも知れない。、
欧米のカメラ愛好家、フィルムを使い続ける人は多いようだ。
欧米では、今後も白黒フィルムを作り続ける会社は残るだろう。

そんな希望的観測をしている。
  1. 2018/07/19(木) 13:28:58|
  2. 新幹線の見える街 品川
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

Alchemyst Sasaki

Author:Alchemyst Sasaki
未だフィルムカメラの沼から抜け出せない。
もう一年白黒フィルムで遊んでみるつもりでいる。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

読み解く写真、心に残る写真を・・・ (139)
フィルムの眼 (165)
レンズの眼、カメラの眼 (59)
写真の技法 (152)
写真にとり憑かれた人達 (4)
青写真 (1)
新幹線の見える街 品川 (10)
映し出された世界 (30)
水辺の光景 (21)
立会川 (9)
勝島運河 (22)
旅行・観光 (7)
ある場所、ある瞬間 (170)
デジタルカメラは記録機器 (13)
デジタルで遊ぶ (30)
Silent City (9)
??? (31)
Street Photograph (27)
都会の景観 Tokyo (259)
思い出の写真 (25)
遥かなる寧夏 (35)
Night walk in Tokyo (41)
散歩 (334)
猫、犬、鳥 (10)
白木蓮 (31)
黒い花 怪しい花 (87)
樹、草、花  (104)
桜  (181)
ひまわり (46)
竹林 (11)
八つ手 (10)
百日紅(さるすべり) (29)
オールドレンズの密かな楽しみ (38)
人物 ポートレート 踊り (37)
Photo彩遊 (27)
品川宿 (21)
その他  (33)
オリンピック残映 (5)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR