今使っているフィルムスキャナーはエプソンのf-3200という機種。
もう15年くらいは使い続けている。
約1600本ほどのネガをスキャンしている。
3200dpiでフィルムをスキャンしている、(メーカーの保証値は3200dpi)
35mmフィルムの場合 約1300万画素のデジタル画像を得る。
これで充分だというのが、購入するときの判断。
当時使っていたフィルムはTRI-X。
ISO:400の高感度フィルム。このフィルムの解像度はそれほど高くない。
120本/mmあるかないか程度だと思う。
(昭和30年頃のマイクロコピーフィルムの解像度は僅か300~400本/mm、昭和40年頃で600本/mm程度だった記憶がある。)
120本/mmで計算すると、35mmフィルムで約1200万画素が限界。
小生の使っているオールドレンズは 当時の最高級品、ゾナーの解像度は150本/mmはある。
中心部は高いが、周辺部になると落ちるが、それでも100本/mm以上ある。
フィルムの解像度と、スキャナーの解像度を比較し、問題なく使えると判断した。
勿論、スキャナーの解像度はネガの銀粒子まで克明に記録、画像化できるので、
高いほど最終画像は良くなる。
その分取り込みの時間、ファイルのサイズが大きくなるので、このあたりが現在の限界。
(将来、技術が進めば、6400dpiあたりが狙い目になる。)
なるべく、スキャナーの設定した条件でスキャンすることにしている。

スキャナーの基本設定は、
白黒フィルム
イメージタイプ 16bitグレー
解像度 3200
アンシャープマスク にチャックを入れておく。
ヒストグラム調整で取り込む範囲、Low値とUp値を決め、
出力範囲を、それより少し多めに設定。
トーンカーブを見ながら中間値をスライドさせ、なるべく直線になるよう取り込みの設定を行う。
(ここまで手動)
ライティングの濃度調整は、スキャナー任せだが、Retro系フィルムの場合、ほぼ「浅い感じ」に近い設定になっていることが多い。
(ハーフトーンから明るい部分は直線、暗い部分をほんのすこし持ち上げる設定になっていた)
Fomapan100だと、コントラストを高めにする設定になることが多い。(そのようなプログラミングが為されているようだ)
スキャンは同梱されていたPSE(PhotoShopElement)から利用する形になっている。
画像はPSEに取り込まれる。
PSEには画像処理のプログラムも各種入っているが、
画像の濃度調整(明るくするか、暗くするか)とコントラストの調整を使うくらいに留めている。
シャープ調整や画像フィルター(沢山の処理プログラムが入っている)の機能は使っていない。
画像の一部を 焼き込んだり、覆い焼きする機能は、暗室時代を思い出し、時たま使う。
なるべく 印画紙に焼いていたころの技法が使える範囲でPSEを利用することを心がけている。

スキャナーの濃度補正設定を「コントラスト強く」に設定して、
同じフィルムを、スキャンした。
PSEに取り込んだ画像を、スライドバーで、
暗い部分のディテールがなくなるまで 全体濃度を上げて画像を調整した。
モノトーン写真は、暗い方が なにか曰わくありげで(自己主張?)キャッチーと考える人は多い。

スキャナーの濃度補正設定を「重い感じ」に設定し、スキャンした。
PSEに取り込んだ画像を、暗部のディテールを覆い焼きを施して出したが、
スキャナーの濃度補正設定を「シャドー部を出す」の設定(覆い焼きに近い)で取り込み、
PSEで画像濃度を暗くしていったほうが良かったかもしれない。
濃度設定を「リニア」(直線)にしてスキャナーで取り込み、
あとは優秀なレタッチソフトで、トーンを作ってけばいいという考えもあるが、
レタッチソフトで、トーンを弄(いじ)るたびに、トーンの豊かさは減っていく気がしてならない。
豊かなトーンの写真を見たい、作りたいと 思っているので、
ネガからスキャンしたら、その後のレタッチソフトの使用は最小限になるように心がけている。
2003年頃のPSEだけど、小生はこれで充分満足している。
最新のレタッチソフトは、高機能で望みの画像を作ってくれるようだが、
レタッチソフトに遊ばされているだけのような気がしてならない。
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使ったフィルムはRetro80S 現像液は微粒子現像液(AⅢn1)を使用した。
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- 2023/09/01(金) 10:45:45|
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ほんの一絞りの露光の違いで、トーンは変化する。

路地の軒先に落ちた天使達。
ジッと観察する。
光の方向、明るさを考慮し、露光を決める。
ISO:100のフィルムならf:4半/125秒が適正だと思ったが、
敢えて半絞り分露光を増やしf:4/125秒でシャッターを切った。
トーンが奇妙に振れてしまう。
暗く潰れる筈のテーブルの下が、明るく写っていた。

念押しで更に一絞り露光を増やし、F:2.8/125秒でもシャッターを切っていた。
一絞り露光を増やした方が、テーブルの下が暗く写っていた。
固定観念からすると逆だろうと思うが、
相手は「地上に堕ちた天使達」、常識外のことが起きても、不思議ではない。

この天の住人の落ちた場所が良かった。
柔らかな光に包まれている。
これならばと 半絞り分少なめの露光で、シャッターを切る。
しかし、やはりトーンは破堤していた。

念のため一絞り分 多めの露光でもシャッターを切る。
やはり、こちらのほうが、トーンの破堤は少なくなっている。
この天使達、地上の何処へ降りようとしていたのだろう?
デジタルの眼なら それを捉える(表現)こと、可能かもしれないが、
フィルムの眼では、未だ それを捉える(表現)こと、できていない。
まだ、なにかありそうだ。
- 2023/08/21(月) 18:54:25|
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少し光が見えてきた。
青写真は古い技法だが、あまり使われていない。
欧米では まだ 青写真で作品を作る人はいるが、
日本では、あまり見かけない。
欧米では、青写真用の薬剤キットが販売されていて、それを溶かして使っている人が多い。
日本でも、以前は クエン酸鉄アンモンと赤血塩が、ヨドバシやビッグカメラの写真用薬剤の棚に置かれていて、
それを購入し、先人の配合を真似て、青写真を楽しんでいた。
今、青写真を楽しもうと思うなら、外国の薬剤キットを購入することになるのだろう。
幸い化学を専攻したので、化学品の扱いには慣れている。
3価の塩化鉄と塩化アンモンは棚にあった。
クエン酸は百均に行くと「電気ポット洗浄剤」として売られている。
赤血塩は、ネガの減力剤として使用している。
炭酸ソーダ、重曹、セスキ炭酸、画用紙、スケッチブック、刷毛、筆を百均で購入すれば、
これで、青写真を 作ることはできる。
安上がり。
6月の中旬から実験を開始、
ようやく、峠を越えた気がする。

用紙との密着性を考え、感光剤に有機物を加え、水系溶液を作った。(銀塩フィルムを真似てエマルジョン溶液と名付けた)
用意したエマルジョン溶液の種類は1~7。
太陽光の光(曇り空)を入射光式露光計で測定すると、ISO:100でEV=13.5だった。
この値は ISO:100のフィルムなら、f:8半/125秒が適正露光になる。
段階露光をしてみた。
すぐに現像し、画像を確認。この光量なら90秒が適正だろうと、
青写真の印画紙をセットし、露光した。

しかし、雲が薄れ、少し明るい。入射光式露光計で確認の測定したら、ISO:100でEV=14.5と 2倍明るくなっていた。
適性は45秒、しかし、そのまま90秒露光した。
露光オーバーは確かだが、画像はそれなりにでていた。
小生の狙いは2点。
一つは、印画紙の代替品として使用できるようにすること。
そのためには、引き伸ばしの露光時間を60分以下にできるよう高感度化をはかる。
二つ目は、高感度化をはかり、青写真の透明フィルムを作ること。
そうすれが、大型カメラで(A4判を狙っている)撮影し、青写真ネガを作り、
青写真印画紙に密着させ、露光することにより、すべて青写真の原理で写真を作ることができる。
その目的のため用意したなかで、可能性が高いのは、エマルジョン-3と、エマルジョン-6。
まず、エマルジョン-3で試して見た。(他のエマルジョンに可能性がないわけではないが・・・)

OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用 透明フィルムは、ポリエステルフィルムなので、
Retro80SやRetro400フィルムを開発したアグファの技術者なら
たちどころに、問題を解決できるだろうが、
ポリマーの物性は、小生の専門外、深く知らない。
だが、化学会社の研究所にいたので、
ポリマーを扱っている人からも助言を求められたことはあるので、素人でもない。
溶解パラメーター(SP値を)頼りに、エマルジョンを調整した。
どうにか 青写真にフェリシアブルーをフィルム表面に固定できた、
現像中、一部は水溶液に逃げ、像は少し薄くなる。
水洗し乾燥すれば、手で擦っても、画像は剥がれないので、一応成功した。

このエマルジョン-3を出発点にして、さらに高感度化、画像の堅牢化を進めて行く予定。
8月末までに、実用化レベルに達すればいいのだが・・・・
- 2023/08/01(火) 16:02:00|
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サイアノタイプ写真は古い技法だが、やってみると、なかなか難しい。
三価の鉄が、光で二価の鉄に還元されるというのが、サイアノタイプ写真の基礎であるとなっているが、
光で酸化されるなら話は分るが、還元されるとなると、
そんな単純な反応でないと考えるのが、化学を勉強したものの常識だろう。
三価の鉄ラジカルができたとして・・・その光ラジカルは、どういう形なのか?
三価の鉄ラジカルが、おそら(有機物)をラジカル化し、有機物が分解するとき、
三価の鉄に電子を与えて、二価の鉄還元される・・・
おそらく、クエン酸の脱炭反応(炭酸ガスの発生)が起きたと考えるのが合理的だろうと仮定をしたが・・・
小生にそれを確かめる、分析手段がない。(ガスクロか液クロの分析機器があれば、確かめられると思うけど・・・)

そんな細かなことは、このブログの話題にするのは適していない。
でも、小生としては、些細なことだが、それが知りたくて、いろいろな仮定(キレート構造)をし、
感光液を工夫し、現像液(発色液)を工夫し、
なにが サイアノタイプのトーンを決めるのか探している。

感光液の組成を変化させ、現像液の組成を変え、
沢山の失敗をし、
そのたびに失敗の原因を考え、また仮定し、実験してみる。
ようやく、要素は分ってきたが・・・まだ、反応機構は・・・霧の中。

キレート化合物を作り易い添加物を加えると、サイアノタイプのトーンに影響を与えていた。

感光液として(A3)、(A5)、(A9)を取り上げ、今 それを使ったサイアノタイプ写真の最適化を行っている。
八月一杯 これにかかりっきりになってしまうかも。
サイアノタイプ写真 奥が深い。
- 2023/07/17(月) 12:24:31|
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6月に入って、急に左足の膝が痛むようになる。
初めての経験。
歳を重ねた結果だろうか・・・・
散歩にでても、30分と続かない。
そろそろかなぁと思いながら帰路につく。
書庫にはネガのシートが束になって沢山溜まっている。
動けなくなったら、そのなかから、数百カットを選び、
印画紙に焼き付けようと思っていた。
ネガから直接印画紙に焼き付けることを考えていたが、
スキャナーで取り込んだ画像データーもある。
OHPの透明なシートに、その画像をインクジェットプリンターで印刷し
A4あるいはA3の大きなネガを作り、密着で焼き付けることもできる。
プラチナプリント、サイアノタイプ(青写真)プリントも可能になる。
この機会だから、もう一度 材料費が安いサイアノタイプを試してみようかと
6月中は青写真をつくる条件を探していた。
10年ほど前、青写真を試している。
当時は「ヨドバシ」にも「ビッグカメラ」にも、カメラ材料の棚に、
青写真に必要なクエン酸鉄アンモンあったが、
今は 置いていない。
仕方がないので、合成した。
必要なものは、
塩化鉄と、塩化アンモン、百均で売っているポット洗浄剤(クエン酸一水和物)、それに苛性ソーダ。
(中学の化学実験のようなもの)
使用した画像は 去年戸越公園で撮影したもの。

フィルムはRetro400Sを使用した。
R72フィルター(赤外写真用フィルター)をつけて撮影。
硬調に仕上がる(Ⅱnhq)を使い、二液現像法で現像した。
緑の葉は白く輝き、空は暗く落ち、雲が白く浮き上がった。
この画像を、Adobe Photoshop Element7を使用し、(十数年前、エプソンのスキャナーを購入したとき同梱されていたもの)
フィルター →色調補正 →階調反転 をクリックしネガ画像にし、
イメージ →左右反転 をクリックして、
オーバーヘッド用 透明なフィルムに印刷し、
大きなネガフィルムを作った。

左右反転させたのは ネガと青写真印画紙を、密着して感光させるため。

晴天だったので、90秒の露光で充分な濃度の青写真ができた。(60秒=1分でもよかったかも)
青写真は、使う紙の質によって変化する。(安い紙だから駄目、高い紙だから良い というわけでもなさそう)
紙の選定、感光液の最適化、感光液の塗布方法、現像液(発色液)の最適化で、
まだ、改良の余地は多い。
あと1~2ヶ月、青写真の最適化を求め、格闘することになりそう。
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ようやく、左膝の痛みは なくなってきたが・・・今度は暑さが身にしみる。
- 2023/07/05(水) 12:20:29|
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