12月の下旬、大崎イルミネーションが始まる。
それを撮ろうと、何回かテスト撮影をした。
気づいたら2月も上旬、カレンダーを見たら、最終日になっていた。
最終は中判カメラで撮ろうと思っていたので、マミヤプレスを持って出る。
冷蔵庫の中で保管している120フィルムは、Acros100,Fomapn100,Rollei赤外400の三種類。
テストではSuperPan200をよく使ったので、マガジンにRollei赤外400を詰めた。
撮影ポイントは、何回かのテストで決めていた。
8カット撮ったが、このポイントで撮影したものがベストだった。

3200dpiでネガをスキャンしPCに取り込むと7千万画素の高精細な画像になる。
橋の一部を等倍で切り出してみた。

文字もはっきりと解読できる。
半切に引き伸ばしても、
粒子の目立たない滑らかな画像の写真になると思う。
二段現像すべきか悩んだが、このフィルムでまだ試していない。
安全策として白飽和を避け、黒潰させないことを考慮し、(Ⅰf)現像液で処理した。
中判カメラなのでレンズの焦点距離は100mm、35mm換算で43mmレンズの画角になる。
35mmカメラではSuperPan200フィルム、f:8×40秒で撮ったが、
同じf:8では、被写界深度が浅くなる。
絞りはf:16にセットした。(より光芒を強調したかったこともある。)
ISO:400のフィルム、単純に計算すると、40秒×4(絞り)/2(ISO)=80秒となる。
相反則不軌も少しでるからと露光時間90秒を選んだ。
露光を増やすと白飽和が進み、電球の四方八方に光る光芒が消えていく。
露光を減らすと、黒潰れの部分が広がり、小生の美意識に合わない。
そんなことを考えていた。
現像しネガを得て、よかったかどうか、今も悩む。
やっぱり二段現像かなぁとも思う。
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2月3日に載せた記事、
「長時間露光テスト(5) 大崎イルミネーション 二段現像を試す」
にすでに載せた写真だが、

映りはこちらの方がいい。
四方に散る光芒も豊だし、暗い広場の文様もよく出ている。

ネガのサイズが小さいので、3200dpiで取り込むと約1200万画素の画像になる。
四つ切りに伸ばすなら申し分ない写真になるが、半切となるとギリギリだろう。
Opton Sonnarの解像度も素晴らしい。
等倍に拡大しても、文字はちゃんと判読できる。
Mamiya Pressのいいところは、手間がかかること。
使うためには、知識と習熟が必要。
人間とカメラの役割分担は、カメラより人間のほうに傾いている。
つかって、うまくできたときの喜びは、大きい。
重く、使いにくく、面倒だなぁと思うが、
撮っていると、くたびれるけど 面白い。
こんな楽しみ方もあっていい。
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- 2022/02/11(金) 12:22:18|
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市販されている白黒フィルムはセルローズ系フィルムで作られたものが多い。(古くはニトロセルローズ、現在は酢酸セルローズ)
市販の現像液も、既存のフィルムに合うようにできている。
一方 アグファのRetro系フィルムは、現代になって開発されたポリエステルでできている。
そのため、感光剤の乳剤も 従来品と少し違うようだ。
ハーフトーンから明るい部分の肉乗りがよく、その部分のコントラストは高い。
従来のフィルムや市販の現像液を使用している人からみたら、扱いにくいフィルムということになるだろう。
トーンを豊に出したかったら、軟調からやや軟調な現像液で現像すると、
びっくりするほどの階調性の豊かな写真になる。
しかし、軟調な現像液、今も市販されているだろうか?
自家配合した現像液の利点、自分の好みに合わせ、配合を決めて使えること。
自己責任が基本だが、市販の現像液でも、現像結果までメーカーは保証しないだろう。
上手に使えるかは、その人の問題、メーカーに責任はない。
だったら、自分で配合を決める方が、面白い。
何を入れたか、その効果はどうだったと自分で結果を確認できる。
Retro系フィルムは、軟調(Ⅵ)系か、やや軟調(Ⅰ)系の現像液を使うことが多い。
曇り空でフラットな光の時は、やや硬調(Ⅲ)系もたまには使用する。
硬調(Ⅳ)系、最硬調(Ⅱ)系は 特殊な効果を狙ったとき使用している。
今回はやや軟調な(Ⅰf)と(Ⅱ)を使用する二段現像法で、大崎の夜景を撮ってみた。

(Ⅰf)液で大方の現像を終了、(Ⅱ)液に交換して、更に現像しトーンを調整する。
切り替えのタイミングと、(Ⅱ)液で、どこまで現像を押すかで、トーンは変化する。
暗い部分の黒潰は、この方法で意外とよく防止できる。
明るい部分に対しては現像が過多にはなるが、硬調な現像液だけで現像するより白飽和は少ない。

これは1月5日に撮影した画像。
画像の濃度を合わせて比較してみた。
二段現像のほうが白飽和の度合いは大きいが、目障りというほどではない。
ハーフトーンから暗い部分のトーンは、二段現像のほうが良いと思う。(画面右のビルの壁面、「食品街」の文字など)
明るい部分を拡大して比較してみた。

二段現像のほうが明らかに白飽和の度合いは大きい。
銀粒子もでて、ザラつきがあり、細部の解像度も劣っている。
でも明るい電灯の光芒がしっかりと出ていた。
ボーとした電球の輝きがいいか、光芒が放射状に伸びた輝きがいいいか・・・これは好みの問題だが、
そのコントロールを現像液と現像法でコントロールできる。
それは、それで素敵なことではないかと思う。
光芒を出したかったら、それが出るフィルター(クロスフィルター)を買えば済む。
光芒を出したかったら、レタッチソフトに光芒のアプリをいれて画像を加工すればいい。
それは、そうなんだろうが・・・・そうしてしまうと、写真が味気なくなる感じがする。
性分ですかねぁ。

薄暗かった広場も、黒潰せずトーンは出ている。
大きく伸ばせば、電球の光芒が一面に迫ってくる。

光芒のオンパレード。

ただし、露光を決めることと、現像の切り替えのタイミングは難しい。
ときして、こんな制御不能なトーンも現れる。
失敗とみるか、異界出現とみるか、小生は、「異界出現」と喜んでしまうが、(失敗が好き)
これは見る人の判断に委ねられるだろう。
- 2022/02/03(木) 14:39:50|
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長時間露光テスト4回目の結果。
6カ所の地点で三水準の露光を行い、
約二絞り分の減感現像をしてみた。




Low濃度、Up濃度、ヒストグラムの形を考慮してベストを探す。

黒潰、白飽和の目立たない画像で、すっきりした画像を選んだ。
まだ、もう一つ試したい項目がある。
そのテストが終わったら、中判のカメラで撮ってみようと思う。
それが今回の最終になるだろう。
- 2022/01/28(金) 12:43:25|
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夜景を撮ろうと思ったが、
フィルムで撮るとなると、撮影の自由度は低い。
普通に撮るならデジタルで撮った方が簡単だし、結果もほぼ同じ。
フィルムで撮る理由、その根拠は乏しい。
フィルムが好きだからという単純な、かなり思い入れのある感情的なものだろう。
でも考える。
デジタルにない面白さ、違った表現もあるはず。
手段は、レンズを替える、フィルムを替える、現像法を替えてみる。
レンズを替えてみるか・・・と「傷だらけのゾナー」をカメラにつけ、
日中、大崎イルミネーションの場所を撮ってみた。
勿論、今回の撮影では、露光の決定は勘に頼ることを止め、
露光計内蔵のカメラを使用、ISO:25に設定し、カメラの指示に(素直に)従い露光を合わせた。

現像液は軟調現像液を使用、Up:180の減感現像を行った。
少し濃いめのネガになったが、白飽和はしていない。
Up180の現像ならISO:50で使い、Up170現像でISO:25という所だろう。
半逆光の左上の空が、滲んだ感じに撮れていた。

逆光が強く出る場所は滲みやすい。

でも順光なら、どうにかすっきりした画像になる・・・でもコントラストは低めだろう。

フードをつけていないので、ゴーストがでたが、それなりにピントも決まり、階調も豊か。
雰囲気があり悪くない。
これでやってみるかという気になった。
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年が明けた、1月2日、カメラに短く切ったFomapan100フィルムを入れて夜の大崎へ行く。
そのとき撮った写真の一部は、すでにこのブログに載せている。
残りのカットから。

30秒ほどの露光時間なら、夜のこの場の雰囲気はでる。
左上の時計が午後6時ちょうどを示していた。

80秒となると、フレアーが出過ぎている。
デジタルカメラとスマホを持った人が、三脚の前に立ち止まり、この夜景を撮ったが、
立ち去ったあと半透明に記録されていた。


光芒は綺麗にでるが、コントラストは低い。ボーと霞んでしまう。
それがいいときもあれば、過剰すぎて何だこれは・・・と残念に思うときもある。
レンズに鍛えられている気がしてきた。
あとは・・・フィルムを替えるか、現像法を替えるか、二つの選択肢が残っている。
- 2022/01/09(日) 10:11:36|
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2日後の夜、再び大崎イルミネーションを撮る。
帰宅し早速現像する。
露光の基準を知るため、
持参したデジカメの設定を
絞り優先モードf:8、感度をISO:200にセットした。
フィルムの現像は 軟調な現像液(Ⅵf)を使用。
標準テストサンプルでUp濃度が180になる条件で現像した。
Up210条件に比べ、2絞り程度の減感現像になる。

Sony NEX-5のカメラが特殊な訳はないと思うが、
レンズに絞りリングがない。(ボディーにシャッター速度設定ダイアルもない。まるで1990年代のコンパクト・フィルムカメラのようだ)
その代わり液晶画面を呼び出し、絞りを設定するようになっている。(これに戸惑う)
またピントを合わせるための距離リングに、距離目盛りが刻印されていない。
無限がどこかも分らないのは・・・・オートフォーカスを切ったとき、非常に不便。
被写界深度の確認ができないが・・・・そんなこと気にするデジタルカメラの撮り手はいないのかも。
デジタルカメラは、人の手を煩わせない。液晶画面でボケ具合は確認取れるようになっているのだろう。
デジタルのズームレンズはこんなものかと思っていたが、
今になってレンズを見ると、焦点距離がズームリングに刻印されていた。
10年使っているが、今頃気づくなど・・・・デジタルカメラを、ちょっと冷遇していたかも。
でも、デジタルは便利。細かなことを気にしなくとも、なんでもちゃんと撮れてしまう。
判断はカメラがしてくれる。
その判断に従い、ISO:100なら10秒を基準露光とした。
Up210の現像では60秒辺りが良い結果だったので、
50秒、100秒、200秒の三水準で露光してみた。
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撮した結果は、Up180の減感現像するならf:8で100秒前後の露光がいいようだ。

レンズは、戦前ContaxⅡに付いていたビオゴンと呼ばれた35mm F:2.8のクーロンレンズ。
レンズの構成は、むしろゾナータイプに近い。
凝ったレンズ構成の、製造が難しいレンズだと思う。
このレンズ構成のまま、ソ連邦のキエフでソ連崩壊まで作り続けていたようだ。(1983年製を所有している)
使ったレンズは1972年製のもの。(当然のことながらコーティングされています。)
後玉がフィルム面ギリギリの近いところまで来るので、
本来はデジタルカメラ向きのレンズだと思う。
マウントアダプターをつけてNEX-5につけてみたが、
ぶつかってしまい装着できなかった。
ミラーレスのデジタルカメラにつけられる機種があったら、
このレンズ、見直されるのではないだろうか。
NEX-5で撮ったカラー画像を白黒変換し、比較してみた。

デジタルの良いところは、ファイル情報を見れば、撮影の日時から時間まで記録されていること。
レンズの種類、撮影時の焦点距離、ISO感度、絞り、シャッター速度など、知りたい撮影データがきっちりと記録されている。
これは、いいなぁと思う。(今はGPSから位置情報も記録できるらしい。)
画質もいい。遜色ないというより・・・・デジタルの方が・・・とも思ってしまう。
フィルムは、たっぷりと露光し、さっと浅く現像(減感現像)したので、目黒川の川面のトーンが潰れず、明るく出ているが、
デジタルでも、かなりいい。これで充分とも思える。

明るいイルミネーション部分を等倍に拡大して比較してみた。
結果は判定不能、どちらを取るかは好みの問題だろう。
NEX-5はフルサイズではないが、画素数ではフィルムより多い。
もし35mmフィルムなら、もっと低感度・高精細なフィルムを使い、
取り得込み精度の高いフィルムスキャナーを使はないと、1400万画素以上は出せない。
こういう結果を見ると、デジタルカメラのすごさを感じざるを得ない。
- 2022/01/07(金) 10:43:51|
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